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ごりえ兄

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Dec 12, 2015
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カテゴリ: カテゴリ未分類
どんよりとした曇天。
どこかわからない町を歩いていた....。
小さな広場の一角に、レンガ敷きの円形広場。
ローマの遺跡のようだ。

少し周りの地面よりくぼんでて、隅っこに煙突のような穴が開いている。
覗いたら、地下に浴場が見える。

「ここから入るんですよ。」
管理人なのか近所の人なのか、教えてくれた。

覗きこんでたら、入りたくなった。

狭いから、身体がきちきち、ゆっくり降りる。

気が付いたら、温泉につかってた。
胸まである深さ。
煙突は、はるか上の天井に口をあけていて、
そこからの光だけで、ぼんやり浴場を照らしている。
広いプールのような空間、どこまでも広がっている。
遠くのほうは闇にかすみ、見えない。

足元は、鉄平石のような平たい石が敷き詰められ、
少しぬるめのお湯が沸いている。
歩き回ってみる。
急に冷たくなったり深くなったり、ぶくぶく温泉が湧いていたり・・・。


周りを見ると、何人かの黒い人影が、私と同じように立っている。
人間のようで、影のようで、ゆらり揺れたり、ふっと消えたり。
気が付くと、私一人だけ。

考えてみると、出口が無い。
煙突のようなものが天井にあるだけ。

階段どころか梯子もないのだ。
胸までお湯につかってる、ジャンプしても届かない。

のぼせるようなお湯ではない。
ずっと入れる温泉なのだが、いつまで体力が持つのだろうか?
ここでずっといるのか、死ぬまでいるのだろう。
煙突のような天上の穴を見ていると、怖くなった。

そこで目が覚めた。
なんか、大声で叫んだらしい。
一緒に寝ていた猫がびっくりして飛び出していった。

朝起きて、空を眺めた。
考えてみると、地球そのものが薄い大気の層でおおわれた、温室のようなもの。
そこから抜け出ることはできないのだ。
広大な宇宙にある閉ざされた空間。
そのなかにある私たちの世界は、ほんとに狭い。

天空に煙突の穴が見えませんか?
そして、思い出しましたか?
皆さん、そこから落ちてきたのですよ。





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Last updated  Dec 12, 2015 09:23:30 PM
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ぽんちょ@ 思わず唸ってしまいました! 閉所恐怖症の私をこれ程唸らせる文章は他…

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