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2006年05月27日
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カテゴリ: IT活用
お取り引きなさっておられる企業さんにはある程度は情報開示なさっておられるのだろうが、華々しいTGC(東京ガールズコレクション)以外の話題がなかなかファッション業界に伝わってこないゼイヴェルさんネタの続きです。

5月24日(水)の、スクウェア・エニックスさんと新会社を設立して新しいSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を立ち上げるとのニュースと、その前の、WWDジャパンさんの5月22日号のネット通販&ケータイ通販特集を見て、いろいろと疑問が沸いてきたので、ネットで少し調べてみた。

まずは、既にご存知の方も多いかもしれないが、 「7StarVentures-エピステーメー-」 というサイトで、2005年7月からゼイヴェルの大浜史太郎社長へのロングインタビューの連載が続いている。インタビュアーは(株)ベンチャー・オンラインCEOの唐澤誠章氏で、中々力の篭った内容だ。

このインタビューを読んだ率直な感想だが、大浜社長は、最近マスコミで騒がれている、「76世代」(1976年生まれの、はてなの近藤社長、ミクシィの笠原社長など)の経営者達とは違うタイプの、ユニークな個性をお持ちだということ。

ご自身も認めておられる通り、基本的にはPCではなくモバイルの世界の方だし、技術面でのトップランナー、という訳ではない。PCのネットの世界の動きを睨みながら、ケータイでは他社に先行する、という戦略を取っておられる。

その際の同社の武器は、コンテンツ作りのうまさとか、感性に訴える販促、なのだ。非常に論理明晰なタイプでありながらも、我々ファッションの業界に相通ずるような、「右脳系」、水っぽい匂いを持っておられるようで、なかなか面白い方ですね。

やはり、元はTVの構成作家をなさっておられたということで、ヒトのココロの微妙な綾を読むことに長けておられるように感じる。

印象に残ったのは、「社員に仕事に全力投球してもらうため、社内恋愛を禁止している」というくだりと、「35歳定年制」の話である。



同社のターゲットとしている年齢層からしても、ケータイ、モバイルの業界の進化の早さについていくためにも、35歳過ぎている人間は少なくとも現状では使い物にならない、というのも良くわかる。

今も昔も、さくらがお世話になっているアパレルやヤング向け小売業の社長さん達の何人かは、「35歳過ぎたらヤングのバイヤーからは外れてもらう」「40歳になったら、物流など裏方に回ってもらう」とおっしゃっておられるが、それと似ていますよね。

ただ、「独立してもらう」と「裏方に回ってもらう」は、雇用を保証しているかどうかという点で大きく違いますから。初めから独立できないレベルの人間は採用しない、と言い切っておられるのを無責任ではない、と見ることも出来るだろうし、このような不安定な会社には就職しない、という人も当然多いだろう。その辺は、賛否両論分かれるところだと私は思います。

それはさておき、ゼイヴェルさんの売上高の実情は、一体今どうなっているのだろうか?

大浜社長は、「7StarsVenture-エピステーメー-」のインタビューの中で、「マスコミへの情報公開については気をつけている」ということを語っている。ライバルに模倣されることを恐れておられる訳で、それは無理からぬことだが、正直、取材する側の突っ込みも足りないのではないか、という気がしてならない。

昨年6月17日付けの繊研新聞さんに、「ガールズウォーカーは月商4億5千万~5億円規模になっている」旨が掲載されている。その後、2005年8月8日付けの「7StarsVenture-エピステーメー-」では、同サイトのCVR(コンバージョンレート)がまだ0.4%しかない、と大浜社長が述べておられた。

前、「両国さくらの☆ネットでファッション☆」に書いたが、ネット通販の業界では現在はCVRは最低0.7%以上はないと失格、と言われている。

裏を返すと、「まだまだ成長性は高い」と見ることも出来るのだが、果たして現状ではどの程度まで伸ばしてきているのだろうか。

ゼイヴェルさんから出ている数少ない情報の中で、気になっている点が2点ある。ベンチャーナウのサイトに昨年9月、ガールズウォーカードットコムの月間PV(ページビュー)は約30億、総読者数2,700万人と掲載されていたのだが、WWDジャパンさんの4月24日号の特集では、前者が26~28億、後者は未公表となっていたのだ。

「30億」と「26億」、いずれもケタ外れに大きい数字ではあるが、かなり違う数字である。両方共本当の数字であれば、1割以上減少していることになる。これは何故なのか?

更に、会員数も、ひょっとしたら減り始めているのではないのか?



ケータイブログを始めても、PCが買える、自宅において頻繁に立ち上げることの出来る経済力と時間があれば、そちらへ移行、ということもあるだろう。ケータイの小さい画面だけでは得られない情報を得たり、友達を作ったり、買い物をすること、あるいは自ら発信する面白さを覚えてしまうと、最早モバイルには戻ってきてくれない子達も多いのではないか。たまには見ることはあったにしてもね。

もう1つ、これは同社に限らず、全ての企業さんが今直面している問題であるが、ヤングの数は年々着実に減り続けている、ということも影響しているのかもしれない。

だからこそ、後述するが、同社はファンの女の子達、そしてネクストのジェネレーションの女の子達に向けて、常に新しい仕掛け、サプライズを提供していかなければならないのである。

