プレリュード

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2007年06月18日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽 』  小山実稚恵が弾くショパンの「バラード」

今日はオペラ「魔弾の射手」ともう一つ紹介しておきます。 小山実稚恵が弾くショパンの「バラード」。

「バラード」とは、もとは「舞踊歌」のことで、18世紀ごろに叙事詩のような性格をもった声楽曲となり、やがて器楽曲になっていったものでショパンがそれを芸術的に高めたものでした。

バラードの意味からすると物語性があるような感じがするのですが、ショパンは標題音楽とせずに絶対音楽として書いているようです。 この作品を書いたのはポーランドの詩人ミツケヴィッチが書いた14編の「バラードとロマンス」の第1集を読んでインスピレーションを得たと言われていますが、聴く側はそういうエピソードにとらわれず自由に空想を楽しみ、音楽から生まれる空想に浸れば良いと思っています。 またエピソードにとらわれようにも、ミツケヴィッチの詩を探すのが大変です。 勿論、私も読んだことがありません。

第2番では主要主題がポーランドの「伝承歌謡」から得た旋律と言われていますが、ミツケヴィッチにしろ「伝承歌謡」にしろ祖国ポーランドへの郷愁が書かせたのかなと思っています。

ショパンは全4曲を書いています。 いずれもスケールの大きい曲ばかりで、音楽は実に自由な形式で書かれています。 

そして大きな特徴は6拍子で書かれていることです。 第2番~第4番まではすべて8分の6拍子で書かれていて、第1番のみ4分の6拍子で書かれています(但し、序奏は4分の4拍子です)。
これは「語る」ことに徹しているのだろうと思います。 ミツケヴィッチの詩から得たインスピレーションで書いた音楽を、「語り」として音楽で表そうとしたのかな、と想像しています。 音楽はまさにその通りで、全4曲ともいつくしみながらショパンが語っているかのように書き綴られています。 



もう一つの特徴は音楽がとても男性的に表現されていることです。 彼の「スケルツオ」もそうですが、他の彼のピアノ曲に比べてとても男性的な表現になっているのが特徴です。

小山実稚恵のこの「バラード」は2005年10月に新譜としてリリースされたディスクで、ここに紹介するまでもなくいまや国際的ピアニストとして円熟の境地に入っている女性。 特に女性ファンが多いピアニストです。 ショパン・コンクール、チャイコフスキー・コンクールで入賞という快挙を成し遂げて以来、ショパンは小山実稚恵の代名詞のようでした。 その後ロシアン・アルバムなどレパートリーを広げていき、またショパンに戻っての録音。

この4曲を実に深い音色で弾いています。 第1番からもう小山ワールドへ引き込まれてしまいます。 まさに「物語風」にしかもしっとりとした情緒で弾いています。 特に弱音の美しさは特筆すべき美しさにあふれています。 全4曲を聴いて「あ~、ショパンのバラードというのはこういう音楽だったのか」と改めてその美しさを再認識しました。 今まではプレトニョフのニューヨーク・ライブを聴いて、「もうこれでバラードは、他のディスクはいらない」と感じていたのに、今年になって衝動買いで手にした盤ですが、完全に打ちのめされた感があります。

音は透明で、もちろん粒立ちの良さは抜群、ぺダリングの活用による絶妙なる音色。 そして「バラード」の空想を豊かに響かせる業は凄い! これからショパンのバラードを最新の優秀録音で聴きたい方に真っ先にお薦めのディスクです。


SICC10028 2005年3月ー4月録音
(ソニークラシカル SICC10028 2005年3月ー4月録音)


今日はウエーバーのオペラ「魔弾の射手」ともう1枚のハイビスカスを掲載しています。 そちらの方もどうぞご覧下さい。

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今日の一花 』    ハイビスカス



6/18撮影地 大阪市立長居植物園





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最終更新日  2007年06月18日 06時57分05秒
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Re:小山実稚恵「バラード」(06/18)  
紀 健幸  さん
 黄色のハイビスカスって、あるんですね。 (2007年06月18日 06時34分58秒)

