
ヴィンテージ・ハイエンドギター専門店 ANTIQUEで『 過去最高に良い音がする個体
』と販売されているのを見たのが手に入れたきっかけ。
以前、別のギターもこちらで購入しましたが、調整が絶妙で好印象でした。リペア担当はESPのリペアマンの講師だそうです。
楽器は天然素材ですので同じものが無いのは知っていましたが、ここまでの個体は二度と出ない(もしくは価格高騰)と気合を入れて購入。
中古でもハイエンド故に高額でしたので予算上、手持ちのランディVやSHECTER、散々と手間をかけたGIBSON 50Sと3本を売って購入。
手放すつもりが無かったギターを3本も手放した理由は単純。それほど欲しかったんです(汗)
購入から時間が経っても弾く度に感じるのが、 やはりコイツは凄ェ!
少なからずギター歴20年以上、恐らく手にしたギターは30本以上ですが・・・
ここまで鳴る個体は無かったのです。


『 枯れている
』
という表現が正しいのかは分かりませんが、
とにかく生音がデカくアコースティックな音が出る。ニュアンスに忠実な個体です。
アンプを通せば、その生鳴りが 高解像度で増幅された
かの様なアウトプットを行う。
弦を弾くとネックからボディ全体が震え、全音域が既にイコライジングされたかの様なリアルで美しい生音。
やはり生鳴りがデカいということは、単純にそれをマイク(ピックアップ)で拾うにしても拾いやすいのだと思います。
過去、同じ2014年式の1959を所有(つまり、この個体と合わせて同年式2本)しておりましたが、
コイツはどう考えても別格中の別格だと自分の中で上位に位置づけ、
俺のギター歴の中ではキング オブ レスポールだと勝手に判断しています。
まずは・・・ご覧ください。
この恐ろしくも妖艶でアダルトな仕様を・・・渋みを増したダンディズムといった感じですね。
カスタムショップ専用のブラウンケースを開ける度に・・・
・・・OH! ・・・何て渋いんだ・・・。。。
となるのは当たり前の話です。
それこそ感動のあまりに感情を抑えきれず涙腺が緩み号泣、小便ダダ漏れの放尿コースです。
やがてその放尿により美しい虹がかかるとか、かからないとか。
見た目もリアルで数十年の時を経て退色したかの様なレモンドロップに百戦錬磨のクラックと傷が細部まで施され、
リアルヴィンテージの風格がありますが、それよりも実際に楽器として使われている音に影響を与えるマテリアル群が一番気に入っています。
トップ面には揺らぎとメリハリのある杢が混在し、見る角度でプレーントップに見えるほどグラデーションが変化する硬質なメイプル材に、
気合いの入ったフレックとクラックが織り成す圧倒的存在感。天然素材なのでそれぞれ個体差はありますが、中々ここまでのモノは無いのではないでしょうか。

バック材のマホガニーに関してもこの密度。トム・マーフィーによるエイジングも素晴らしく、絶妙にフェードした赤味が随所に確認できます。
材料が枯渇する中で、本家バーストさながらの存在感と所有感、そして極上のトーンをもたらしてくれます。単純に格好良ェ!
ボディバック・ネック材のマホガニーに関してもワイルドな板目で、良く見ればホンジュラスマホガニーの特徴でもある
細かな水平方向の繊維
が見て取れ、見る角度でキラキラと美しく輝きます。 こいつは普通のマホガニーであるはずがない。
・・・ホンジュラスじゃねェのか!?
と感じてしまいます。
事実、ホンジュラスマホガニーを使ったギターも持っていますが、そのホンジュラスマホガニーよりも質が高く見えてしまい、
結果的に繰り出される音が凄く心地良いので素晴らしいレスポールだなと自画自賛です。
そしてネック指板のローズウッド、これがまた凄い。
いかにも硬そうなハカランダさながらの黒さと、導管が毛穴の様な特殊形状で鈍い光沢を放っております。
様々なローズウッドをこれまで見てきましたが、この導管の形状は初めてだということと、これまたカッチリとした倍音とレスポンス、
良い意味で高域のトゲを丸めてくれるかの様な響きが・・・ 只者ではないと物語っている!

これらのマテリアルが合わさりレスポールとして理想比重の3.8kg弱。
調整されたカスタムバッカーから出るサウンドは枯れながらにして太く抜ける。
ハイゲイン設定だとしてもトーンを絞れば美しいクリーントーンに変貌する。
一般的にゲインを上げた状態でトーンを絞ったクリーンサウンドは高音域や余韻が削られてしまい
『 クリーンっぽい雰囲気
』
で終わりますが、完全クリーンではないにしろリアルなクリーンサウンドからクランチ、
ディストーションサウンドまでを出元で全て使える音で表情を変えられる個体はそう多くない存在だと思います。
しいて言えば、ガッツリ歪ませてザクザク歪むような感じではないとは思います。
良いレスポールって抜けつつも音の最後が丸く包まれて終わる・・・キンキンしない。
そんな良さがあって耳が痛くならないイメージ。
良い意味で強く弾けば暴れ、強弱によるトーン変化を出しやすく、
感情的で表現の幅が非常に広いというのが素晴らしいと感じます。
ゲイリーが使用したグリーニーにも似た咆哮的で熱を帯びたサウンドも表現し易く、
我ながら 凄いギターだな
と思うわけです。
2014年製造ですので比較的新しいギターなわけですが1959年リイシューという立場に恥じない説得力のある音。
本来個体差はあって欲しくないわけですが、こういう良い意味での個体差なら大歓迎です。
さらに最高の音色を求めるべく、キャパシターを1950年代のオリジナル バンブルビーへ変更。
多分、新しめのギブソンではこんな良い音出す個体は早々出会わないだろうなぁ・・・
と感じるお気に入りの1本の紹介でした。
■2025.07
そこまでこだわる意味があるのか・・・かつてはそう思っていましたが、ついに自分もその領域まで突入しました。
ヴィンテージギターというのは、流れる年月の中で新品の部品が時の経過(経年)と共に日焼けで黄ばんだり、経年変化で収縮したり。。
その経年による収縮/変形、使用によるダメージが芸術作品の様にマニアを唸らせているわけですが…そんな濃い世界を理解しつつあるのが今の自分。
■ボリューム&トーンノブの話。
ヴィンテージレプリカパーツは数あれど、目が肥えた者が見れば少し曖昧な仕上げで “あと少し” という惜しい部分が多くあります。
雰囲気は良く出ているのに成型がなぁ…なんて思って自分のギターを眺め、精度の良いものに変えようかと衝動に駆られていたんですが、
なにせヴィンテージレプリカ品とは言え値段が高い! それであれば…自分でやれなくもないよな…と思い立ちまして、やっちゃいました。
写真は作業完了後。
既に装着されていたヴィンテージレプリカ品ではありましたが、経年による変形具合が甘い!!
例えばトップハットの上部センターの “えくぼ” と呼ばれる収縮の演出や使用による削れ具合など、リアリティが出てくれば格好良くなる。
ならば “削って調整してしまえば良い” と思い、全体的な歪みや日焼けによる色味など、手元にある材料で挑戦してみました。
・・・結果として最初よりは明らかに良い感じに仕上がりました。
自分でやったので出費も抑えられますし、下手なレプリカよりもオンリーワンで格好良いのでは!
勿論、こんなところを変えてもサウンドに影響はありませんが(汗)


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