小人

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ユダヤ・2



ニューヨーク出のハイミー・ゴールドバーグが出張でマイアミの通りを歩いていると、フェイギン・フィンケルスタインに呼び止められる。「クロップマンじゃないか!」と叫ぶフェイギン。「オマエどうしたんだ。久しぶりだなー。こんなになっちまって」「でも、待ってくれ」とハイミー、「僕は・・・」「いいからって」とフェイギン。「オマエの変わり様にはショックだぜ。前はあんな雄牛のような大男だったのに、今じゃオレより小さいじゃないか。病気でもしてるのか」

「ちょっと待ってくれ」とハイミー、「僕は・・・」「いいからって」とフェイギン。「それにオマエ、髪どうしたんだ。前は黒髪フサフサだったのに、今や完全なハゲじゃないか。どうなってんだ。しかし何でオレはオマエだと分かったんだろう・・・。クロップマン、オマエ一体どうしちまったんだ」「だからさっきから言おうとしてるだろ」とハイミー。「僕はクロップマンなんかじゃない。ハイミー・ゴールドバーグだ!」「ナント!」と叫ぶフェイギン、「名前まで変えたのか!」

(乱気流ババア)

飛行機の機内にて、ノルウエー人の金髪の大男の横に、小柄なユダヤ人の婆さんが座っている。彼女はまじまじと彼を見続ける。とうとう彼に向き直って婆さんが言う、「すみませんけど、あなたユダヤ人?」「いいえ」と言って彼は機内備え付けの雑誌に目を戻す。数分して、またも彼を見て婆さんが言う、「仰って下さいな、あなたユダヤ人なんでしょ」彼が答える、「違いますったら」婆さんは彼を観察し続け、またもや言う、「絶対ユダヤ人だわ!」迷惑行為を止めさせようと大男のノルウエー人が言う、「わかりましたよ、僕はユダヤ人です!」婆さんは彼を見つめ、頭をクネクネ動かして曰く、「ホント? そうは見えませんけどネエ」

(セット販売)

ハイミー・ゴールドバーグが通りを歩いていると、小ぎれいな身なりのセールスマンに呼び止められる、「ご主人、歯ブラシいかがですか。10ドルです」「10ドルだと」とハイミー。「ボッタクリだな」セールスマンはガックリ。「それじゃ」と彼、「美味しい自家製チョコレートケーキいかがですか。10セントです」これなら適価とハイミー、男に10セントを渡し、包みをむいて一口ほおばる。と突然、彼は叫んで吐き出す。「うわっ!」と彼。「このケーキ、クソみたいな味じゃないか!」「クソです」とセールスマン。「歯ブラシいかが?」

(初仕事)

ハイミー・ゴールドバーグは新聞広告に応募する。そこにはこう書いてある、「一生一度のチャンス!」彼は住所を教えてもらい、フィンケルスタイン爺さんとご対面と相成る。「ワシが探しとるのは」と説明するフィンク爺さん、「ワシに代わって悩んでくれる人物じゃ。アンタの仕事はワシの心配事を全部しょい込むことじゃな」「大変な仕事ですね」とハイミー。「給料はおいくらですか」「年俸20,000ドルじゃ」とフィンク爺さん、「ワシのあらゆる悩みをアンタの悩みにしてもらう」「分かりました」とハイミー、「お金はいつ頂けますか」「オッと!」とフィンク、「ソレ、最初の悩みじゃ」

(ジタバタすんな)

モウシェ・フィンケルスタインは税務署から厄介な手紙をもらい、面談に行かねばならなくなる。彼は弁護士の息子フェイギンに電話してアドバイスをもらう。フェイギンは古着を着て行って、あまり羽振り良く見せないようにと助言する。税務署へ行く途中、モウシェは偶然メンデル・クラビッツに出会うが、メンデルはその身なりでは悪党に見えるから税務署員はすぐに何かを嗅ぎつけるだろうと言う。大いに混乱したモウシェは、ラビのナスバウムを訪問する。ラビは外出中だったが、細君がモウシェを招き入れる。

