プレリュード

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2007年05月01日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽 』   ドヴォルザーク作曲 交響曲第6番ニ長調


アントニーン・ドヴォルザーク(1841-1904)という作曲家の頭はどういう構造をしているのだろう、と思うことがあります。 チェコのスメタナ(1824-1884)亡き後、チェコ国民楽派の第一人者として揺ぎない地位を確立して、交響曲、室内楽、管弦楽曲などに優れた作品を数多く残していますが、彼の音楽に共通しているのは「スラブ的・ボヘミア的哀愁」に彩られた美しい旋律であると言えるでしょう。

ドヴォルザークの音楽はとどめもないくらいに、美しい旋律が次々と現れては消え、消えては新たな魅力的な旋律が現れて消える、「方丈記」ではないですが、まるで河のように美しい音楽が滔々と流れています。

9曲の交響曲、「スラブ舞曲」や交響詩、チェロ協奏曲やピアノ協奏曲、弦楽四重奏曲「アメリカ」、ピアノ三重奏曲「ドゥムキー」、五重奏曲などの室内楽作品、どれをとっても美しい旋律に満ち溢れており、しかもそれぞれがとても親しみやすい音楽であることが特徴で、スラブ的・ボヘミア的哀愁を伴った哀感に溢れています。

そんな中でも交響曲第6番ニ長調 作品60は、そのドヴォルザークの音楽の特徴を最も表したもので、全曲がボヘミア的な郷愁美にあふれています。

耳に馴染み易い旋律が次々と出てきて、メロディー・メーカー・ドヴォルザークの面目躍如みたいな楽しい曲です。 ボヘミアの民族感情がほとばしり出るようだし、終始明るく陽気で、大衆に受け入れられ易い曲のような旋律の美しい音楽で、この第6番の交響曲ももっと聴かれても良い曲ではないか、と思います。

ところでこの曲、ドヴォルザーク生前の交響曲番号でいうと第1番になっています。 1882年にジムロック社より出版された最初の交響曲ということになっているそうです。 しかし彼が書いた最初の交響曲でもないようです。 まだ充分に調べておりませんので、いづれ調べてみるつもりです。

今日はドヴォルザークの命日です。 最も彼らしいこの交響曲第6番を聴いてみようと思います。



ORFEO552011 1981年10月12日ライブ録音
(ORFEOレーベル ORFEO552011 1981年10月12日録音 海外盤)

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マニラの熱い夜

最近アメリカで盛んに銃による襲撃事件が起きているし、日本でも立てこもり事件があったためか、30年前に起こったマニラでの事件が思い出されます。

当時フィリピン・マニラ近郊に合弁会社を設立して工場の稼働が動き出した頃でした。 日本から駐在として派遣されて間もない頃の事件です。

当夜は日本の銀行の駐在員と夕食を共にして、二次会に悪名高いマビニ通りへ二人で飲みに行きました。 痛飲して店を出たのが12時を過ぎており、彼とは店の前で別れました。

いつもなら馴染みのタクシーが店の前で待っているんですが、その夜は1台もなくて流しのタクシーを拾って、そこから30分ほどのマカティ市にある自宅に帰るところでした。 車が走り出してすぐにうとうとと眠ってしまい、目が覚めると外の景色が違うことに気が付きました。

運転手に「道が違うぞ! Bell Airに行くんだぞ!」と注意すると、近道を走っているんです、という答え。 時計を見ると12時20分。 「そうか」と思いまたうとうとする始末。

目が覚めるとマカティの近代的な建物が無くて、スラムのようなところを走っており、細い道に車が入り込んだ。 両側には胡散臭い男連中が長椅子に座って、タクシーが通るのを見送っている。

そこで初めて「やられるな!」と感じて、脇に置いてある書類カバンに潜めてあるコルト45のグリップを握っていました。 汗がどお~と体内から噴き出してくる。



運転手はびっくりして住友銀行の金文字手帳をほんとに国際警察と思ったのか、車をバックさせて大通りへと出た。 3人の男は茫然と見送るしかありません。

ペニンスラ・ホテルへ戻る間、私はコルト45を運転手の項にぴたりと付けて運転をさせていました。 彼は「自分には子供が3人いて警察に捕まると彼らが生きていけないから勘弁してください」と半泣きになっていました。