紀 健幸さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
紀 健幸さん
> 黄色のハイビスカスって、あるんですね。
-----
ハイビスカスはいろいろな色の花があるようですね。やはりハワイや沖縄のような暑い国・県に似合う原色があうのでしょうか。
(2007年06月18日 06時47分29秒)

Re:小山実稚恵「バラード」(06/18)  
ネネ4780  さん
おはようございます
こちらで紹介されると、すぐ手元のクラシック100を見るクセがつきました。
でもなかなか同じものが無いので残念です・・・

義父の部屋には義父が買って来た真っ赤な花が咲くハイビスカスがあります。
入院さわぎで枯らしてしまう所でしたが、なんとか元気になり又 蕾もでてきました・・・
ホッとしています。 (2007年06月18日 06時50分53秒)

ネネ4780さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
ネネ4780さん
>おはようございます
>こちらで紹介されると、すぐ手元のクラシック100を見るクセがつきました。
>でもなかなか同じものが無いので残念です・・・

HMVのHPでは試聴もできるディスクもあるようです。HMV JAPANで検索できます。

>義父の部屋には義父が買って来た真っ赤な花が咲くハイビスカスがあります。
>入院さわぎで枯らしてしまう所でしたが、なんとか元気になり又 蕾もでてきました・・・
>ホッとしています。
-----

それは良かったですね。 花が枯れてしまうのはほんとに残念で花にも申し訳ないと思ってしまいます。開花が待ち遠しいですね。 ハイビスカスはやはり赤それも深紅がいいですね。

(2007年06月18日 06時55分03秒)

バラード♪  
ご無沙汰しておりますm(_ _)m

ショパンのバラードは大好きな曲で、1番と3番は演奏会で弾いて勉強をしたのですが、なんせ奥が深いです。
ともさんのおっしゃっているように、1番はとても『語って』いて、いかに存在感のあるp(弱)の音を鳴らすか、というのに苦労をしました。
3番は、私は「乙女」な雰囲気を感じていて、ロマンチックな気分になります*^-^*

今、実は来年の演奏会でショパンのバラード4番を弾くか、スケルツォの4番を弾くか悩んでいるところなのですが・・、
どちらも大曲で、どちらも素敵で・・・どちらも難しいです(+ +)(笑)

ついついともさんの日記に引き込まれてしまいました☆
これからもよろしくお願いいたします♪
(2007年06月18日 11時22分45秒)

Re:小山実稚恵「バラード」/ハイビスカス(黄色)(06/18)  
ショパンのバラード4曲は、どの曲が一番といえないくらい、全部大好きです^^)サンソン・フランソワの演奏が好きなので、よく聞いています。
確か、それぞれに詩がついていたけど、あまり音楽には関係なさそうです。
3番の水の精の話は、ぴったりなんですけどね (2007年06月18日 12時37分50秒)

Re:小山実稚恵「バラード」/ハイビスカス(黄色)(06/18)  
にゃお10  さん
このCDは持っています。リサイタルの時にサインも頂きました。
ともさんのおっしゃるように、小山さんのピアノは「弱音の響きが美しい」
というのは私も全く同感です。ほんといいバラード集です。
でも、この小山さんのショパンをお聴きになるまで
プレトニョフ氏のピアノをずっと楽しんでおられたことは興味深いです。 (2007年06月18日 13時09分51秒)

しあわせのたねさん、ありがとうございます  
とも4768  さん
しあわせのたねさん
>ご無沙汰しておりますm(_ _)m

こちらこそご無沙汰致しております。 今日はコメントをありがとうございます。

>ショパンのバラードは大好きな曲で、1番と3番は演奏会で弾いて勉強をしたのですが、なんせ奥が深いです。


確かに大きい曲ですね。 演奏時間ではなくて内容がとても深いですね。 これまでルービンシュティンの演奏をLP時代から聴いていましたが、CDになって色々な演奏を聴いていたのですが、自分のイメージと小山さんの演奏が一番合っているように感じています。

