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「パンズ・ラビリンス」。あまり予備知識もなく。スペイン映画は「海を飛ぶ夢」以来。1940年代のスペイン内戦後のフランコ将軍圧政下。この時代のスペインといえば、キャパの撮る世界。物語は主人公の女の子の妄想というか空想というか、まさに迷宮での試練を中心に進む。それとほぼ同等に、軍部とゲリラの戦闘が展開するんだけど、後半はむしろそっちのほうがいよいよ凄まじくなっていって、主人公に課せられた3つの試練というのがどんなものだったか、合間うやむやになってしまうくらい。指輪もないし、仲間もいないし、ホウキにも乗らないし、赤い靴もない。まして、木陰で眠る夢でもない。ああいった類のファンタジーを予想したら、みごとに裏切られる。だって結末に達成感とか安堵感というのは一切ないわけだから。いや、安堵感はあるか。その後の、彼女が生きていくはずの世界が、さらに悪くなるであろうと予測できるだけに。大それた志があるでもなく(出足ここは千と千尋と一緒)、現実と幻想をなんの違和もなく行き来して、しかも最後は自己の意志をみごとに表明し、彼女は迷宮を抜け出して、別の国の王女として、しっかり着地する。十分に残酷で切なく救われがたい映画なのに、確かに不思議な安堵感がある。こういう映画をこういう手法で描くわけか。CGを駆使しながら、胸のすく爽快感も、破壊的な開放感もなく、むしろ狭く深く内面に分け入っていく。ハリウッドで同じものをつくったら、ああはいかないだろう。作品の性格上、あまりうまく説明できないんだけど、いい映画です。同級生と見に行ったんだけど、一人より共有できる人がいると安心できる。大人の心にズシンと重い、けれど見終わって、決して不快でなく、むしろ心地よい焦燥感みたいなものが襲ってくる。そういう意味ではファンタジーかも。
2007.10.29
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10月14日(日)京橋の警察博物館前で10時半に待ち合わせ。東京駅から歩くと、日曜日の八重洲界隈は、それはそれは爽やか。人がいないから。主催にたずねる。「今日はどのあたりを歩くんですか?」「一丁目から八丁目まで」ずっと銀座だぁー。京橋の橋桁を模した交番前の、歌舞伎発祥の碑。初代団十郎のが彫ってある。その真裏の簡易椅子に、ホームレスの方の私物が。本人不在だったけど、失礼ながらどことなく持ち物に品がある。銀座だから(思い込み)。一番目は一丁目のマロニエ並木を丸の内方面に向かった途中の幸稲荷。二番目は銀座通り沿い2丁目の越後屋ビル屋上にあるんだけど、ビル工事中で行方知れず。どっかに遷座してるはずだけど、捜すまい。松屋の先の薬屋(があったはずの)角を曲がって、三番目の朝日稲荷神社。ここから早くもはずれるはずれる。この一角がブラジルビルで、もとコーヒー屋があったところ。銀ブラという言葉は、もとは「銀座のブラジルに行く」という意味だったそう。今はビルだけブラジル、中はスターバックスとサンマルクカフェ。その近所で青空市をやってて、紀州梅干のアンケートやら静岡有機茶の試飲やらに引っかかるわけです。一日が終わらない危機感に襲われたオジサンたちは、向かいの牛乳屋「クレムリ」に入って、ソフトクリーム。うまいっす。牛乳そのもの。四番目は三越の屋上の銀座出世地蔵尊。可愛い祠とでかい地蔵。四丁目を数寄屋橋方面に折れて、並木通りに入ったら五番目の子育て稲荷。もうみんな今さらだけど。住所を見ると、カメラ屋のレモンのところなんだけど、何もない。店の人に聞いても知っちゃいない。裏に回ったら、これも工事の足場に囲まれて、なんか切ない。銀座のお稲荷さんたちは、みんなちょい気の毒。腹減りました。歩行者天国もかなり立て込んできたけど、こういうとき踏ん切りがつかない年代の人々。よっしゃ、あと2件だしッ。六番目のあづま稲荷がようやく銀座のお稲荷さんぽく風情がある。銀座の稲荷がどんなか知らないなりに。七番目は松坂屋の屋上です。かく護稲荷って雨冠に鶴と書くんだけど、意味は不明。鶴なのか?けど、いわれはやっぱり白狐だし。そういや、七福神と中央区教育委員会のお墨付きですが、ぜんぶお稲荷さん。お稲荷さん席巻。やっぱり土地柄か?何より商売繁盛か。2時半も回って、七丁目まで歩いて、ようやく昼ごはん。天国は日曜日にランチがなく、ちょっと戻って吉宗へ。こんなガラ空きの吉宗は初めて。皿うどんと茶碗蒸しのセットとビールでシメ。帰りに資生堂本社ビルでやっている「スクリーンでみる銀座」展。今はなき並木座の資料を中心に展示。昔の役者は絵も文も何でもこなす粋人ばかり。もちろん監督も。わが身を業界に引き込んだきっかけといっていい「花椿」の表紙のバックナンバーがずらっと並んでいて懐かしかった。最後に煎茶専門店で性懲りもなく馬鹿話して解散。6時間で10706歩(少なッ)のお散歩でした。
2007.10.27
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