
篠山紀信は好きじゃない。
彼のアクションのせいか、その風貌のせいか、
あの風貌で南沙織を妻にしたせいか、、、、
今、銀座8丁目の 東京画廊 で、
私があんまり好きじゃない篠山紀信の写真展が開催されている。
Yomiuriオンラインの 「GINZA通信」 に永峰好美さんが紹介記事を書いている。
銀座の老舗のご店主さんたちをデジカメで撮ったモノクロの作品たち。
その中に私の古巣の写真もあったわけ。
銀座1丁目~8丁目までの歴史ある店31軒。
銀座で20年近くも働いていたわりに、名前こそ聞いたことはあったけれど、
実際に足を踏み入れたのは数軒もない。
東京画廊も実は初めて訪れた。
化粧品店と同じで、画廊に対しても、入ったら何か買わなきゃいけない、、、
ただでは帰してくれない、、、という強迫観念があった。
フラッと入って、フラッと出る、、、ってことはしてはいけないのだと思っていたのだ。
でも今日は大丈夫。だって仲間が写っている写真を見に来たのだから。
東京画廊は、昭和時代に建てられたであろう雰囲気が強く残るビルの7階。
えっ?ここなの?
あの超有名な写真家の写真展なのに、ここでいいの?
入口はそれ程にそっけない。
エレベーターで7階に上がり、開いた画廊の扉を入ると
いわゆるホワイトキューブ的な天井も床も壁も真っ白な空間に
シルバーフレームに収められたモノクロの写真が並べられていた。
台紙には作家のサインも入っている。
デジカメで撮ったって、どんなデジカメなのよ。私のと全然違うじゃない。
ピントが奥までよく合っている!!
そして、なんだろう、この懐かしい雰囲気は。
画廊やバーや紳士服店。。。
敷居が高くてどれも入ったことのない店なのに、
カメラの前のご店主たちは、皆、私の旧来の知人であるかのような
和やかな表情をこちらに向けている。
足繁く通ったカフェのオーナーも初めて対面するのに懐かしい。
私の仲間が始めた新しいショップも、老舗と並んで、堂々たるもの。
篠山紀信って、何者?? 彼に軟化し始めた私は
家に帰って、さっそく彼の作品群をチェック。
墓場、、、裸、、、あー、やっぱりこういう人よね、と思い始めたその後に、
なんと、私が最近心惹かれていた写真が出てくるではないですか!
あのモデルの杏が地下鉄の通勤風景を演じたポスター。
女性誌では見られない杏のなまめかしい表情が印象的だと思っていたポスター。
あーー、これも、紀信だったのか、、、
知らない間に、心惹かれていたなんて、、、不覚!!
ずっと訳の分からないヤツと思っていたのに、、、愕然。
まあ、そんな私の動揺はさておき、
「GINZA しあわせ」展、良かったです。
写真だけじゃなくて、図録(2000円)の解説、是非、読んでください。
そのままで銀座老舗のガイドブック。
懐かしさとともに「大人になったら(もう既にいい大人だけど)、この店に行こう。」
そう思わせてくれる未来の指南書でもある。
● GINZAしあわせ展@東京画廊 (11月26日まで)