>ともさんのおっしゃっているように、1番はとても『語って』いて、いかに存在感のあるp(弱)の音を鳴らすか、というのに苦労をしました。


第1番は弱音の美しさをどう表現するかでしょうね。とても難しいことだと思います。

>3番は、私は「乙女」な雰囲気を感じていて、ロマンチックな気分になります*^-^*


やはり人によって色々と空想があるんですね。 男性と女性ではちがいもあるでしょうね。 私は牧場のような牧歌的気分を第3番からイメージしています。

>今、実は来年の演奏会でショパンのバラード4番を弾くか、スケルツォの4番を弾くか悩んでいるところなのですが・・、
>どちらも大曲で、どちらも素敵で・・・どちらも難しいです(+ +)(笑)


どちらも男性的なスケールの曲なので選曲にも困るでしょうね。 私の好みでは「バラード」の方が好きですね。 「スケルツオ」に比べてまだ女性的で自由な空想を味わえますから。

>ついついともさんの日記に引き込まれてしまいました☆
>これからもよろしくお願いいたします♪
-----

来年の演奏会に向けて頑張ってくださいね。 近ければ応援に行きたいのですが、遠いですね。

ご自愛大切に頑張ってくださいね。

(2007年06月18日 16時43分35秒)

きよりん0518さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
きよりん0518さん
>ショパンのバラード4曲は、どの曲が一番といえないくらい、全部大好きです^^)サンソン・フランソワの演奏が好きなので、よく聞いています。


私も4曲全部好きです。 フランソワでショパンの曲はLP時代によく聴きましたが、この「バラード」は聴いていませんでした。 フランソワは最もショパンのイメージが強いピアニストだと思います。

>確か、それぞれに詩がついていたけど、あまり音楽には関係なさそうです。
>3番の水の精の話は、ぴったりなんですけどね
-----

第3番は、私はどうしても牧歌的イメージで牧場などを想像して聴いています。やはり個人差があるのですね。

(2007年06月18日 16時47分19秒)

にゃお10さん、ありがとういございます  
とも4768  さん
にゃお10さん
>このCDは持っています。リサイタルの時にサインも頂きました。


それはいい思い出になりましたね。 この話は確かにゃおさんのページで書いておられましたね。 そんな記憶があります。

>ともさんのおっしゃるように、小山さんのピアノは「弱音の響きが美しい」
>というのは私も全く同感です。ほんといいバラード集です。


価格は3000円しますがとても優れた演奏だと思います。 最近は再発売盤ばかりを目当てに買いますので、1枚3000円は退いてしまいますね。 でもそれだけの価値のある演奏だと思います。

>でも、この小山さんのショパンをお聴きになるまで
>プレトニョフ氏のピアノをずっと楽しんでおられたことは興味深いです。
-----

プレトニョフに対してそれほどこだわりはないのと、彼がショパン弾きというわけではありませんが、ルービンシティン以来感動した「バラード」でした。


(2007年06月18日 16時52分49秒)

Re:小山実稚恵「バラード」/ハイビスカス(黄色)(06/18)  
たけぽ2001  さん
素晴らしい黄色ですね。
すごく力強く咲いていて、みなぎるようなパワーを感じます。
我が家のハイビスカスもようやく蕾が付きましたが、あまり立派な花は咲きそうにありません。
(2007年06月18日 21時35分22秒)

たけぽ2001さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
たけぽ2001さん
>素晴らしい黄色ですね。
>すごく力強く咲いていて、みなぎるようなパワーを感じます。
>我が家のハイビスカスもようやく蕾が付きましたが、あまり立派な花は咲きそうにありません。
-----

ほんときれいな黄色でハイビスカスはやはり原色が一番似合うなと思いました。 この花はやはり深紅かき色ですね。

仰るように力強さがありますね。


(2007年06月19日 00時14分08秒)

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