プレリュード

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2008年12月04日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽 」     チャイコフスキー作曲 ヴァイオリン協奏曲


クラシック音楽の好きな人たちの間で「メン・チャイ」という言葉がありますが、メンデルスゾーンの流麗かつ美しいヴァイオリン協奏曲とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の二つを指して言う言葉なんですが、それほどにこの二人の協奏曲はポピュラリティを確立しており、レコード会社も新進気鋭の若手を売り出す録音にはよほど勇気がいる2曲とまで言われているくらいに、名演奏が目白押しのポピュラーな曲になっています。

ところがこの曲の初演当時は、オーケストラの楽員からでさえも不評を買うほど惨めな初演での批評だったそうです。 

チャイコフスキーには、「初演は不評」、というジンクスがあったのでしょうか? 「白鳥の湖」や「悲愴」交響曲など、今日のクラシック音楽の大スターとなっている曲は、初演時にはさんざん酷評されたそうです。 この協奏曲もこれら2曲と同じ運命をたどっています。 以下はこの曲にまつわる有名なエピソードです。

1878年、チャイコフスキー38歳の時に書かれたこの曲は、ロシアの大ヴァイオリニストと呼ばれ、ハイフェッツやミルシティンの師匠でもあったレオポルド・アウアーにスコアの草稿を献呈のつもりで送ったのですが、アウアーの返事は冷たいもので「技術的に演奏することは不可能な曲」と言われたのです。 天下の大ヴァイオリニストが「演奏不能」とレッテルを貼ってしまったので、その後陽の目を見るまで3年かかったそうです。

この曲がやっとステージに上ることができたのは、なんとウイーンでした。 そうです、名門ウイーンフィルで、しかも指揮者は当時名指揮者と賞され、後にブラームスとも深い関わりを持つようになったハンス・リヒターでした。 ヴァイオリン独奏はチャイコフスキーの友人のブロッキーでした。

ところが、この当時のリヒターもウイーンフィル団員もこの曲の真価を理解できなかったのか、あるいはこの曲を好きになれなかったのか、演奏は惨憺たる出来に終わり、ウイーンの批評家たちから酷評され「安物のウオッカ」とまで評されたそうです。

しかし、ブロッキーはこれらの酷評にめげず、その後もヨーロッパ各地でこの協奏曲を弾き続けていたおかげで、次第にこの曲の良さを理解されるようになり、3大ヴァイオリン協奏曲の一つとまで呼ばれる名曲の一つとなったのです。



第二楽章は「カンツォネッタ」と題されている「歌」の楽章で、哀愁に溢れた美しい旋律が聴く者の心を捉える、チャイコフスキー独特のスラブ的な美しさいっぱいの音楽です。

一言で形容するなら「ボルシチ」料理といったロシア色濃厚な、ロマン的な音楽です。 まさにウイーンの批評家が表現した「安物のウォッカ」がそのまま当てはまるようなロシア音楽そのまんまといった曲です。

1881年の今日(12月4日)、このヴァイオリン協奏曲が上述のようにウイーンで初演されています。

愛聴盤   

アンネ=ゾフィ・ムター(Vn) アンドレ・プレビン指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団

4745152 2003年
(ドイツ・グラモフォン 474 5152 2003年9月録音 輸入盤)

カラヤンとの共演から15年、今回は録音当時夫君だったプレビンとのおしどり共演で、夫婦となってから2枚目のCD(1枚目はプレビン作曲の「愛妻に捧ぐ」Vn協奏曲)です。

第1楽章からムターのVnは、表情づけが濃厚で、熱く歌いこんでいます。 スケールの大きな表現と、スラブ色を超えた、もっと濃厚なロマン的な演奏で、彼女が年を重ねるごとにこの傾向が強く表れており(クルト・マズア指揮ニューヨークフィルの'97年ライブ録音のブラームス、同じ共演で2002年のライブ録音のベートーベン)、今回の演奏では前作のブラームス、ベートーベンを上回るほどの濃厚な表現で、妖艶なまでの美音・表情に圧倒されました。

カップリングはコルンゴルド(1897-1957)のVn協奏曲。 アンドレ・プレビンがぞっこん惚れこんでいる作曲者で、ドイツを追われてアメリカ・ハリウッドで映画音楽に従事した後に書かれた曲で、プレヴィンにとって3回目の録音。 まるで映画音楽の中に入り込んだような曲、演奏で、ムター節全開です。

私はこのコルンゴルドを聴きたくて買ったのですが、チャイコフスキーの素晴らしさに圧倒されました。 この曲を見直したと言っても過言ではない、強烈なインパクトでした。


その他の愛聴盤



09026.61743 57年
(RCAレーベル 09026.61743 1957年録音 海外盤)



(2) キョン・チョン=ファ(Vn) シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団

UCCD7007 1981年
(DECCA原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCD7007 1981年録音)



(3) ナージャ・サレルノ=ソネンバーグ(Vn) オールソップ指揮 コロラド響

AVCL25111 2004年
(Avexレーベル エイペックス AVCL25111 2004年ライブ録音)





TOCE14206 1988年
(EMI原盤 EMIミュージック TOCE14206 1988年)

12月28日に再発売の予定です。



(5) リーラ・ジョセフォウィッツ(Vn) ネヴィル・マリナー指揮 イギリス室内管弦楽団

UCCD3319 1994年
(Philips原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCD3319 1994年録音)



(6) ヴァディム・レーピン(Vn) ゲルギエフ指揮 キーロフ歌劇場管弦楽団

473343 2002年
(Philipsレーベル 473343 2002年録音 海外盤)

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今日の音楽カレンダー

1881年 初演 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
1976年 没  ベンジャミン・ブリテン(作曲家)

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慶沢園の紅葉

昨日は天王寺に所要があって出かけたので、奈良公園まで足を延ばして紅葉を撮って来ようと思いましたが、天王寺で時間がかかってしまい奈良行きをやめて、天王寺公園内にある「慶沢園」の紅葉をチェックして撮ってきました。



慶沢園





慶沢園
撮影地 大阪市立天王寺公園 2008年12月3日







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最終更新日  2008年12月04日 01時32分39秒
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