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nomination1103

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2006年04月13日
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改革途上にあるジャパン・クリエーション(JC)。来週19日から21日に第10回展が東京流通センターで開かれるのだが、再びビックサイトに会場を戻す12月の第11回展に向けた対応が昨日発表された。

日本繊維新聞 の見出しの4WG(ワーキンググループ)とは、事業運営、広報、コラボレーション、ビジネスサポート、の4つらしい。更に、プロデューサーに日本デザインセンター代表取締役・ 原研哉氏 が就任することが発表された。

原氏の実績の詳細については私も知らないが、このホームページに掲載されているような幾つかの著名な仕事については当然見聞している。知名度は国際的にも高い方だし、海外への情報発信という非常に重要な役割を担って頂くにはもってこいの人事だろう。

さっき、ネットで「原研哉」氏を検索していて、原さんの講演を聞かれた方が非常にうまくその内容をまとめておられるのを発見した。せっかくなのでここでもご紹介させて頂きます。 minfish.jp-blog さんのエントリである。

このエントリの中に、informationとex-formationについて触れたくだりがあって、原氏の知見の深さを改めて痛感したのだが、それを読みながら私が思ったことは、informationだろうが、ex-formationだろうが、そもそも中身が薄いものが懸命になってそういう企み、仕掛けをしても、結局はその底の浅さを露呈するだけなんじゃないだろうか、ということ。

すんません、JCさんを皮肉っている訳ではないのだが、冗談抜きで、その点はちょっと心配なのだ。

というのは、日本繊維新聞の報道によると、「新生JCの実質スタートとなる12月展は、従来の玉石混合的な提案方式から、グローバルエッジ、ビジネス、新商品開発、チャレンジ、OEMなど、各ゾーンを明確に打ち出し、内容の一新を図る」とあるのだが…。



確かに、既存の玉石混合の出展者のうち、石の皆さんにはなるべく出展は差し控えて頂くようにして、「絹」とか「ウール」「綿」とか「タオル」「ニット」等、素材別の分類をやめて、目的別にきちっと出展者のブースを分類するだけでかなりバイヤーにとって見やすく商談のしやすい展示会になるだろうが…。

それだけでは国際的な見本市、というには程遠い。

逆に我々が何故プルミエール・ヴィジョンに出向くのか、を考えてみると良い。個々の出展者との商談目的もあるが、展示会全体としての、シーズン・トレンドを知りたいから、この動機がかなり大きいのではないか。

インターテキスタイル上海ですら、稚拙なレベルであってもトレンド・コーナーは設けてある。その部分で、その国のテキスタイル業界の感度のレベルが如実にわかるのだ。

日本の繊維産業としてのトレンド発信のためには、テキスタイル・トレンドを予測し、ディレクションできる専門的な人材の存在が不可欠だ。

この分野に関しては、いかに優秀な他産業のプロダクト・デザイナーであっても、そう短期間にはハイレベルな成果を挙げるのは難しいのではないかと私は思っている。

繊維ファッション産業、というのは、他のデザイン分野と違い、マテリアル=素材の段階で、意匠はおろか構造的な設計も含めて一度テキスタイル・デザイナーがデザインを施し、更に2次製品のデザイナーがそのデザインにインスパイアされながら2度目のデザインを行う、という二重構造になっている。

更に、車や家電、携帯電話などと違い、2次製品は多品種少量、どうやっても万人へのベストセラーは難しい商品だ。ジーンズやTシャツ、イッセイ・ミヤケの「プリーツ・プリーズ」のようなごくごく一部の例外を除けば、ロングセラーも相当に難しい。

常にテキスタイル、アパレルのデザイナー共、something newを探し、動き続け開発し続けなければならないのだ。

このように高度で複雑で繊細で、そしてマテリアルとエンドユーザー向け双方のデザイナーの大車輪のような働きが求められる産業分野は他にはない、と言い切ってもいいのではないか。それだけ、やりがいのある難しい分野なのである。

しかし、日本のテキスタイル・デザインは、トップグループの企業さん達の仕事のレベルの高さが海外のラグジュアリーブランドにも高く評価されていながら、そこに続くグループの底上げが遅れている。



とはいえ、引き合いに出すと申し訳ないが、アパレル分野、デザイナーズ・ブランドの情報発信の場であるJFWの活性化よりは、JCの方がひょっとしたらはるかに早く実現できるのではないか、という気が私はしている。既にトップランナーは国際競争に打ち勝っているので。そういう企業さんの仕事をうまく方向づけ、東京発ならではの味付けで世界に知らしめさえすればよい。トレンド・ディレクションの出来る優秀な人材がいればよいのだ。

残念ながら、機能と感性両面での機屋さんのトップランナーの商品開発に、全体を統括すべきテキスタイル・コーディネーターの育成がついていっていないのではなかろうか。

私が危惧するのは、日本でこの分野の専門家、と目される方々は、ベテラン勢ばかりだということだ。まだ、素材メーカーさんや商社さん等にゆとりがあって、研究所が併設されていた頃に育った人材である。

今や、そういう直接利益を生まない分野は縮小傾向、プロの皆さんはデザイン分野の一流の人材にふさわしい報酬がなくとも、産地のために、ということで、心意気でいろいろなお仕事を引き受けて下さっている有様なのではないか?

早急に20代後半から30代の感性とコミュニケーション能力、行動力の高い人材を、それも複数名抜擢して育てなければ、日本のテキスタイル業界はいつまでたっても日本発の発信はできない、ということになってしまうような気がしてならないんですが…。










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最終更新日  2006年04月13日 22時34分09秒
[ニュース解説ー川上(素材・商社)] カテゴリの最新記事


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