男の羅生門 ‐ Guitar&Bike Life ‐

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Crews LEDーCUSTOM ’09


どうもこの『Crews Maniac Sound』が数百万円するものよりも良い音を出すらしい。
『むしろ本物のburstを超えている!』なんて噂を聞いたのはここ最近の話です。

この中に密かに存在する『VintageLine』は最高の材が入手できたときに最高の技術で生み出せるフラッグシップモデルです。
Navigator N-LP680 もそういったコンセプトで良材があったときのみ不定期に製造され、市場に出回る数も少なく手放す人もいないようですね。

材料と言えば『エボニー』や『ホンジュラスマホガニー』等の高級とされる材はありますが、同材の中でもグレードがあるのは間違いありません。
その中でも厳選された材を最高の状態になるまで待ち(長いと20年近く)自然乾燥によって成熟したときのみVintageLineを生み出すそうです。





Crews Maniac Sound VINTAGE LINE LEDーCUSTOM ’09 MOD

BODY&NECK
Collector's Choice One Piece Honduras Mahogany

FINGERBOARD
Collector's Choice Ebony

PICKUP(MOD)
Front & Rear : K&T TetradMiddle : K&T Weep

CONTROLS(MOD)
Master Volume (Sonic FV-12 FULL-UP)×3Master Tone (Sonic FT-12 FULL-UP)×1

Sectorr Switch(MOD)
Free-Way 3x3-07 Gold 6-position

Capacitor(MOD)
Jupiter Condenser Retro Red 0.02uF

MOD from Hoochies



ヴィンテージギターの持つ音に敬意を払いながらも、あくまで使える音、道具である為に真似ではなく進化させたのがこのシリーズのコンセプト。
昔と同じ製法、同じ構造、完全再現というGibsonのReissueのようなものではなく『最高のヴィンテージサウンドを目指す為に構造を変えてつくる』
という考えは大いに協賛出来るものです。

そんな言葉は聞くのですが、商売として成り立っている以上は自社製品を打ち出すのは当たり前なので実際には自分で試してみないと何とも言えません。
『当社の唐揚げは世界一やで!』と言われても、それを判断するのはお客様。それを製造元が『間違いない!』と打ち出す程に胡散臭くなるのと同じ(笑)
一部の『信者』が宗教のように洗脳されプラシーボになっている可能性もありますからね。とは言えそういう客層を掴んでいるのも少なからず性能あってなはず。
良いものにアンチはつきもの、そう考えれば『やはり良い音なのだろうか』と悩んでるうちに運良く納得できるものを手に入れることに成功しました。





説明では一般的なメイプル&マホガニーでは別々の硬さを持つ材同士のラミネートの為、振動伝達の違いによって絶妙なコンプ感を生み出し、
ワンピースのオールホンジュラスマホガニーを使った場合は よりストレートに全体が振動し、抜群の抜けとレスポンスを生むそうです。
今回手に入れたものはGibsonで言うレスポールカスタムに当たるので、指板はローズではなく硬質なエボニーを使用しています。







色々とギターは所有し、それぞれに良さがありますが一見するだけで『高品質』と感じるオーラがありました。
ボディーアーチやバインディング、塗装、ネジ、フレット処理、ナット処理等、『頑固な日本人の職人仕上げです!』と言わんばかり。
『おぉ。これは良いつくりだ。この精度と弾きやすさ、全体の重量バランスを生み出すのは一筋縄ではいかねェはずだ』というのが第一印象。
あえて比較すればGibson社は良い意味で粗さが否めない。ただ、それも含めてGibsonにしか出せない音があるのも事実です。




※K&Tサイトより

ピックアップはその業界で魔術師・天才等と絶賛される高野氏が最高のヴィンテージサウンドを完全手巻きで再現した至高のK&T社製。
ヴィンテージピックアップは熟練の職人が手巻きで行い、それが50年近くの歳月をかけて経年変化したサウンドだと言われています。
機械化し、オートメーション化され、仮に精度は出ても肝心の感覚的に仕上げた巻き方等は機械では調整が出来ない。
それをハンドワイヤリングや素材によって最高の状態まで経年変化した音を狙い再現したとのことです。
逆に同素材、同製法だと50年の変化を待つ必要があるが、経年後を再現するK&Tは待つ必要が無い!というのが謳い文句。





フロント&リアに限定Tetrad、ミドルがWeepに交換されています。手巻きコイル含め現在のピックアップで最高峰だと言われています。
これが信じられない値段のピックアップなので、個人的にはこれも胡散臭いと言うか 『高すぎだろ! 本当にそんな良いんかいっ! 嘘くせェな!』
というのが率直な印象でしたが、確かに他には真似出来ない素晴らしいピックアップでした。 ただ、さすがに高すぎる気はします(笑)
ですが、こういった製造におけるノウハウやコストは何かと比較できるものではないので価値は間違いなくあると思います。

