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まだ7月も終わりを見ず、これから夏本番を迎える時期だというのに、早くも秋開講の講座へのお問い合わせが入り始めている。くちコミの効果なのか、本当に有難いことです。「謝謝 中国語講座」など、少人数制の講座で定員に限りのあるものにご関心のある皆様、宜しければお早めにご連絡下さいませm(__)m今日付けの繊研新聞に、大阪の婦人服輸入卸ブリングスさんが、中国は上海の人気ブランド「zuczug」を今秋から日本で展開する、という小さな記事が出ていた。販路は専門店向け。実は私も「zuczug」の服を1着持っている。表地が茶色い横編みのニット、裏地がグレーのカットソー生地で出来ているVネックのカーディガンで、着易いので最近のヘビロテアイテムになっている。このブランド、一昔前の日本のDCブランドを彷彿とさせる雰囲気で、イージークロージング風だが中国のブランドとしてはかなり完成度が高い。昨秋上海で店舗を見て、「これは向こうの服好きの人に売れてそこそこ伸びるな」と思ったのだが、今日の繊研さんには「40店舗」と書いてある。やはり思った通りになりつつあるようだ。ブリングスさんは、同じ上海の高感度なブランド「デコスター」も日本で販売しており、なかなかの目利きである。最近日本ではイージークロージング系はダウントレンドだからこそ、逆に欲しいと思われる専門店さんはそこそこあるように思うのだ。ブリングスさんは中国ブランドの日本への紹介ということに関しては先駆者ですね。ただ、詳しくは繊研新聞さんを是非お読み頂きたいのだが、日本で「zuczug」を買うと値ごろ感は感じないような価格設定になってしまっている。中国へよく行く人は、やはり中国で買った方がおトクなようだ。「zuczug」は、2005年3月21日付けのこのブログでもご紹介した通り、向こうではズカズカと読む。何か、綴りからいっても日本の「ズッカ」を意識したんじゃないかと思えるような感じだなと思っていたのだが、今日の記事には「ザクザグ」という読み仮名が振ってあった。私の中では、もうこのブランドは「ズカズカ」という音で頭にインプットされているので、何かちょっと変な感じだなぁ。でも、普通の日本人にとっては、後者の読み方の方が自然なのだろうから、仕方ないのか。人気blogランキングへ
2005年07月27日
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出ましたぁ~。同業他社さんの海外ブランド買収や、一部上場のニュースを吹っ飛ばす大胆だが、正道をついた戦略。日本を代表する大手アパレルの1社、ワールドさんが、今日、経営陣による企業買収(MBO)を発表した。NIKKEI NETなどによると、今日の午後開かれた取締役会でMBO受け入れは承認されており、同社のホームページ(HP)上でも正式に発表されている。株式の公開買い付けが成立すると、ワールドさんの株は上場廃止され、非上場企業、ということになるのだ。ライブドアとフジテレビの問題の後、繊維ファッション業界の中でも敵対的買収に対する不安感は広がっていたようだが、いち早い対応、奇策のように見えて、法律的な論理構成もきちっと組み立てられ、正当な手続きを踏んで企業防衛の戦略を実行されたということは、さすがだという気がする。同社のホームページに掲載されている「公開買付けの開始に関するお知らせ」には、「経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な経営戦略や施策を短期的な業績の変動に左右されることなく迅速に遂行する役割を整備するとともに、さらに、自己責任を明確にした経営体制への転換を図るため(中略)」という同社の考え方が述べられている。株主資本主義の短所として、短期的な成果のみを要求する株主に振り回され、中長期的な視点に立った企業戦略が遂行しにくくなる、という点は間違いなくあるだろう。非上場になれば、そういう心配はなくなり、意思決定と行動はよりスピーディーになる。また、日経さんの夕刊に書いてあったように、上場維持には何かとコストがかかるが、それももちろん軽減できる。アパレル業界には、大手企業でもはなから上場を目指していないI社さんのような企業さんも存在する。「アパレル、すなわち昔のメリヤス屋は獏(夢を食べると言われる動物と、メリヤスの意の莫大小の莫をかけている)だ。獏は、大きくなりすぎるとはじけて小になる」というような例え話をよく業界紙時代の先輩に聞かされたものだが、トレンドの変化に応じた迅速な意思決定と行動ができなくなったら企業が傾く、だからアパレルビジネスはファミリーでの経営が一番適している、というのは確かに本当のことのような気がする。ワールドさんの場合、日本の業界内では揺るぎのない地位を固めている存在だと思うが、我々外部の人間が思っている以上に、経営陣の皆様は強い危機感を持っておられるのだろう。