りゅうちゃんミストラル

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2010.05.17
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カテゴリ: 読書





野球の弱小校、小金井公園高校。
設立から8年目で管理教育が行き届き、閉塞感が漂っている。
クラスは学力別で主人公のキャプテンは最低のF組。
校則は厳しく、運動部も勉強の邪魔としか評価されない。

今まで勝ったことがないこの高校にチャンスが巡ってくる。
野球で強豪校にいた左腕の沢渡が転校してきたからだ。
剛速球を投げる彼がいれば勝てる。
そう思っていたナインは張り切るし、実際地区予選の準決勝まで勝ち進む。
美人マネージャーの登場もナインの刺激にはなった。
だが沢渡には人に言えない秘密があった。

(以下ネタばれ)

トランプのシーンで使われたサインペンが、後半生きてくる。
だが私には読んでいてそのことがすぐにわかってしまった。

沢渡が同性愛者であるということが、墨山高校との試合中にわかる。
しかし、噂というものは怖い。
それまで、強豪校相手にノーヒットノーランまでした沢渡。
実際は、もっと前に誰かが秘密を話してしまうだろう。
「人の噂も49日」は面白かった。

同性愛。
私も含めて人は自分と違う者を避けたがる。
1985年でなくても、同性愛者を理解する人は少ない。
私も含めて、頑固な管理教育の推進者である校長を簡単に批判できない。
カトリック信者でなくても、同性愛を批判する心を多くの人は持っている。

作者の 五十嵐貴久
「ロケットボーイズ」や「パパとムスメの7日間」などを書いている。
成蹊大学出身。成蹊大と言えば作家では石田衣良。
その前には小池真理子、桐野夏生もこの大学出身。
(安倍晋三元首相も成蹊大)
「1985年の奇跡」は舞台は武蔵野市や三鷹市で成蹊大に近い。

この作品は雑誌で紹介されていたことで知ってはいた。
だが今まで読まないでいた。
今読んだのは、この本が図書館のリサイクルで無料になっていたから。
残念なことに、本はかなり新しいままだった。
(複数購入、または寄贈されたため?)

後に古い作品を読むのは悪いことではない。
しかも、携帯のない時代が描かれているのでノスタルジーに浸れる。
おニャン子クラブや「夕やけニャンニャン」など、かなり懐かしい。
チェッカーズやC-C-B、小泉今日子。
ある年代には懐かしさ爆発のはず。
JALの墜落事故もこの年の8月だった。
たぶん5年後に読んだとしても面白さは変わらなかっただろう。

墨山高校とのリターンマッチ。
その結果とエピローグは果たして必要だったのか。
読者によって意見は大きく分かれるに違いない。

この作品は稚拙な部分が目立つ。
しかしそれを差し引いても面白い。
簡単な内容なので、するすると読める。
今度、別の作品も読んでみよう。

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最終更新日  2010.05.17 20:59:46


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