特徴としてはド直球でヌケが抜群。吐息まで聞こえるかの様な素直な超高性能マイクです。
美味しい倍音とヴィンテージ特有の暴れ具合、枯れつつも豊潤。ピッキングニュアンスに対する追従が良好。
強く弾けば強く、弱く弾けば弱く、息を吹きかけたらそれも拾いそうな繊細さ。
この強弱や音色の表現、通常では拾いきれない音の出力具合が高性能だと感じています。

アンプから出る音がギター本体から出ている生音かの様にリアルで生々しいサウンドだなという印象を受けました。
GibsonのCustomBuckerもそうですが、ピックアップの持つマイクとしての性能が良く、材の良さを引き出すタイプ。
こういった高性能ピックアップは出力側が再現出来なければ意味が無いので相応のケーブルやアンプあってこそ。





本体は社長秘蔵ストック材を20年以上自然乾燥させて『今が旬』と判断したときに使用しているとのことで、とにかく鳴りが良い。
『これ本当にマホガニーの音なのか?』と思う程のクリアかつ濃厚なサウンド。K&Tピックアップと合わせれば完全ハイレゾ仕様です。
昔はマホガニーの音は『こもっていて、何かもさい!』と感じて毛嫌いしていましたが、良い材は本当にメリットしか感じません。

締まった低域に豊かな中高域、ノイズレスでありながらも良好なタッチノイズ、微細な音まで抜かりなく出力されますが耳障りではない。
・・・なるほど、このギターもまた、絶対に誤魔化しがきかないタイプで下手な人が弾けばノイズまみれになるパターンのやつだ。





今回手に入れたものは前オーナー様が製作元のHoochiesにて3HM-PU仕様に変更。さらに6ポジションスイッチ・ポッド・
コンデンサ・ピックアップの仕様変更・セットアップを最適化してブラッシュアップしたものです。

正直、安い買い物ではないので通常のLEDであれば興味まではあっても購入まではいかなかったと思います。
VintageLine初期の2009年製ということで現行との仕様も違ったり、経験上は初期の方が良い材を使う傾向が非常に高い。
唯一無二に近い大幅なスペック変更を Crews 製造元の『Hoochies』で行っている個体であるというところに非常に惹かれました。





3HM仕様はセンターポジションに独立したピックアップが存在する為、ピッキングの際にピックが直接当たる可能性があります。
昔、3HM仕様のレスポールを持っていて手放した理由がこれであった為、あれから15年以上経過して少なからず上達した今でも
『めっちゃ弾き難いんじゃねェかな・・・』という抵抗があったのは否めません。(見た目は最高に格好良いんですけどね)

そんな疑惑を持ちながらも弾いてみたところ、結論から言えば極端な違和感はありませんでした。
ネックは所有するもので1959とほぼ同等の太さですが、それよりも手に馴染み 非常に弾きやすいです。





FREE WAY社の6ポジションスイッチは一般的な2HMの扱いを含め3HMならではの6種類の切り替えが可能です。
3つの独立したピックアップである為、3ボリューム1トーン仕様にカスタマイズされ、各コントロールは全開時に他の全てを
バイパスしてフルアップ・トーン/ボリュームとするSonic製 FV-12とFT-12にしてあります。この複雑な配線に対して処理も美しいです。





配線の複雑化による音質ロスを考えた仕様変更の内容が非常に理に適っていて前オーナーのこだわりを感じます。

見た目は『これぞ男!ワイは日本男児やで!』という漆黒のブラック!
そして3ピックアップの無骨さ、クセの強い個性を昇華した性能という美学。 





自分好みに仕上げたNavigator N-LP680と今回の LED Custom。
共に本家の伝統や意思を受け継ぎながらも進化させた仕様。そこに散りばめられた独自の工夫あって1つの個性が生まれています。
国内ブランドは共に日本人らしく丁寧な仕上げで抜かりは無いですね。むしろ製造技術だけであれば日本の方が優れていると思います。
音は其々の良さがあるとして、木工加工の丁寧さや処理の個体差のハズレは国内モデルの方が間違いなく少ない。流石は神経質な日本人!
ですので私はGibson信者というわけではなく国内製造のモデルも大好きなんですよね。

要するにブランドというか弾き易さ、出音と見た目。
人だってそうだと思いますが『外観』と『性格(内面)』 そして長く付き合う上で『扱い易い』って大事でしょう(笑)
結局のところ弾いてナンボなので、見栄ではなく自分の求めるものに合うか否かが一番大切なところです。





『Crews Maniac Sound』初めて手に入れましたが素晴らしいブランドですね!





※2023.6.04追記

他ギターの資金源に売却。

このギターは手放すか手放さないか迷ったんですが、結論として3ピックアップ仕様は自分には敷居が高すぎました。
素晴らしいギターでしたが2ピックアップの方が性に合っているなと感じ、コレクション的な位置づけが勿体なかったので手放しました。
海外の方に譲ったので今は異国の地で愛用されていることを願います。


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