夢のゴミ箱

夢のゴミ箱

第5話 Blue Jean




巡り来るVENUS 抱き寄せて


お揃いの想い出を分け合って


辿り着くPARADISE 忘れない


派手に月夜 最高のKISSよ もう一度


逢い戻りは蜜の味 夏色のBlue Jean
















時はすでに夜中の2時をまわっていた。



部屋は重い空気につつまれていた。



時計の音が大きく感じる・・・。










俺は静寂を破った。





「ちょっとドライブ行こうぜ」





俺は絵里子が元気になればいいと思ってドライブしに行くことにした。





車でいろいろと話していくうちに、彼女に笑顔が戻っていった。










そして、海の見える公園についた。





「ほら~~ここ、俺の好きな場所だよ! いいところだろ~。」



「ホントだねぇ~!! いいねぇ!!」





俺達は気持ちのいい夜風に吹かれながら波音をBGMに少し歩いた・・・。















「なぁ・・・」















「ん?」















「手ぇ、つなごっか・・・」















「えっ・・・・・・・・」















「・・・・・・・・やっぱダメ?」















「・・・・・・・いいよ。」















「・・・そいじゃあ右手出して。 ・・・お足元にお気をつけくださいお嬢様。」





「ハハッ。 あら。ありがとう。」





「あ~俺、今、手繋いどんだなぁ・・・やっべぇ!!! メッチャ照れる!!」





「はははっ、ヤダッ。こっちまで照れてくるよぉ・・・」










「なぁ、絵里子・・・」





「ん?」










「じゃじゃ~ん!!」





「わぁ!? 花火じゃん!!! いつの間に準備したの??」





「ははっ。手品師みたいだろ~。」










左手に彼女の体温を感じながら、そこで2人、花火をした。



今年2度目の花火・・・。







「よっし、俺、花火で字書いたろ。」



「あ~それじゃあ私も。」







まさ  えりこ








「うわっ、なんか恋人同士っぽいな。」



「ははは。ホントだね。」



「あ~なんだよ~!!メチャクチャ楽しいじゃんかよ!!!」



「あははは 楽しいね~!!!!」










俺達は最高に楽しい時間を過ごした。



楽しい時間はあっと言う間に過ぎる・・・。



花火が終わると、俺達は見渡す限り海の広がる場所へ移動した。



そこはとても静かな場所で寄せては返す波の音だけが響き渡っていた・・・。










「俺、凹んだ時、いつもここ来るんだ。



知ってる? 海ってさ、いろんなもん受け止めてくれるんだよ。あったかいんだよ。



悲しい事全部吐き出しちゃえ。」











・・・彼女は泣いていた。










俺にはそれがどんな涙なのかわからなかった。



少し勇気をだして俺は彼女を抱き寄せた・・・。










彼女の涙が止まるまで、海が全てを包み込むまで、2人は海を眺めていた・・・。















「なぁ・・・、彼氏と別れたら?」







「・・・。」







「・・・俺じゃダメなの?」







「・・・ごめんね。 わかんないよ。」







「でも、俺ならお前に辛い想いさせんよ? 話もメールもいっぱいしてやるよ?」







「ん~~・・・。困るよ。 わかんないよ。 ごめんね・・・。」







「・・・そっか。 でもあんま無理はするなよな・・・。」







「ありがとう。ごめんね・・・」










明るくなり始めた空の下、来た道を辿り彼女をマンションへ送った。



行きと変わらない町並みの中、行きとは違うものがあった。










ハンドルを握る逆の手には彼女の温もりがあった・・・。










そして、今度、映画を見に行く約束をしてその日は別れた。










俺は夢のような日を過ごした。



しかしこれは夢だったのかもしれない・・・。



神様からの一晩だけのプレゼントだったのかもしれない・・・。







第6話  あの夏から一番遠い場所  へ


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