jiejieの物語「銀のねずみ」


(1)言葉を集め物語を作る。
(2)連想して豊かに表現する。
(3)蛍、自然、川の三つのキーワードを入れる。
という課題です。


<銀のねずみ>

「まあ、なんてきれいな色だろう。」
 誰もがそうさけぶ、銀のねずみ。
何百万という大群を引き連れて、街から街へとネコをなぎ倒しながら
前進する。かれらが通ったあとには、ネコの死体が無残な姿をさらし
ている。なぜ銀のねずみはそんなにネコが憎いのだろう。
 ごく普通の家の屋根裏に家族と一緒に住んでいた銀のねずみ。
その家の近くには川があり、よく家族で蛍を見に行った。蛍の光に
照らされたその艶やかな銀色は、どのような美しさをたたえていたの
だろう。
 こんなにも幸せな日々を送っていたのに、こんなにも美しい所で
暮らしていたのに。なぜ、なぜ、銀のねずみはネコを倒すことだけに
専念するのだろう。それにはこんな過去があった。
 それは蛍の飛び交う夏の夜のことだった。村の大きなお祭りがある
から、そのお余りをもらうためにねずみの家族は家を出た。みんな
大いに食べかつ飲み、そして遊んだ。遊びつかれた銀のねずみは、
眠くて眠くてしようがなかった。近くの安全な所まで行き、少しだけ、
少しだけと思いながら寝てしまった。ここからならみんなも見えるし、
敵もこない。
 あれからどれくらい経ったのだろう。すぐ近くで恐ろしいネコの声が
した。血なまぐさい匂いと共に、あの懐かしい家族の匂いがする。
もうなにがなんだか分からなくなって、無我夢中で森へ森へと駆け
出した。暗くてじめじめした森には敵がたくさんいる。フクロウが
「ホーホーホー。」と鳴けば、心臓は縮上がり身動きも出来ない。
でも心の声に無我夢中で走った、走った。そのうちに仲間が出来、
その数は何百万にも膨れ上がった。銀のねずみは言った。
「いまこそ立ち上がれ、諸君。我らをことごとくいじめ、苦しめた敵を
倒しに。」
 そしてみんな立ち上がったのだ。しかし、途中で裏切りが発生し、
軍はちりじりになった。暗い森をや丘をくぐり抜けて行くうちに、仲間は
一人二人と減ってゆく。そして銀のねずみは一人になってしまった。
もう最期の時が来たようだと悟った銀のねずみはひとこと言った。
「海になりたい。」
 自然はいろいろな顔を持っている。時に残酷でもあるが、時には
やさしくもある。自然は黙ってうなずいた。そしてその後、幸せそうに
歌いながら、銀のねずみはぱったりと川の中へ落ちていった。そして
その体は川を下り、長い月日をかけて、海へと旅立って行った。
 海をじっと見ていると波が銀色に見えたりする。それはきっと銀色の
ねずみが本当に海といっしょになったという証拠だ。
 ほら、ごらんよ。きみにも見えるだろう。あの美しい銀色が。




© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: