QBスニーク

赤沈(血沈)

『正常値』
○血沈(一時間値)[mm]:1~10(男)/2~15(女)/1~20(60歳以上男)/2~30(60歳以上女)


【赤沈または血沈の検査方法】

 抗凝固剤を加えた血液を,目盛りのついた細長いガラス管に入れて垂直に立てると,赤血球はゆっくりと沈み,血漿の一部が上方に分離されてくる.できた血漿部分の長さを測定し,「赤血球沈降速度」(赤沈または血沈)とする.赤沈(または血沈)は,このように検査方法が簡単であるため,古くからさまざまな病気のスクリーニング(健康診断など)や,モニターとして使われている.


【赤沈の起こるメカニズム】

 赤沈の起こるメカニズムは非常に複雑である.まず,赤血球が互いにくっついて(連鎖形成という),赤血球の塊(凝集塊)が形成され,それが重力の作用でゆっくり沈降していくのである.この連鎖形成に大きな影響を与える因子として,フィブリノーゲン,アルブミン,免疫グロブリン,αおよびβグロブリン,ヘマトクリット値などがある.


【赤沈の促進】

 赤沈値が正常範囲以上の測定値を示すとき,「赤沈の促進」という.赤沈の促進を認める場合,とくに中程度(50mm)以上では,身体に何らかの異常(病気)がある可能性が高い.ストレスや疲労だけでは血沈は促進しない.
 したがって,血沈の促進だけで,自覚症状もなく,他の検査でも異常がない場合でも,経過をみて(数ヵ月後には)再検査を行った方が良い.逆に,病気があっても赤沈が促進しないこともあり,赤沈が正常といっても,病気がないことを保証するものではない.


【赤沈の促進が見られる疾患のケース】

○感染症・・・あらゆる急性および慢性の感染症が含まれる.肺結核では,赤沈が治療判定の指標として用いられている.
○貧血・・・ヘマトクリット値が1%減るごとに,赤沈値として約1~2mm促進すると言われる.
○膠原病・・・慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,リウマチ熱など.
○組織の崩壊を伴う疾患・・・心筋梗塞,進行癌など(早期癌では原則として促進しない).
○血液疾患・・・多発性骨髄腫.これは免疫グロブリンが異常に増加する病気で,高度(100mm以上)な赤沈の促進をみるので有名である.この他,マクログロブリン血症,白血病,悪性リンパ腫など.
○ネフローゼ症候群・・・尿へのアルブミン喪失による低アルブミン血症が原因である.
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