私は面倒な警察沙汰にしたくないので、とにかくペニンスラ・ホテルへと急がせて、やっと着いて車から降りると、散々彼を脅してから車を降りて、彼を逃がしてやりました。 タクシーが見えなくなると、足がブルブルと震え出してその場にへたり込んでしまいました。

銃は半ば必需品でした。 それほどマニラの街は白昼でも怖いところでした。

そんな思い出を振り返っていました。



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今日の音楽カレンダー


1786年 初演 モーツアルト オペラ「フィガロの結婚」
1886年 初演 フランク 交響的変奏曲
1898年 初演 デュカス 交響詩「魔法使いの弟子」
1904年 没  アントニーン・ドヴォルザーク(作曲家)
1978年 没  アラム・ハチャトリアン(作曲家)

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ともの『 今日の一花 』       コデマリ


今はどこの庭、公園でも満開の花を咲かせています。



5/01撮影地 堺市大仙公園 2006年4月21日

ばら科 シモツケ属

開花時期 4月中旬~5月中旬
中国から渡ってきたそうです。

小さな花が丸く集まり、手毬のように咲くことから「小さな手毬」で「小手毬」になったそうです。






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最終更新日  2007年05月01日 07時43分22秒
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Re:マニラの熱い夜/コデマリ(05/01)  
たけぽ2001  さん
海外駐在も命がけですね。実話の迫力を感じます。
私は米国のガンクラブでセミオートとリボルバーの講習を受けて射撃をしましたが、取り扱いが容易なのと思った以上に命中することに驚きました。
コルトガバメントも撃ちました。迫力のある銃です。
米国も今のままでは似たような事件がまた何度も起きることでしょう。
コデマリの写真は平和そのもの、いつまでもこういう写真を撮り続けられる社会であって欲しいものです。
(2007年05月01日 01時06分01秒)

Re:マニラの熱い夜/コデマリ(05/01)  
紀 健幸  さん
 凄い迫力ですね。

 御隣の国で、撃ったことは、ありますが。


 (ところで)好きな花です。 (2007年05月01日 06時25分13秒)

たけぽ2001さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
たけぽ2001さん
>海外駐在も命がけですね。実話の迫力を感じます。
>私は米国のガンクラブでセミオートとリボルバーの講習を受けて射撃をしましたが、取り扱いが容易なのと思った以上に命中することに驚きました。
>コルトガバメントも撃ちました。迫力のある銃です。
>米国も今のままでは似たような事件がまた何度も起きることでしょう。


私が駐在した30年前はまだマルコス時代で贈収賄が横行していた時代でした。 銃は400ドルだったと記憶していますが会社で内緒で買いました。当時日本人商社マン一家5人が強盗に全部殺された事件があり、それで買うことを決めたのですが、一度も射撃経験がなくて、この事件の時もはたしてまともに撃てるかどうか疑問で、全身汗びっしょりでした。

>コデマリの写真は平和そのもの、いつまでもこういう写真を撮り続けられる社会であって欲しいものです。
-----

ほんとにそう思います。カメラを持って静かにファインダーを覗ける社会が幸せで、いつまでもこういう世界でいたいですね。


(2007年05月01日 06時29分42秒)

紀 健幸さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
紀 健幸さん
> 凄い迫力ですね。

> 御隣の国で、撃ったことは、ありますが。


この時はまだ一度も銃を撃った経験がなくて、何かあれば撃てるかどうか不安で、全身畦びっしょりでホテル玄関で腰砕けのように座り込んでしまいました。

まだ32さいの時の事件でした。

> (ところで)好きな花です。
-----

とても可愛い初夏を彩る花ですね。


(2007年05月01日 06時33分06秒)

Re:交響曲第6番/マニラの熱い夜/コデマリ(05/01)  
にゃお10  さん
私の中ではマイナーな作品なので、まだ聴いたことがありません。
でも、この作品を今度の演奏会でやります、という方が、
タイムリーながら楽天ブログで書いておられましたので、
これをきっかけに、有名な9番から順次遡って聴きたいと思います。
初めて聴いても、ドヴォルザークの作品はどれも、すぐに馴染めるので
好きな作曲家の一人ですね。 (2007年05月01日 13時53分51秒)