株式市場に跳梁跋扈する国内外の投資家にとって、アパレルの株は投機目的の売買には格好のターゲットなのだ。また、国内の同業者や大手小売業、あるいは、将来的にはアジア、特に中国の大手企業が買収を仕掛けてくるようになることだってあり得る。それにしても感心させられたのは、公開買い付けを実施する会社で、ワールドの寺井秀蔵社長が100%出資している(株)ハーバーホールディングスアルファが、産業活力再生特別措置法に基づく経営資源再活用計画の主務大臣による認定を受けている、ということ(先程ご紹介したPDFファイルの中にちゃんと書いてある)。念のため経済産業省のHPもチェックしたが、まだアップされてはいなかったが。本来的な産業再生、という趣旨から言うと、やや拡大解釈のきらいもあるが、どのようにして説得されたのか。しかし、同様の悩みを抱える企業さんにとって良い前例を作られた訳である。人気blogランキングへ
2005年07月25日
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7月2日(土)付けの繊研新聞の最終面の記事「変わる男の肌着 カットソー」の文中に、グンゼが昔販売していた「ヘルムートラング」の細身の肌着を、最近細身のカットソーを発売し売り上げを伸ばしているデザイナーさん達が評価している、という趣旨の文章が載っていた。う~ん、誰しも考えることは一緒なんだなぁ。私も昔、イオングループ傘下に入る以前の岡山ビブレで、ラングのメンズの肌着を買って、アウターとして愛用していたのだ。全体に細く、丸首の部分もぴったりとフィットするので、そのころは今より多少体重が少なかった私にとっても丁度良いと感じられるデザインだったのだ。カーキ色をチョイスすれば、本当にTシャツと変わらないしね。デザイナーさんやアパレルの企画担当者さん達は、こういう自分が良いと思った過去の商品をヒントに新しい商品開発を進めておられるんだよね。ちなみに、まだ私は、レディスでは「これすごい!」と思える究極のカットソーには巡り会えていない。そういうカットソーは、イタリアやフランス、ましてや中国なんかからではなく、うちの地元、東京・墨田の地から誕生してほしいと切に祈る限りである。さて、今日はこのブログの愛読者の皆様のご参考になりそうなホームページをご紹介したい。「日本モデリスト協会」という会の存在をご存知だろうか。モデリストというのは、アパレルと工場を結び、ものづくりのトータルな流れを理解した上でパターンを作成するプロフェッショナルな職業のことを指すが、そういうモデリストの皆さんが交流と技術研鑽を行うために結成された会である。この会のホームページがマイナーチェンジされた、という情報を、最近同会から送られてきた会報『JNMAニュース』で知った。初めてホームページを拝見したのだが、非常に見ごたえのある内容である。一つは、私もお世話になっている国内のある著名な工場の社長さんの文、写真による「工場へ行こう」というコラムである。ミシンやアイロン用の馬の話題など、現場の日々のご経験の中で工夫された知恵を披露しておられるのだが、成程、と感心させられることばかりである。「デュアルコップ」のミシンなんて、昔そういえば取材したことがあったなぁ・・・。「アイロンで腱鞘炎になる」という話も、岡山に居た頃、「昔はそういうことがあった」と聞いたことがある。些細な重さの差、本当に全然違うんですよね。衣料品の製造業は、機械金属の業界に比べ環境的に恵まれているのではないか、とおっしゃられる方もおられるが、昔はやはり大変だったのだ。もう一つは、日本を代表するモデリストのお一人、柴山登光氏の「モデリストの引き出し」である。これは皆さん、本当に素晴らしいので是非写真と文章をご覧下さい。柴山氏は、今年4月16日付けのこのブログでもご紹介した通り、IACD(国際衣料デザイナー協会)のミケランジェロ賞をレディス、メンズの双方で受賞したご経歴を持つ程の腕前なのだ(自己トラックバックをかけたので、ご興味のある方はこのエントリの下から前に遡ってお読み下さい)。まつり縫いの最後は、糸を「小指ではじくように引き終える」とか、私も見たことがない「松葉カンヌキ」「脇刺し」の技術など、本当に美技です。芸術です。写真だが、動きに無駄が全くなく、体にも余計な力が全然入っていらっしゃらないことが非常によくわかる。このホームページに掲載されているのは、会報『JNMAニュース』のごく一部の内容である。会員になると、会報が送付されるほか、定期的な勉強会や工場見学等にも参加できる。また、モデリスト(パターンナー)ではない方でも、会の趣旨に賛同される方はサポーター会員制度もございますので、是非ご入会下さいませ。ちなみにさくらも会の設立時からサポーター会員になっているのですヨ(^^) どうか宜しくお願い致します。
2005年07月04日
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