まんまるとの出逢い


我が家の三代目ウサギ、まんまる嬢とゆこタレの出逢いは、とても奇異だった。
と言うのも、まんまる嬢は、ゆこタレが中学時代に拾ってきた拾いウサギだから・・・・・。

当時の町田の家の前には、うっそうとした小さな林があったんだけど、
学校への近道として、そこを隠し通学路で使っていた。
そこである日出逢ったまんまる嬢。

彼女はまだまだ赤ちゃんで、我が家にやって来た時の桜よりもチビだった。

ゆこタレはビックリ。
なんでこんな所にウサギが・・・?しかも子供じゃん。

まんまる嬢は、どこかの家から逃げてきたようだ。
この時、彼女はピンクの首輪をしていた。

その時、ゆこタレはあまりの突然の出来事に言葉を失くし、何も手出しせずに彼女を見送ってしまった。

が、自宅に帰るなり母に言った!

「お母さん、仔ウサギ落ちてたよ!」

またまた母もビックリ。
そしてゆこタレが何かを言う前に言ってくれた。

「今度居たら連れて来るのよ。」

帰宅後、父も言った。

「なんで連れて来ないんだ!」

その翌日から、ゆこタレは行きも帰りも林を突っ切るようにした。

その4日ほど後の帰りだったろうか、再びまんまる嬢との出逢いが待っていた。

「居た!」
ゆこタレは、彼女を驚かせないようにゆっくりと近づいた。

「だいじょぶ、だいじょぶ。怖くないよ。一緒にかえろ。」
そう言って、ゆっくりゆっくり近づいた。
すると不思議なことに、まんまる嬢もゆこタレに近づいてきたではないか!
なんちゅう無防備な!
こんなんで野性になんか置いておけない・・・。

その時はすでに首輪はなくなっていて、彼女はゆこタレの足元までやって来た。

か・わ・い・い・・・・・・・。

心の中でそう呟いた。
まだ耳も短くて、体も小さくて、毛玉みたいな・・・・・・。
桜より小さいウサギ!
ゆこタレは彼女を抱き上げ、顔の前まで持ち上げた。

「よろしくね。」

家に帰ると、まず相変わらず祖父母に挨拶する習慣。
ゆこタレは逸早く母に見せてやりたかったが・・・案の定祖母に見つかった。

しかし、祖父母は見慣れぬグレーの小さな生き物に、
「カンガルー」だの「ねずみ」だのと言いたいことを言ってくれた。

しかし、またこの小さいウサギを祖母に欲せられることはなかったので一安心だ。

急いで二階へ上がり、母の元へ走る。

「おかえりぃ。」

ゆこタレは、母の目の前に、まんまる嬢をズイッと押し出した。

「い・・・、いらっちゃいませ。」

母は言葉にならない言葉をやっと言葉にして、まんまる嬢に言った。
かわいすぎて言葉にならなかったそうだ。
それからは交互に彼女を抱いて、ポワーっとしていた記憶がある。

父が帰宅すると、早速まんまる嬢をお披露目。
父も言葉を失くした。
挙句の果てに、赤ちゃん言葉で彼女と接するようになったのだ。

「まんまるちゃんゴハンでちゅよー。おいちぃでちゅかー。」
「おトイレなんか覚えなくてもいいでちゅよー。」

さすがにアホかと思った・・・。

だけど、対して不満げな態度を露骨に見せていたのは桃だった。
また桃にはちょっと寂しい思いをさせてしまっていたようだ。

しかし今現在、大事にされているのは桃である。
まんまる嬢は成長するにつれて模様が変になり・・・どんなに変かってと、もう信じられないぐらいマダラ模様。
父の責任でトイレも覚えず、そこら辺に垂れ流し、これまた父が赤ちゃん言葉なんか使ったもんだから、飼い主をなめくさっている。
そして父は彼女に「バカヤロウ」と新たな名前をつけた・・・・。

挙句に、付いたニックネームは「まんぞう」である。

それでも一応ドワーフ種なので、ガラさえ取れば可愛いだろうなぁ・・・と、勝手な想像を膨らませる勝手な飼い主だった。

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