プレリュード

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2006年03月01日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽

私がまだクラシック音楽に出会う3年前に、凄いフランスの指揮者が来日してN響と共演して、ほぼ2ヶ月にわたり東京、名古屋、京都、大阪でコンサートを開いていました。 

フランスの指揮者ジャン・マルティノン(1910-1976)がその人です。


3/01
           (ジャン・マルティノン  未購入CDジャケットから)

1953年10月13日から12月9日までの演奏会のプログラムがあります。下記がそれです。 プログラムはベルリオーズ、ドビッシー、ラヴェルなどのフランス音楽、ベートーベンの第9、ストラビンスキーの3大バレエ音楽などを振っています。

1953年 NHK交響楽団



 ベルリオーズ/幻想交響曲
 ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
 ラヴェル/スペイン狂詩曲

10月28日:日比谷公会堂

 ベルリオーズ/ローマの謝肉祭
 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲(VN/アイザック・スターン)
 ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲(VN/アイザック・スターン)

11月8日:日比谷公会堂

 グルック/アウリスのイフィゲニア、序曲
 ラロ/スペイン狂詩曲交響曲(VN/諏訪根自子)
 マルティノン/交響曲第3番


11月17-18日:日比谷公会堂

 ストラヴィンスキー/ペトルーシュカ
 ストラヴィンスキー/火の鳥、組曲
 ストラヴィンスキー/春の祭典

11月23-24日:日比谷公会堂


 フランク/交響的変奏曲(P/長岡純子)
 ファリャ/三角帽子、組曲

11月27日:名古屋市公会堂

 ストラヴィンスキー/ペトルーシュカ
 ストラヴィンスキー/火の鳥、組曲
 ストラヴィンスキー/春の祭典

11月28日:名古屋市公会堂

 ベルリオーズ/幻想交響曲
 ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
 ラヴェル/スペイン狂詩曲

11月30日/京都劇場

 ベルリオーズ/幻想交響曲
 ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
 ラヴェル/スペイン狂詩曲

12月1日:大阪産経会館

 チャイコフスキー/交響曲第6番
 フランク/交響的変奏曲(P/長岡純子)
 ファリャ/三角帽子、組曲

12月2日:大阪産経会館

 ストラヴィンスキー/ペトルーシュカ
 ストラヴィンスキー/火の鳥、組曲
 ストラヴィンスキー/春の祭典

12月8-9日:日比谷公会堂

 外山雄三/小交響曲
 ベートーヴェン/交響曲第9番

10年後の1963年とその後の70年にも来日しています。 その時の演奏会プログラムは下記でご覧下さい。

ジャン・マルティノン来日公演

1953年(昭和28年)といえば、まだ戦後復興の途上でこれだけの都市を回るのも大変だった頃の演奏会です。勿論日程は詰まったものでなくて、リハーサルなどに時間をかけていたのか、コンサートからコンサートへの間が長い時もあります。

私が驚いたのは10月28日の演奏会(メンデルスゾーンとベートーベンのVn協奏曲)でアイザック・スターンと共演していること、11月17-18日のストラビンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」「火の鳥」「春の祭典」の一夜です。

スターンがすでにマルティノンとこんな早い時期に日本で共演していたのですね。 日本のクラシック音楽の土壌はやはり歴史があるんだなと改めて感じています。

そしてストラビンスキーの一夜。 何と53年にはすでに「春の祭典」が演奏会で採り上げられていたのですね。 私は自分がクラシック音楽に興味を持って聴き始めてから1961年だったか62年だったか、日本フィルハーモニーをイゴール・マルケビッチが指揮してこの「春の祭典」をTVで観て、音楽の凄さを知ったのですが、それが日本における「春の祭典」元年だと信じ込んでいました。 それほどに強烈なインパクトを音楽ファンに印象付けた演奏会でした。 

そしてその後、日本でも徐々にコンサートで採り上げられるようになり、LP盤での録音・演奏が増えていき今や現代音楽の古典となっていますが、そのきっかけはマルケビッチと日本フィルとのこの演奏会だと言われているくらい、伝説の名演として演奏会史上に刻まれています。

しかし、その7-8年前にすでにマルティンがN響と演奏していた、これに驚きました。 しかもそれを東京・名古屋・大阪で4夜にわたって演奏してることに驚いています。 自分の勉強不足をまざまざと見せ付けられました。

ジャン・マルティノンの名前を知ったのは、中学3年生の頃だと記憶しています。 英デッカにウイーンフィルと録音したステレオ録音初期のLPで、チャイコフスキーの「悲愴」交響曲が話題になってました。

しかし、彼の演奏を録音で聴くようになったのは70年代になってからでした。 RCAに録音した「フランス音楽集」で、当時彼がシカゴ交響楽団の音楽監督を務めている頃の録音です。 その頃には私にも指揮者の表現する音楽を聴いていて違い(他の指揮者・演奏家との)がわかり、言葉で表現することが出来るようになっていましたから、アンセルメの指揮するフランス物とは違う音楽に魅了されていました。

LP盤に刻まれたマルティノンのドビッシーやラヴェルの音楽は、「スコアが透けて見える」という表現があてはまるような、実に透明性豊かな音楽でした。 アンセルメのような精緻な音楽作りとは異なる、リズム一つをとっても非常に繊細な感覚で刻み付けられており、感情をあまり表に出さずに情緒的に音楽が流れているのですが、彼特有の透明な響きが「知的な」美しさを湛えています。

シカゴ交響楽団ではむしろ不遇な時代を過ごしたと言われていますが、この演奏を聴く限りではシカゴ響の美しいサウンドを十全に引き出している、美しい音楽を表現していると感じています。

フランスに帰ったあとはEMIレーベルにフランス国立放送管弦楽団と残したフランス物が、今尚ファンを魅了しているそうです。これら70年代にEMIに遺した録音では「幻想交響曲」だけを聴いていて、ドビッシーやラヴェルの音楽を聴いていません。 これを機に聴いてみたいと思うのですが、現在所有するRCA盤に収録された曲と重なっているのが躊躇う理由です。

そのジャン・マルティノンが1976年の今日(3月1日)、66歳という現代では早過ぎるくらいの年齢で亡くなっています。 もう少し彼の演奏を出来れば日本で聴きたかったと願うのは私だけではないと思います。

愛聴盤 マルティノン・フランス音楽作品集 シカゴ交響楽団

09026・63683 1968年録音
(RCAレーベル 09026・63683 1964-68年録音 海外盤)

フランス音楽・シカゴ響

もう1枚 マルティノン指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団

UCCD7021
(DECCA原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCD7021 1958年録音)

悲愴・ウイーンフィル

両盤とも何度再発売されたかわかりませんが、とにかく再発売の数でも群を抜く回数だと思います。 ウイーンフィルとの「一期一会」の録音で「悲愴」とは。 美しい演奏の「悲愴」です。

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今日の音楽カレンダー

1810年 誕生 フレデリック・ショパン(作曲家)
1867年 初演 シューベルト 弦楽四重奏曲第12番「四重奏断章」
1869年 誕生 ディミトリ・ミトロプーロス(指揮者)
1924年 初演 ショスタコービチ 交響曲第7番「レニングラード」
1976年 没  ジャン・マルティノン(指揮者)

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ともの『 今日の一花 』      梅 ピンク

昨日堺市の大仙公園に咲く「梅」を撮ったのをアップします。 梅の見頃はまだまだのようです。

3/01
撮影地 大阪府堺市 大仙公園 2006年2月28日  





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最終更新日  2006年03月01日 00時56分50秒
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