凛。きまぐれホームページ。

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◆【冬季限定】生物兵器。

【冬季限定】生物兵器あらわる。




午後七時。そいつはやってきた。

白のタイトなピーコートに茶をベースにしたチェックのミニスカ。目の荒い網タイツにロングブーツ。
今は珍しくなった黒髪のロングなびかせ、颯爽と登場。私の友人である。

「ひさしぶりー!元気だった?」
「うん、元気だよ!そのブーツ可愛いね!」

なんて挨拶?を交わしながら、喫茶店に入る。

彼女はレモンティー、私はミルクティー。
…今日は半年振りの再会。積もる話に花を咲かせる。

ふと見ると、彼女は左手の薬指に指輪を。

「ん?これ彼から貰ったの?触ってもいい?」

…と指輪に自分の指を近づけた瞬間。


バチッ!!

「痛い!」



…冬に多発するパチパチくん…静電気である。
一瞬青い火花も散ったような…

「ごめんごめん、私、冬は特に酷いんだー。悪気は無いから許してー。」

笑いながら彼女は言う。そういえばそうだった。彼女は相当な帯電体質。不用意に近づくとたちまち激痛が。

この後、喫茶店を出る時も、金属のドアノブに触り、「うわっ」と言っていた。
腕につけている静電気防止ブレスレットが空しく揺れている。

「いろいろ試してみるんだけど、これ(静電気防止ブレスレット)じゃ効かないんだよ~」


ありとあらゆる静電気グッズを試すのだが、どれも形無しだと言う。冬になると、車に乗るのが憂鬱だそうだ。

それにしても痛かった。私もたまにはバチっとくるけれど、彼女ほどではない。


何かに触れる度バチっとくるので、冬になると憂鬱な彼女だが、いい事もある。

彼女はとある会社の事務職を務めているのだが、冬になると意識的に会社のオジ様たちは彼女に触れるのを避ける。
普段セクハラ紛いのことばかりされるので、しごく居心地がよくなるそうだ。


また、昨年の冬は会社からの帰り道、怪しい男に無理矢理キスされそうになった。
電柱と塀の間に押しやられ、キスされる…と思った瞬間に バチッ
相手の男は「のわぁ!」と口を押さえて逃走したそうだ。


「いつも痛くて嫌になっちゃう事ばかりだけど、たまには役にたつんだね。この体質。」

…と彼女は笑っていた。



恐るべし、生物兵器。







































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