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July 25, 2016
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カテゴリ: 特撮映画


 他社はみんな怪獣の名前の最後が「ラ」、怪獣といえば「・・ラ」なのに、日活はあえてはずして「パ」。
 しかも怪獣といわず「大巨獣」なのだ。特撮怪獣映画の最後発会社としては、差異をつけたかったのだろう。
 ガッパというネーミングは、カメの怪獣だから「ガメラ」というノリで、カッパからガッパになったのだろうか。といっても、ガッパはカッパとは全然似ているところはないが。

 1960年代後半、こうして各映画会社が競って怪獣映画をつくった。
 これは、東映で、高倉健、鶴田浩二の任侠映画がヒットしたら、大映では市川雷蔵の『若親分』シリーズとか、日活では高橋英樹の『男の紋章』シリーズがつくられたのと同じ現象と考える。

 この『大巨獣ガッパ』、内容的にはどこかで見たようなぁ。

 まず、怪獣(巨獣か。でも、映画の中では、「熱海に出現した2匹の怪獣」と言ってる)が、人間に連れ去られた我が子を取り返しにくる、というプロットはイギリス映画の『怪獣ゴルゴ(1961)』とおんなじ。

 というか、ガッパは南の島からやってきたのだが、すでに『モスラ(1961)』が、やっぱり南の島から小美人を取り戻しに日本にやってきてるんだよね。あるいは、『モスラ対ゴジラ(1964)』では、モスラの卵が台風で流されて、成虫モスラが小美人と一緒に卵を取り返しにきたりとか。



 そして、この『大巨獣ガッパ』には、いくつかふしぎな場面があったぞ。
 まず、洞窟の中の湖に、つがいのガッパが姿を現す。そこで、卵から孵った子ガッパの姿が消えていることに気づく。
 しかし、もうすでに、人間たちが子ガッパを船に積み込んで、航路についている。そして、子ガッパを待ち受ける日本でのあーだ、こーだが続く。ようやく怒り狂ったガッパが洞窟の壁を破壊して出てくるんだが、行動が遅いよ親ガッパ。子供がいないとわかった瞬間に後を追っていけよ。

 だって、ガッパは空を飛べるんだ。だから、早く船を追えばよかったんだよ。例え、親ガッパが気づいたときには船が出てたとしても、南の島から日本までは、船で何日もかかるはず。ぜったい追いついて、子供を取り返すことができたって思うけど。

 また、子ガッパは、人間の与える餌はいっさい食べない。だから、母ガッパが口に大蛸を咥えて日本に上陸し、一刻も早く食事をさせようとするわけだ。なのに、空腹のはずの子ガッパはどんどん大きくなっていくんだ。怪獣は、何も食べなくてもぐんぐん成長しちゃうのかいな。

 もう一つ。旅客機が飛行中に、パイロットが巨大なふたつの飛行物体を目撃する。
 子ガッパを飼育する研究所では、雑誌記者がパイロットの話から「もし親のガッパがいたとしたら、飛べるのだろうか?」との疑問を出す。しかし、学者は「(子ガッパの)羽はそうとう退化しているし、例え親でも(飛ぶことは)無理だろうな」と断言する。
 くだんの子ガッパだって、この後立派な翼を広げて自力で飛ぶのだけれども。
 確かに、「常識では考えられんことが(起こってる)」という雑誌記者のセリフもある。けど、なんだもそれでフォローしちゃあいかんぞ。
 ちなみに助教授を演じているのは、小高雄二さん。この人の姪が、平成ゴジラ(VS)シリーズで三枝未希を演じた小高恵美さん。この特撮つながりは、なんだか嬉しい。

 さてさて、1960年代後半の怪獣ブームに乗ってつくられた『大巨獣ガッパ』はこれ1本きり、残念ながらシリーズ化はされなかった。


 松竹の『宇宙大怪獣ギララ(1967)』もシリーズ化はされず、長らくその1本だけだった。しかし、忘れたころに、40年ぶりに新作『ギララの逆襲(2008)』が公開された。

 ぜひ、『大巨獣ガッパ』も、新作を見てみたい。特撮ファンは、何十年たっても、作品を忘れない、口うるさいけど。

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Last updated  July 25, 2016 09:23:40 PM
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