駄目人間は箱の中

駄目人間は箱の中

それから


縁起も日当たりも悪そうな北向きの部屋
曇った窓に雫が落ちる
君が指先で書いた下手な犬は
落ちた雫でまだらになった

何が欲しいかと尋ねたら君は
唯一言「時間」と云った
特別な事は起こらないけど
僕はそれが倖せだった

娯楽といえるのは分厚い小説だけ
何故この部屋に居ついたのだろう

薬臭い咳をした次の朝に
僅かな小説と出て行った
がらくたをぶら提げ訪れた実家は
違う表札と小さな花
真冬の朝に曇る窓硝子を
拭いながら君を想った

縁起も日当たりも悪そうな北向きの部屋
曇った窓に雫が落ちる
君が指先で書いた下手な犬は
落ちた雫でまだらになった
           それから、
           それから、
           それから、


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