プレリュード

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2006年07月17日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽 』         ヘンデル作曲 「水上の音楽」

ゲオルグ・フルードリッヒ・ヘンデル(1865-1759)には色々なおもしろいエピソードが残っています。 彼はドイツで25歳の時にハーノファー選帝候ゲオルグ・フリードリッヒの宮廷楽長として雇われました。 このハノファー候はとても音楽が好きで、とりわけヘンデルの音楽才能を高く評価していたそうです。 

ところがヘンデルときたら、生来の旅行好きで暇が出来るとヨーロッパを旅する人だったそうです。 そんな折に、彼にイギリスへ渡ろうという気が起こりました。 当時のイギリスにはイタリア・オペラが大流行していたそうです。 それは自国の作曲家ヘンリー・パーセルが逝去した後、イギリスにはパーセルと同等の、あるいはそれ以上の作曲家が輩出しなかったことが理由に挙げられています。

そこに目をつけたヘンデルは宮廷楽長のポストを手に入れたその年にハノーファー候に特別休暇を願い出て、ちゃっかりと許可を得てしまいます。 候もそんなことぐらいでヘンデルにへそを曲げられると困ると思ったのでしょうか、あっさりと許可を出したようです。

喜び勇んで渡英したヘンデルはロンドンで人気を博し、大成功を収めます。 しかし、候との約束もあり一度はハノーファーに戻りますが、1年もしないうちにまたロンドンへ出かけてしまいます。 そして今度はがっちりとイギリス・アン王女のハートを捉えてしまい、快適な年金生活を送ることになりました。 

ヘンデルの人気はロンドンでは絶大なところへ、アン王女のお墨付きをもらったのですから、ハノーファーへ戻る気もありません。 選帝候はおもしろくありませんから帰国命令を出すのですが、ヘンデルはそれを無視してロンドンに定住を決め込んでいます。

ところがヘンデル29歳の時に思わぬ出来事が起こります。 アン王女の急死でした。 それだけでなく、王女亡き後に迎えられたのが何とハノーファー候でした。 ヘンデルは慌てます。 再三の帰国命令を無視したその相手が国王として赴任してくることになったのですから。

しかし、ヘンデルへの高い評価をなしていたハノーファー候も正面切って処罰をできなかったという、音楽好きの弱みがあったようで、厳罰に処することはなかったようです。



その時の新曲が「水上の音楽」です。 このエピソードは勿論フィクションで、ヘンデルへの厚遇だけは本当のようで、以後ヘンデルはイギリスに帰化しています。

音楽はいかにもヘンデルらしい明るさと愉悦に満ちた美しい旋律で、彼の名曲「合奏協奏曲」と並び賞される音楽で3つの組曲から構成されており、後世にハーティが組曲を編集したハーティ版が有名です。

愛聴盤 コレギウム・アウレム合奏団

05472.77414 1971年録音 7/17
(ハルモニア・ムンディ原盤 DHMレーベル 05472.77414 1971年録音 海外盤)

古楽器演奏のはしりのようなディスクで、LPで発売された当時から愛聴してきました盤で、今も変わらず古楽器の響きを楽しんでいます。

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今日の音楽カレンダー 』 

1717年 初演 ヘンデル 組曲「水上の音楽」
1937年 逝去 ガブリエル・ピエルネ(作曲家)

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今日の一花 』                鬼ゆり


7/17撮影地 大阪府和泉市 2006年7月6日





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最終更新日  2006年07月17日 00時20分52秒
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Re:「水上の音楽」/鬼ゆり(07/17)  
オケイ6306  さん
こんばんは。
ハノーファー候には“音楽好きの弱み”、
そして“一計を案じたヘンデル”、
出来上がったのが「水上の音楽」なのですね。
お陰さまで一部ですがクラシックインのCDで、
ウキウキするような曲を楽しませてもらっています。

鬼百合がきれいですね。
我が家の庭にも有った筈、明日見てみようと思います。
この名前もかわいそうかな?
何時も美しく写されたお花が幸せそうです。 (2006年07月17日 00時57分10秒)

とてもおもしろいエピソード  
ともさんは小中高で音楽四方山話を何とかティーチャーで出来そうです。音楽に興味を持つ子がたくさん出そうなそんな予感がしますわ。

鬼ゆり・・・うつむいていても強気な感じがするから不思議です。 (2006年07月17日 01時14分30秒)

Re:「水上の音楽」/鬼ゆり(07/17)  
たけぽ2001  さん
この時期になると各種のユリが咲きますね。
おにわで撮られてのでしょうか、鮮やかなオレンジがとてもきれいです。
当地には観光ユリ園があり、40種類ほど咲くそうです。
残念ながら入場料千円とちょっと高めです。
(2006年07月17日 01時18分42秒)

オケイ6306さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
オケイ6306さん
>こんばんは。
>ハノーファー候には“音楽好きの弱み”、
>そして“一計を案じたヘンデル”、
>出来上がったのが「水上の音楽」なのですね。
>お陰さまで一部ですがクラシックインのCDで、
>ウキウキするような曲を楽しませてもらっています。


この曲は確かに心をウキウキさせる音楽ですね。 とても明るくて愉悦感に溢れています。 ヘンデルはとても楽天的な人だったのかもしれませんね。

>鬼百合がきれいですね。
>我が家の庭にも有った筈、明日見てみようと思います。
>この名前もかわいそうかな?

ほんとにどうして「鬼」なんでしょうね。 かわいそうになります。

>何時も美しく写されたお花が幸せそうです。
-----

ありがとうございます。 花を慈しむ心で撮ることがとても大切なことだと最近になってようやくわかってきました。

(2006年07月17日 02時32分25秒)

e-timeさん、ありがとうございます  
とも4768  さん
e-timeさん
>とてもおもしろいエピソード
>ともさんは小中高で音楽四方山話を何とかティーチャーで出来そうです。音楽に興味を持つ子がたくさん出そうなそんな予感がしますわ。


それは過分なお言葉です。 ただ学生時代に知った音楽家・演奏家のエピソードは、やはり私に音楽への興味を掻き立てたことは事実ですね。

>鬼ゆり・・・うつむいていても強気な感じがするから不思議です。
-----

おそらく「ゆり」のなかで一番力強さを持った花ではないでしょうか? この花にはとても「歩く姿はユリの花」なんて例えが合っているとは思えませんね。

(2006年07月17日 02時37分01秒)

たけぽ2001さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
たけぽ2001さん
>この時期になると各種のユリが咲きますね。
>おにわで撮られてのでしょうか、鮮やかなオレンジがとてもきれいです。
>当地には観光ユリ園があり、40種類ほど咲くそうです。
>残念ながら入場料千円とちょっと高めです。
-----

千円はちょっと高いですね。 うちの近所のおうちの庭にはもう鉄砲ユリやカサブランカが満開の花をつけています。 今までに撮影の練習で何度も撮りましたので今年は撮っていませんが、この鬼百合だけは別で、何とか違う表情を見つけようと毎年撮っています。

(2006年07月17日 02時42分02秒)

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