りゅうちゃんミストラル

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2007.11.16
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カテゴリ: スポーツ

フランスワールドカップ予選、第3代表決定戦日本対イランがあった日。
あれから10年。

サッカーボール

日本が初めてワールドカップに出られるかどうか。
それがこの試合にかかっていた。
場所はジョホールバール(マレーシア)のラーキンスタジアム。

この予選、日本は苦戦した。
監督の更迭でフランス行きのチケットを賭けた戦いに挑んだ。
この試合もアジジの負傷(演技)、城の脳震盪、
延長戦でのゴールといろんなことがあった。

私はジョホールの現場にいた。
今でもあの試合のチケットを持っている。

それより前、11月1日に行われたソウルでの日韓戦。
日本はこの試合に勝ち、何とか首の皮一枚でつながっている状態だった。
この時点で日本より優位に立っていたUAE。
だがウズベキスタンとホームで引き分け。
まだ日本にも運が残っていた。

韓国にまだいた私はソウルでUAE対ウズベキスタンをテレビ観戦。
アナウンサーが試合終了直後、こう叫んでいた。
「アリガトウ!ウズベキスタン!サヨウナラ!UAE!」
すぐに私が宿泊している韓国式の旅館に電話がかかってきた。
韓国のサッカーファンからだった。
「チャンスを逃すな!一緒にフランスへ行こう!」
彼の拙い英語でも、意味は充分に伝わった。

日本には、まだ試合が残っていた。
カザフスタンとの国立での試合(11月8日)だ。
この試合でゴールを決めた中山。
ユニフォームの下にカズのユニフォームを着ているのが印象に残った。
この試合は5-1で圧勝。

日本がフランスへ行くためにはイランを倒さねばならない。
決戦の地、ジョホールは遠かった。
シンガポールに近いが、直行便は空席がなかった。
そのため、私はクアラルンプール経由でシンガポールに向かう。
空港の待合室で1泊した。
ここから車で国境を越え、ジョホールに着いた。

会場のラーキンスタジアムは こんな 感じ。

ラーキンスタジアム

試合は前半40分中山のゴールで先制。
後半すぐにアジジ同点ゴールで1-1。
その後ダエイ逆転ゴールで1-2。
後半30分過ぎ、城のゴールで同点。
試合は延長戦へ。

ここで私は印象的な場面を見る。
選手たちが延長戦を前に円陣を組んでいた。
そこにはトレーナーやドクターもいた。
だが選手たちは誰かを呼んでいた。
代表に呼ばれていた女性栄養士だった。
彼女はピッチの外で「私も?」を自分を指差す。
選手たちは「そうだ!来い!」と彼女を呼ぶ。
円陣に向かって走って加わる彼女。
彼女もまた代表チームの一員だった。
実に感動的な場面だった。

帰国後、この試合の放送を観た。
NHKの山本浩アナ(今は解説委員)が円陣を見てこう言っていた。
「彼らは彼らではありません。彼らは私達そのものです」
彼らしい名台詞だった。

延長戦では途中投入の岡野がチャンスを外しまくっていた。
それでも試合終了の時は来た。
パスより効果的と判断した中田が自分でシュート。
それをはじくイランのキーパー。
こぼれ球をスライディングで押し込む岡野。
コーチから監督になった岡田が選手の所へ走る。
長い試合はこうして終わった。

試合後、黙々と走るイランの選手たちが印象的だった。
彼らにとってまだ戦いは終わっていない。
オーストラリアとのプレーオフが待っている。
(イランはこの後見事フランス行きを決めた。
ホームアンドアウェーで行われたこの大陸間プレーオフ。
第一戦はイランホームのテヘランで行われ1-1の引き分け。
第二戦はメルボルンでオーストラリアが2-0と途中までリード。
しかしイランも見事に2点を返して2-2で引き分け。
アウェイゴールの差でイランがワールドカップ出場となった。
これは メルボルンの悲劇 と呼ばれた)

その夜、遅くまでジョホールの屋台街は日本人で溢れていた。
私はホテルが選手と同じだった。
宿に帰るとカズがビールを持って現れた。
「今日はありがとう。これみんなで飲んでくれ」
私にはそのビールを飲む資格はなかった。
何故なら選手を信じ切れていなかったから。
「もう駄目だろう」と何度も思ったから。
イラン戦の途中、何度もオーストラリア行きを覚悟した。

次の日、友人をチャンギ空港(シンガポール)まで送った。
その時ちょうど日本代表の選手たちがやって来た。
集まった日本人は感極まって「ありがとう!」としか言えなかった。


北京オリンピックアジア最終予選のベトナム戦は17日。
そして21日にはサウジアラビア戦が待っている。
五輪日本代表は苦戦している。
カタールにアウェーで負けて現在2位。
反町は選手たちにジョホールのビデオを見せたらどうか。

北京五輪代表はまだ実力を出していない。
やれることをすべてやり尽くしたわけではない。
選手と反町はそのことをよく知っているはずだ。
すべての選手、すべてのスタッフによる総力戦はまだできる。
それをジョホールでのイラン戦で再認識してほしい。

私には先日のACL決勝、「ジョホールバルの歓喜」から10年の今日。
そして北京五輪予選がつながっているように思える。

いや、何が何でも繋げなければならない!
総力戦で北京行きだ五輪代表!


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最終更新日  2007.11.16 16:17:43
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