プレリュード

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2006年03月08日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽

オーストリアの作曲家リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)は、自分の曲に注目を集めるためか、と思うほどに絶妙なるタイトルを付けています。 自身を描いた「英雄の生涯」、プレイボーイの代名詞「ドン・ファン」、どんな悪戯をするんだろうと思わせる「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、ニーチェの名著そのままの「ツァラトゥストラはかく語りき」、 シェイクスピア悲劇そのままの「マクベス」。 

まるで文学作品そのままの、聴く者の気をひくネーミングはしたたかな計算があってのことだったのでしょうか?

今日の話題の交響詩「ドン・キホーテ」の原作は、スペインの作家ミゲル・セルバンテス(1547-1616)がその円熟期に書き上げた長篇小説です。 

映画やミュージカルでも「ラ・マンチャの男」として採り上げられ、作家セルバンテスの裁判の劇中劇としてこの「ドン・キホーテ」が演じられています。 ミュージカルでは特に「見果てぬ夢」が有名で、今ではスタンダード・ナンバーとしてミュージカル以外のポピュラー音楽としても愛され続けています。


ラ・マンチャの田舎貴族ドン=キホーテと従者サンチョ・パンサの物語をシュトラウス独特のロマンティックで、豊穣な旋律、巧さの極みのヴァリエーション、そしてフランスのラヴェルと共に、近代音楽史上最高といわれる豊かな色彩に彩られたオーケストレーションで描き出していきます。

この曲はドン・キホーテの主題を独奏チェロで表し、掛け合いのように従者サンチョ・パンサの主題(独奏ヴィオラ)による変奏曲の形を取っています。 この有名な物語を変奏曲形式で描いています。 

「騎士的な主題を持つ幻想的な変奏曲」という副題が付けられていて、全体が序奏と終曲を含む12曲の場面から構成された、非常に大規模な変奏曲です。 しかし、主役ドン・キホーテの出番が多く、チェロ協奏曲のような趣のある変奏曲です。



私が一番好きなのは、非常に短い(1分くらい)第7変奏「ドン・キホーテの空中飛行」です。 目の前でドンキホーテが空中を飛んでいるような錯覚におちいるような音楽です。  題材が題材だけにR.シュトラウスの交響詩の中で「面白い」という角度から評すると、一番面白い曲ではないでしょうか。

1898年の今日(3月8日)、この交響詩「ドン・キホーテ」がシュトラウス自身の指揮で初演されています。

愛聴盤(1) エドリアン・ボールト指揮 ニューフィルハーモニア/ジャクリーヌ・デュプレ(チェロ)

5555282 1968年録音
(EMI原盤 5555282 1968年録音 輸入盤)

デュ・プレの力強いチェロの技巧が変奏の妙味を堪能できる稀有の演奏です。 ラロのチェロ協奏曲とのカップリングです。

デュ・プレ

愛聴盤(2) アンドレ・プレヴィン指揮 ウイーンフィルハーモニー

CD80262 1990年録音
(TELARKレーベル CD80262 1990年録音 海外盤)

R.シュトラウスの色彩豊かな、豊穣な音楽を楽しむにはどうしても優秀録音が要求されます。 「録音のテラーク」というキャッチフレーズそのままの、ウイーンフィルの極上のサウンドが楽しめる超優秀録音で、私はモニター用としても使っています。 カップリングは「ドン・ファン」。

プレヴィン
(これは日本プレス盤です)



439027 1986年録音
(ドイツ・グラモフォン 439027 1986年録音 海外盤)

R.シュトラウスとなればカラヤンを聴かずにはおれないでしょう。 自身が磨き上げたベルリンの豊穣なサウンドをフルに駆使して、色彩豊かにR.シュトラウスのオーケストレーションを見事に美しく表現しています。 録音も非常に優秀な、カラヤンが亡くなる3年前の最晩年の遺産です。 カップリングは「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」です。

カラヤン
(これも日本プレス盤です)

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今日の音楽カレンダー

1858年 生誕 レオンカヴァルロ(作曲家)
1869年 逝去 エクトール・ベルリオーズ(作曲家)
1898年 初演 R.シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」
1902年 初演 シベリウス 交響曲第2番
1961年 逝去 トーマス・ビーチャム(指揮者)

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ともの『 今日の一花 』     サンシュユ

これも「春の訪れ」を伝えてくれる嬉しい花です。 これが満開になってやっと桜が開花してきます。 「桜を呼ぶ花」とでも言ってもいいでしょう。

3/08撮影地 大阪市長居植物園 2005年3月12日






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最終更新日  2006年03月08日 01時44分41秒
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