さくらが気になっている点の2点目、それは、オークションサイト、ガルオクさんのことである。

今、久々にガルオクをチェックしてみたんだけど、正直、ガラガラ、でした。ほとんどの商品が入札ゼロである。ごくごくたまに、「CanCam蝦チャン系花柄フリルワンピ」なんて書いてある商品に42件入っていたりするけれど。



たぶんもう、ガルオクではモデルさんが出品したような商品とか、今すぐ着られる旬のアパレルくらいしか売れない、ということは、ケータイユーザーの間でも有名になってしまっている筈だ。2ちゃんねるには、「出品者に詐欺師や常識のない子供が多い。オークションはPCの方が信用できる」とか、「サーバが重すぎる」(この書き込みは何件もあった。これはケータイやネットのビジネスでは致命的ですよ。ということは、この分野はゼイヴェルはかなり捨ててかかっている、と見た方が良いとさくらは思う)などなど、辛らつな書き込みが一杯だ。小さな売り上げの集積で稼ぐC2Cの分野でこうなってしまうと、なかなか巻き返しは難しいのではなかろうか。

わずか1年前の2005年6月17日付けの繊研新聞には、「ガルオクの月間流通総額50億円以上、会員150万人」なんて威勢の良い数字が踊っていたのだ。このように、ケータイ業界のビジネスは、まだ流れが流動的であり、現在の優良企業が超大手に飲み込まれる、あるいは後発に追い抜かれる可能性も高いのである。

では、同社はこれからどういう方向に向かおうとしているのだろうか?

5月24日付けのこのブログに書いたが、ネットビジネスの企業戦略は大きく2つに分類できると私は考えている。

1つは、Web2.0系のGoogle、Yahooや、日本のmixi、はてななど。なるべく多くのユーザーを集め、薄く広くお金がチャリーンと落ちてくる仕組みを作ること。もう1つは、ページビューの多さではなく、CVR(コンバージョンレート)を上げ、目的意識を持って訪問してくる人やリピーターから売り上げを取っていく方法(大半のネット通販)。

今日、「7StarVenture-エピステーメー-」を読んでいると、興味深い記述に行き当たった。1つは、思い出してみると、確かにこれは大浜社長は前から繊維ファッション系の媒体でも語っておられたように記憶しているが、ガールズウォーカードットコム全体としては通販サイトではなく、女性向けのポータルサイトである、と位置づけている、というくだり。

もう1つは、「コマースの売上高は100億円程度で良い」と明言しておられることだ。

これはたぶん、正しい戦略だという気がする。ピュアヤングからヤングの、レディスの感度の良いブランドだけをターゲットにしていくと、どうしても成長の限界というのは出てくるだろうから。
年代層の高すぎる、あるいは低すぎるゾーンまで入れると、サイトのとんがりがなくなってきますんでね。

ひょっとしたらゼイヴェルさんは、そろそろこの100億円の目標は達成できる段階に近づいてきているかもしれない。皮肉なことに、PVは落としつつCVRは上がる、という、通販に限っては理想的な法則にはまりながら・・・。

だが、女性向けの総合ポータルを築き、そこからファッション系通販に限らず多様なビジネスを派生させていくと考えれば、PVが落ちる、というのは望ましい状態ではない。

だから、次に向かう方向は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)なんですよ、間違いなく。ファッション業界の人達にこういう難しい話をしてもわからんだろうな、と思って、そういう話題はわが業界の業界紙の記者さんの前ではオクビにも出されないんでしょうけどね(笑)。

PCの業界でも、まだ、女性のみのSNSというのは、立ち上がっていない。これがもしうまく行くとしたら、しかもモバイルの世界で、というと、完全に世界初の事例になるだろうが・・・。

さくらが前々から感じていることが1つある。PCのネットの世界では、IT系企業さんがうまく仕掛けたから、ということもあるが、草の根のネットワーカーさん達の中に何人もの新しいもの好きのオピニオンリーダーさん達が居て、彼らが口コミでネット上のニュートレンドを広めていく、といった現象が定着している。

だけど、ガールズウォーカードットコムが今前面に出しているエビちゃんは、雑誌発、上からの仕掛けなんですよ。サイトの利用者の女の子達は、まだまだ受け身なのだ。

女性達でも、むしろネットでアフィリエイトをやっているママさん達なんかの方が余程能動的、活発で楽しげだ。

ケータイ、という小さな画面、メインユーザーも年齢的にもキャラクター的にも幼いタイプが多い、ということになると、どうしてもTV的、雑誌的な上からの仕掛けでプッシュしていかないと市場は作れない、というのがこれまでの状況なのだろうが・・・。

SNSを成功させるには、参加者が自由に動きやすい仕組みを作ってあげる必要があると思う。

それが、女の子だけ、というフレームで、果たしてうまく行くのか?もし男子も入れるとしたら、スクエニさんと組んだことと洋服の通販(現状では主としてレディスのみ)という同社独自の武器をいかにして生かしていくのか?

既存顧客の回遊でそこそこ数字を取っていけばよい、という考えだと思われる就職サイトや不動産賃貸の斡旋とは違って、この事業には相当に力を入れて臨んでいかれるのではないかと私は予想しているのだが、さて今後、どうなるでしょうか?上場企業である、スクウェア・エニックスさん側の意向もあるでしょうしね。

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最終更新日  2006年05月28日 21時06分22秒


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