Ranita in メキシコ

到着

飛行機の中では勿論眠れなかった、大胆に行動したりすることもあるが結構小心者なのである。　便利で簡単な英文が書いてあるような本を出発寸前に2冊買い今まで全く勉強なんてしなかったくせに慌てて目を通していた。（笑）　←　なら少しぐらい勉強しとけ

バンクーバー到着の時間もわずか、機内のスクリーンでは町の紹介ビデオと入国審査の手順、記入の仕方などが流れていたと思う。
窓の外を見ると曇り空でなにも見えない。やはり噂には聞いていたが一年の半分は雨のち曇りのようだ、多分今日も雨が降っているのだろう。

もう一度迎えに来てくれるフォストファザーの写真を見てちゃんと空港へ来てくれているのだろうか？　なんて挨拶すれば良いのかもう一度本を見ておこう、Hi,　Nice to meet you. などと呪文のように唱えていた。

飛行機は着陸寸前、いよいよ私の新しい生活が始まる。結構後ろの方の席だったのだろう到着してソワソワしながら飛行機から出る順番を待っていた、すると何やら放送が始まり（もちろん英語）何を言ってるのかさっぱり分からなかったが集中して聞いてみる、すると何と私の名前が呼ばれている！！！
自分の名前以外は全く何をアナウンスされているのか一単語さえ聞き取れやしない。　私の心はもうパニック状態だ、いったい飛行機を降りる前に何の為に私の名前が入った放送が流れているのか、ひょっとして何か悪い知らせなのか。出口の所で聞いてみようと思ったがなんとそこに立っていたのはカナダ人だ......　聞けない．．．．英語が口からでてこない。。。。勉強してないのだから当たり前だ。
結局サンキューバイバイと心で思っていることとは違うことを口に出し飛行機を出た。

仕方ない取りあえず前に進もう、　引きつった笑顔で入国審査官の前に立つまたもや何を喋っているか全く分からない、取りあえず　イエス　サンキューと唯一知ってる単語を並べ切り抜けた。
その後は友達に教えてもらっていた通り、ビザの手続きカウンター方へ進んだ、くれぐれもそのまま荷物を取って外に出ないように、その前に学生ビザの手続きを済ませるように何度も念を押されていた。なので私は荷物を取る前にビザ手続きカウンターの方へ行ったのだ。
ものすごい行列だ、しかも私は一番後ろ、この様子では軽く1時間はかかりそうだ、どうしようホストファザーに帰られたら.....　私の不安はもうピークに達していた。　提出する書類を持っている手に力が入る。
時間は掛かったが何とか学生ビザももらい私は駆け足で荷物が出てくる所まで行った。　そこにはもう人もいなく荷物さえない．．．．．もう私は真っ青だ．．．．ない、私のスーツケースがない、　するとガランとしているベルトコンベヤーに乗って遠くの方から見覚えのあるスーツケースが一つだけ近づいてきたのがみえた、ホッとした　あれは間違いなく私のスーツケースだ。でもいくら待てど私が預けたボストンバッグがない、辺りを探してもどこにもないのだ。どうしよう．．．．．　盗まれたのか？誰か間違えて持っていったのか？　私はどうしたら良いのか、誰か助けてくれ～！心の中では叫んでも英語が分からない私はあたふたとしながらその辺りを歩き回っていた。はたから見ると怪しい人だ、良くイミグレーションオフィスへ連れて行かれなかったものだ。

ビザの所でも、軽く1時間は掛かっているのにこんな所でもたもたしている場合ではない、本当にこのままではフォストファザーに帰られてしまう。
もう不安いっぱいで泣き出してしまいそうだ。でも自分で何とかするしかない、こうやって人は成長するのだ、これも私の試練だ頑張ろう。
それでも英語で話しかける勇気のない私のは日本人を探していた、誰か英語の喋れる日本人に助けてもらおう、ついさっき自分で何とかするぞと勝つを入れたのに日本人を探してるまだまだ青い私だ。
荷物が出てくるところにはもう誰もいない、なぜならば私が最後なのだから、すると向こうの方から日本人らしきスチュワーデスが歩いてきた、この人だ緊迫した表情でしかも小走りで近寄り『すいません、私のバッグが見つからないんです』　すると彼女は？？？？．．．．．無言。　そうですこの人はアジア人だが日本人ではないのだ、もうお手上げだ、でも人間切羽詰ったら何とかするものなのだ、　ジェスチャーと知っている単語を使って『ヘルプ　ミー　マイ　バッグ　ナッシング』　とか言いながら泣きそうな顔で訴える私。
彼女は気の毒に思ったのか親切な人で私をカウンターの所へ連れて行ってくれ何やら説明してくれている。彼女の顔は今でも覚えている、あれ以来今度何処かで会ったら　って向こうは一切私のことなど覚えていないと思うが、あの時言えなかったお礼をぜひ言いたいと思っている、そうです私はパニックでサンキューさえも口にしなかった情けない人間だ。　
どうやらここで手続きをするのだろう、そしてそうとう私の英語は壊れていると思ったのだろう、何と電話で日本語の話せる人を探してくれたのだ、私は電話越しに通訳を付け何とか荷物の手続きもし、気になっていた飛行機での放送も聞いてみた、すると嫌な顔せず調べてくれそのメッセージはこうだった『フォストファザーの○○さんがあなたの事を入り口で待っています』と．．．．そうですわざわざフォストファザーはここで待ってますからね～と気を利かせて飛行機が着陸した時にアナウンスするように頼んでいたわけである。　英語の分からない私にはその親切が更に私を不安にさせたのは言うまでも無い。

荷物は結局見つからなかったが多分何かの手違いで他の場所へ行ったのだろう、見つかり次第また連絡するとのことで動揺していた私も少し落ち着付を取りも出した、すると何と無事最初の試練を切り抜けた事で単純B型楽天家の私は、なんだ私も英語話せるじゃん！！！！　←　どこが
と辺に自信がついていた、実際に通訳の手を借りたくせに『マイ　バッグ　ナッシング』　だけで自分も中々やるじゃないかと勘違いしている本当に楽天家の女である。

散々待たせただろうと思うフォストファザーの事を思い出し、ダッシュで入り口に向ったが、何だか一つのことをやり遂げた達成感かさっきまでの足取りとは打って変ってルンルン気分で最後の扉を開けた、本当に単純な奴だ。
こうして無事フォストファザーとも会え家へと向った、車の中では少し自信がついたのか、『マイ　バック　ナッシング』と又アホ見たいに同じ単語を使って説明していたが多分彼は何を私が伝えたいのかは分かってなかっただろう。そして初めは色々と話しかけてくれたが、怪しげな作り笑いでイエス、イエス、としか返事をしない私にこりゃダメだと思ったのかその後家に着くまで話しかけられる事はなかった。

私の余りにも低レベルな英語知識のせいでこの後の生活も波乱万丈、まだまだ新たな試練が待ち受けていたのだ。　

つづく

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