誕生日と・・・


佳乃ちゃんという双子の姉妹。
本当なら綾吉とともに、私達と何十年も歳を一緒にとってゆくはずだったわが子について、いままでの気持ちを書き留めようと決心しました。

~妊娠から出産まで~
双子の妊娠といっても順調でしたが、途中、妊娠6ヶ月を迎えた時の健診でひとりの心臓が止まっていたのです。
亡くなった子と生きて大きくなる子2人をお腹の中にとどめたままの、残酷で複雑な気持ちの妊娠期間は思い出してもつらい。
私はいま思うと、生まれてくる子のためとはいえ、亡くなった子の事を考えないようにしていたのです。そうでもしなければ、精神的に持ちこらえることができなかったと思います。押し殺していた気持ちが今、申し訳なく、悔しく、どうしようもないのだけれど、募るばかりなんです。

結果、37週での出産となりましたが、途中もうひとりの生きている子の生存確率50%、生まれてからの脳障害の確立50%といわれながらの妊娠期間でした。
生きて生まれてくれるだけでいい。強く願いました。


~出産からその後~
第一子として佳乃ちゃんは、小さな小さな体になって出てきました。ごめんね育ててあげられなくて。8分後に胎盤でつながった綾吉が生まれるまで、ドクターが抱えていたのを今でも忘れることができません。
出産と死産、わかっていた事なのだけれど、人間“嬉しい”、と“悲しい”を同時に経験すると何にもできない。

一卵性の双子だったゆえ、佳乃ちゃんの成長ぶりを綾吉と重ね合わせてしまう事もあります。
双子を見かけるのは今でも複雑な気持ちです。

佳乃ちゃんにはたくさんの事を教えてもらいました。
妊娠、出産の難しさ、素晴らしさ、命の大切さ。
ほんの数ヶ月の間だけど、佳乃ちゃんの親でいられたことを誇りに思います。


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