* | 遠いむかし、アマゾン河のほとりに“ナイア”という原住民インディオの美しい娘が住んでおりました。 ナイアは、夜になると川辺で空を見上げ、 白く美しい月と果てしない数の星を眺め、 その神秘さに飽きることなく何時間も、何時間も過ごしました。 ナイアは熱帯夜の香に夢を託し、月は河にその美しい光を映しだしておりました。 ナイアは高い木に登り、手を伸ばして月に触れようと思いました。 でも、手は届きません。 翌日、ナイアは遠く見える高い山に登り、 ビロードのようにやわらかそうな月の頬に触れようと試みることにしました。 山の頂上に着くと、月は途轍もなく高く遠く 手が届くはずもなく、ナイアは失望し集落へ帰りました。 ナイアは、月が勇敢で美しい戦士“ジャシー”だと信じており、 “ジャシー”の花嫁になりたかったのです。 更に次の夜、ナイアは自分の夢を叶えようと心に決め、 集落をでて川辺へと向かいました。 静かな夜のアマゾン河の鏡のような水面に、大きく、美しく映る月。 ナイアはとても純情で、てっきり“ジャシー”が河に水浴びに来ていると思い、 その白く美しい肌に触れることが許されるものだと思いました。 ナイアは水に入り、月の影を追って深く潜り、二度と戻りませんでした。 月はその若くして失われた命を哀れみ、 ナイアを大きな美しい花 Vitoria Regia(オオオニバス)にしてあげました。 その花は白い花びらと巨大な葉を水に浮かせ月の光を体中に浴び、 花から酔わせるような香りを放ち 月の愛情を受け止めているようにも見えるそうです。 |
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