にゃお10さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
にゃお10さん
>私の中ではマイナーな作品なので、まだ聴いたことがありません。
>でも、この作品を今度の演奏会でやります、という方が、
>タイムリーながら楽天ブログで書いておられましたので、
>これをきっかけに、有名な9番から順次遡って聴きたいと思います。
>初めて聴いても、ドヴォルザークの作品はどれも、すぐに馴染めるので
>好きな作曲家の一人ですね。
-----

この曲は彼の交響曲の中でも最もボヘミア的な旋律にあふれた曲だと思います。 とても素朴でメロディー・メーカーとしてのドヴォルザークの良さが如実に表れた作品だと思います。 ピアノ・トリオ「ドゥムキー」と同格の素朴な味わいがあります。

第8番・第9番などよりず~と素朴で大好きな曲です。とにかくドヴォルザークの音楽はどれを聴いてもボヘミア・スバル的な旋律に満ちていて、とても聴きやすい曲ばかりですが。
(2007年05月01日 15時18分27秒)

第6番なんて、初めてです。  
ブログを読んでいると大変特徴のある曲のようですね。ぜひ耳にしたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。 (2007年05月01日 19時18分42秒)

ビーンズましやんさん、ありがとうございます  
とも4768  さん
ビーンズましやんさん
>:第6番なんて、初めてです。 ブログを読んでいると大変特徴のある曲のようですね。ぜひ耳にしたいと思います。
>今後ともよろしくお願いいたします。
-----

この曲は日本の演奏会などでもっと採り上げていい曲なんですが、なぜか敬遠されていて8番とか9番ばかりなんですね。 もっと聴かれていい曲だと思います。


(2007年05月01日 23時03分35秒)

武勇伝  
たろむ  さん
凄い武勇伝ですね

更新もその後は精力的になさっていて安心しました
こちらは仕事が忙しくなったせいで、ほとんど更新でき
なくなっちゃいましたけど今後ともよろしくお願いします (2007年05月01日 23時53分52秒)

たろむさん、ありがとうございます  
とも4768  さん
たろむさん
>凄い武勇伝ですね

>更新もその後は精力的になさっていて安心しました
>こちらは仕事が忙しくなったせいで、ほとんど更新でき
>なくなっちゃいましたけど今後ともよろしくお願いします
-----

体の麻痺がなくて言語障害と血圧が高いというだけなので、これは「神さまからの贈り物」と思って更新に勤しんでいます。 朝が一番血圧が高くて230/130というような数値です。 降圧剤で下がるとは思うのですが、まだ効果は出ておりません。 医師を信じて頑張っています。

こちらこそどうぞよろしくお願い致します。

(2007年05月01日 23時58分04秒)

おはようございます。  
ドヴォルザークの第6交響曲、まさにクーベリックのorfeo盤がいいです。ここで取り上げてくださったのが我が事のようにうれしいです。ドヴォルザークの曲はどれもいい匂いがします。

危うく遭難されそうになった話、『課長 島耕作』を思い出しました。すでに銃をかばんに忍ばせてあったのはそういう危険があるのを予想されておられたのでしょうね。また、危険への対応と機転の素早さに感嘆しました。とっさとはいえ、よほどの気構えがないとできないことです。

(2007年05月02日 08時04分56秒)

Re:05/01)  
とも4768  さん
ザ・百姓野郎さん
>おはようございます。 ドヴォルザークの第6交響曲、まさにクーベリックのorfeo盤がいいです。ここで取り上げてくださったのが我が事のようにうれしいです。ドヴォルザークの曲はどれもいい匂いがします。


クーベリック盤は第6、7,9番と持っていますが、どれもすごく彼特有のしなやかな旋律線がいいですね。土着の匂いと洗練された感覚の入り交ったいい演奏です。

>危うく遭難されそうになった話、『課長 島耕作』を思い出しました。すでに銃をかばんに忍ばせてあったのはそういう危険があるのを予想されておられたのでしょうね。また、危険への対応と機転の素早さに感嘆しました。とっさとはいえ、よほどの気構えがないとできないことです。
-----

会社には内緒で常に銃を携帯しておりました。 白昼でも顔を見られたからと殺される外国人がいました。マルコス時代末期のどうしようもないドロドロとした時代でした。 自分の身は自分で守るという今のアメリカほどではありませんが、そういう環境に置かれると銃の携帯も余儀なくされますね。 決して今のアメリカを擁護するわけではありませんが。

(2007年05月02日 09時31分31秒)

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