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甲状腺の病気
甲状腺の病気には、甲状腺機能の異常・腫瘍・細菌感染が起こる病気ナドがあります。
腫瘍には、良性と悪性があり、悪性の中でもタイプが何種類かあります。
●甲状腺機能の異常●
甲状腺機能亢進症
甲状腺が腫大し、分泌機能が亢進して、その結果ホルモンが過多となる為に
その作用で新陳代謝が異常になる疾患。
バセドウ病とも言われます。
20~30歳代の女性に多く、甲状腺腫・頻脈・眼球突出が見られます。
甲状腺機能低下症
粘液水腫。
甲状腺が腫大して、甲状腺の働きが低下し、
血液中の甲状腺ホルモンの濃度が低下した状態を言います。
浮腫みや動作が鈍くなるなどの症状が見られます。
30~50歳代の女性に多く見られる橋本病が代表的です。
○
上記のように、甲状腺の病気は比較的女性に多い疾患です。
原因はハッキリとは分かっていませんが、機能の亢進・低下共に
甲状腺自己抗体が原因の自己免疫疾患の1つと言われています。
自己免疫疾患は、一般的に女性に多い疾患だそうです。
これらの甲状腺機能の異常に対しての治療は、お薬を服用するのが多いようですが、
甲状腺腫大が増大し、食道や気管を圧迫させている場合や、美容上に問題が出てきた時には、
手術が必要になる場合もあります。
しかし、悪性腫瘍の場合を除いては、甲状腺腫大がかなり進行しても、
気管や食道を圧迫して障害をきたすことは殆どないようです。
甲状腺機能低下の程度が軽度であったり、短期間であったりすると症状に現れないこともあり、
逆に著しい機能低下では、精神活動が低下していることにより、かえって訴えが少ない場合もあるそうです。
つまり、甲状腺機能低下症の症状は、自覚されることが少なく、自己判断で服用を中止してしまうケースもあるようです。
●甲状腺の腫瘍●
甲状腺は、正常の場合柔らかいので触れにくいが、炎症や腫瘍が出現すると、皮膚の上から触診や視診での確認が可能となり
(内分泌器官で体表から触知可能なのは、甲状腺と精巣だけだそうです。)
甲状腺の腫大を自分で気がついたり、他人に指摘されて受診する患者さんが多いようです。
(私の場合、腫瘍が3~4cmあったにもカカワラズ、気付かなかったけど・・・。)
■良性腫瘍
腺腫様甲状腺腫(過形性)
病理学的には甲状腺濾胞細胞の過形成。
特徴としては、結節(しこり)と正常部分との境界が不明瞭なことがあり、
また結節が多発することであるようです。
時には、甲状腺全体が結節で占められている場合もあるそうです。
濾胞腺腫(良性腺腫)
被膜を持ち、組織学的に濾胞構造を示す。
時に、濾胞ガンとの鑑別が困難な症例もあるそうです。
腺腫様甲状腺腫・濾胞腺腫、共に痛みもないしこりで、ゆっくり発育していくようです。
■悪性腫瘍
乳頭ガン
甲状腺悪性腫瘍の大半を占めるのが、この乳頭ガンです。
(私も、この乳頭ガンでした。)
元々は組織学的に乳頭状構造をとることから、乳頭ガンと分類されるようになりましたが、
現在では細胞の異型性で判断し、濾胞構造をとっていても異型性が強い場合は
乳頭ガンと病理分類されているようです。
(胸の乳腺とは全く関係ありません。)
特徴としては、あらゆるガンの中で比較的大人しいガンで
骨や肺への転移は少ないですが、頚部のリンパ節への転移は多いです。
(私自身も、手術によりとったリンパ節への転移が確認されています。
しかし、このリンパ節転移は、予後にはあまり関係ないそうです。)
濾胞ガン
乳頭ガン同様、大部分は性格の大人しいガンです。
痛みのないしこりで、ゆっくりと発育しますが、一部には骨や肺などに転移するものもあり、
進行すると反回神経(声を出す神経)や気管に侵潤することがあるようです。
未分化ガン
増殖が非常に活発なガンで、発見された時にはすでに広範に浸潤していることが多く
乳頭ガンや濾胞ガンとは違い、悪性度が非常に高くなります。
元々、長年に渡り乳頭ガンや濾胞ガンがあり、その性質が変わって
未分化ガンに移行することがあるそうです。
しかし、甲状腺ガンの中では1%程度に見られる、稀なガンです。
悪性リンパ腫
元々慢性甲状腺炎(橋本病)が存在し、そこに浸潤していたリンパ球から発生するようです。
甲状腺ガンの中の2.5%と、こちらも稀なガンです。
髄様ガン
甲状腺ホルモンを作る、濾胞細胞の間に散在している傍濾胞細胞という
カルシトニン産生細胞から発生するガン。
(乳頭ガン・濾胞ガンは濾胞細胞から出来るガンだそうです。)
このガンのうちの約1/3は家族性(遺伝)のようです。
また、副腎腫瘍や副甲状腺腫瘍・機能亢進症などと合併することもあり注意が必要です。
頻度としては、甲状腺ガンの1.5%と稀なガンです。
○
機能異常同様、腫瘍も女性に多く見られます。
健康診断などで、おおよそ腺腫様甲状腺腫・腺腫・ガン共に数%~10%の頻度で見つかるようです。
非常に頻度の多い疾患です。
臨床的に最も重要なのはガンの頻度でありますが、微小ガンまで含めると10%以上との報告もあるようです。
しかし、5mm以下の微小ガンは自然消滅することもあり、
果たして全例に手術が必要であるかどうかが問題となっているようです。
術後の乳頭ガンの10年生存率は90%以上、濾胞ガンの5年生存率が90%前後と、
一般的には甲状腺ガンの予後は良好であり、
ガンと言っても致命的にはならないことが多いですが、唯一未分化ガンのみは進行も早く、
1年生存率が10%以下と非常に悪性度が高いようです。
○
症状としては、腺腫は柔らかい結節であることが多く、
腺腫様甲状腺腫では多発結節で硬さも柔らかいものから、表面が石灰化してかなり硬いものまで様々です。
乳頭ガンは硬く、気管や皮膚と癒着し可動性が低下することもあるそうです。
通常自発痛はありませんが、結節(腺腫様甲状腺腫・腺腫・ガンのいずれも)内部が嚢胞性変化をきたし、
その中に出血し急速に嚢胞が大きくなった時に、結節の痛みを伴い、亜急性甲状腺炎との鑑別が必要となります。
また、未分化ガンの場合も、急速なガンの増殖に伴い痛みを伴うこともあるようです。
■悪性腫瘍の生存率
(あくまでも一般的に言われているものなので、ご参考までに。)
ガンの種類
生存率
乳頭ガン
10年生存率:85~90%以上
濾胞ガン
10年生存率:65~80%
未分化ガン
5年生存率:ほぼ0%
悪性リンパ腫
5年生存率:5%~85%
髄様ガン
10年生存率:60%
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