プレリュード

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2010年08月20日
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「名曲100選」  ブラームス作曲 ヴィオリン協奏曲ニ長調

ヨハネス・ブラームス(1833-1987)はヴァイオリン協奏曲を1曲だけ書き残しています。1878年、ブラームス45歳の作品です。作曲家が協奏曲の名曲を生み出すきっかけは独奏楽器の名手との出会いがあります。 モーツアルトとクラリネット奏者シュタットラーの出会いによる名曲「クラリネット協奏曲」や、チャイコフスキーとピアノのニコライ・ルービンシュタィンの出会い、ブラームスとクラリネット奏者ミュールフェルトの出会いで生まれた名曲「クラリネット五重奏曲」などが挙げられます。

このヴァイオリン協奏曲も、当時名ヴァイオリニストであったと言われているヨアヒムとの出会いで生まれています。 ヨアヒムは自らも3曲のヴァイオリン協奏曲を書いたと言われているほど、ヴァイオリンについての当時第一人者であったようです。

そのヨアヒムに作曲家と早くから認められていたようで、友情さえも生まれているようです。

この作曲に関してヨアヒムに意見を求めるなど、ブラームスはまるで共同作業のように書かれたと言われています。

ブラームスはユーゴスラヴィアの近くのペルハッチャという所の美しい自然を愛していたようで、音楽全体が「田園」を想像するような交響曲第2番もこのベルハッチャで書かれているのですが、ヴァイオリン協奏曲もここで書かれているためでしょうか、牧歌的な情緒が第2楽章に色濃く陰を落としています。

ピアノ協奏曲などと同じように、この曲もブラームス特有のオーケストラ部は分厚いハーモニーと交響楽的な響きを持っています。まるで交響曲のようなオーケストラパートは、独奏ヴァイオリンを圧倒しているので、ソロ・ヴァイオリンはその音に負けずに弾くことは、大変だろうと思います。

しかし、こうした響きの管弦楽にも負けぬ独奏ヴァイオリンは、詩的な情緒を醸し出していて、しかもオーケストラに一歩も引かない迫力を備えていて、しかも情熱的で熱情さえ感じられる力強さを感じます。

ベートーベンやメンデルスゾーンの協奏曲のような旋律性に富んだ曲とは違って、親しみにくいところもありますが(約50年前にはこの曲や同じブラームスのピアノ協奏曲などは、音楽評論家たちから交響楽的響きで聴きづらい音楽などと書かれていたのを思い出します)、やはりブラームスらしい渋い趣きの、しかし美しい曲です。


愛聴盤 



SK89469
(SONY SK89649 2001年6月録音 輸入盤)

この録音当時はまだ20歳くらいだったと思いますが、ハーンの弾くヴァイオリンの音色は第1楽章の主題からして惹き付けられる冴えた技巧で、輝くような音色を楽しめる1枚です。

(2) ムター(Vn) カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー

445514
(ドイツ・グラモフォン 445515 1981年録音 海外盤)

まさに豊穣と言える天才少女ヴァイオリニストがカラヤンに見出されて、秘蔵っ子として以降カラヤンに帯同して世界をめぐるコンサートツアーに旅立った記念碑的な演奏。 カラヤンをあまり好まない(オペラ以外)私もこのブラームスには脱帽する、カラヤン美学が曲の隅々まで琢磨された演奏で、誰もが納得の素晴らしいディスク。 ベルリンフィルの見事なアンサンブルには言葉もありません。

(3) ムター(Vn) クルト・マズア指揮 ニューヨークフィル

457075
(ドイツ・グラモフォン 457075 1997年録音 海外盤)

81年のカラヤンとの共演から16年。 このディスクにはムターの成長が鮮やかに刻み込まれています。 ものすごく官能的な音色、表情付け、テンポが遅くフレージングにムターの息遣いが聴き取れるような、むせ返るほどの熱演。 81年盤との比較試聴も面白いディスクです。

(4) ムローヴァ(Vn) アバド指揮 ベルリンフィルハーモニー

4802615 1992年
(Philips 4757454 1992年1月 東京ライブ)

アバド、ベルリンとの夢の競演を行った東京の演奏会ライブ録音。 ムローヴァの美しい音色、伸びのいい高域での美音、表情豊かな音楽性がアバドの指揮によるベルリンフィルとの美しいアンサンブルに溶け合った、コンサートでの記録。







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最終更新日  2010年08月20日 00時36分30秒
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Re:ブラームス ヴァイオリン協奏曲(08/20)  
嫌好法師  さん
私の元旦の聴き始めは、この曲からです。その日がこの曲の初演日だからです。飽きさせない名曲ですね。
ちなみにシューマンのピアノ協奏曲も元旦が初演日です。 (2010年08月20日 19時09分56秒)

嫌好法師さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
嫌好法師さん
>私の元旦の聴き始めは、この曲からです。その日がこの曲の初演日だからです。飽きさせない名曲ですね。
>ちなみにシューマンのピアノ協奏曲も元旦が初演日です。
-----

私の元旦の聴き初めはモーツアルト Vn協奏曲第3番。まづこの曲を聴いて(もう30年程これは変わりません)から、3曲を毎年一曲づつ聴いています。 ブラームスのこの協奏曲、シューマンのピアノ協奏曲、ドヴォルザークの弦楽四重奏曲「アメリカ」です。これら3曲が元旦初演でからです。

元旦からこういう曲を聴くのは心が引き締まる思いがします。モーツアルトのVn協奏曲の後ですから、余計にそれを感じます。

(2010年08月20日 23時13分26秒)

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