「何かお悩みでも?」と彼女。モウシェは事情を話す。「なるほど」と、話を聞き終えた彼女。「結婚間近の頃を思い出しますわ。私、白いナイトドレスで処女のように見せようか、それとも黒いドレスで経験豊富なそそる女に見せようかと決めかねてましたの。そこで祖母に相談しましてね」「本当ですか!」とモウシェ。「で、お婆様は何と」「実は」と、ラビの細君、「祖母はこう申しましたの、『何着てても同じよ。どうせヤラレちゃうんだから』って」

(なるほど)

ハイミー・ゴールドバーグが電気店に入り、リモコンテレビの値段を訊ねる。「1ドルです」と店員。「まさか」とハイミー。「お客さん」と店員、「買うんですか買わないんですか」勿論ハイミーは彼に1ドル渡す。店から出ようとすると、大型冷蔵庫が目に入る。「あれ、いくらだい」とハイミー。「50セントです」と店員。ハイミーは50セントを取り出して店員に渡す。「一体この店どうなってんだい」 と彼。「べつに・・・」と店員、「でも社長が女房と一緒にウチに居ましてね、社長が女房にしてる事を、私は彼のビジネスにしてる訳です」

(17歳は一度だけ)

ゴールドバーグ家の人々は長年ハイミーに補聴器を買うように説得しているが、彼は、「ナンセンス。お前達が大声出しゃエエ」の一点張り。しかしある日、ハイミーが通りを歩いていると、店のウインドー広告に目が止まる---“補聴器--60%引き”。ハイミーは急いで店に入り、10分もしない内に補聴器を着けることと相成る。ニコニコ顔で通りに出ると、自分を呼ぶ声がする、「ハイミー、おい、ハイミー!」友人、モウシェ・フィンケルスタインである。「こんな所で何しとる」とモウシェ。「コレじゃよ」と耳を指すハイミー、「スゴイぞ。子供らの言うた通りじゃ。17歳のように聞こえるわい」「そりゃスゴイな」とモウシェ。「どんなんじゃ」ハイミー、チラと時計を見て曰く、「5時15分前」

(取りかえばや物語)

ハービー・ハーチフィールドがラビに言う、「悩みが二つあります。もう何度も頼んでるんですが、社長は今月末に私を解雇すると決めてるんです」「で、もう一つの悩みは何だね」とラビ。「実は、妻に子供ができないんです。彼女、一日中家にいて祈ってるんですが・・・」とハービー。「君、やり方がイカンね」とラビ。「次から君が家に居て、奥さんを社長の元に遣りなさい」三ヶ月後、嬉々としてラビに礼を言うハービー、「アドバイスが効きました! 社長は私を再雇用。妻は妊娠!」

(ズリズリ)

いつもの土曜の午後のゴルフからハイミーの帰りが遅いので、ベッキーは少々心配になってくる。時間が経つにつれ、彼女の心配は増すばかり。やっとハイミー、八時になって車寄せに車を入れる。

「何があったの」とベッキー。「何時間も前に帰ってるはずよ」「2番ホールでフレッドが心臓発作を起こしてね」とハイミー。「マア、大変」とベッキー。「でも、なぜこんなに遅くなったの」「そら君」とハイミー、「残りの16ホールというもの、ボール打ってはフレッド引きずり、ボール打っては・・・」

(内助の功)

裁判長が厳格な顔でモウシェ・フィンケルスタインに言う、「電気椅子に送る前に、最後に何か望みでもあるかね」「はい、裁判長殿」とモウシェ、「まず、女房を一目見させて頂きとうございます。死にたい気分を盛り上げますんで」

(糟糠の妻)

ある夜、ゴールドスタイン爺さんが酔っぱらい、姿が見えなくなる。納屋の裏、飼い葉小屋の中、くまなく探したが爺さんはいない。とうとうバーニーが豚が鼻を鳴らしているのを聞きつけて見に行く。いたいたゴールドスタイン爺さん、ドロの中で老いた雌ブタの腹をさすりながら寝そべっている。「おや、お前」と、爺さんがぼそぼそ言うのをバーニーが耳にする、「お前とは四十九年間添い寝しとるが、初めて気が付いたよ。お前のナイトガウンは、ボタンが二列だったんだねえ!」

(テキサスサイズ)

体重が32キロしかないハイミー・ゴールドバーグは仕事でテキサスに行く。彼は50階建てのホテルにチェックインし、ダンスホールほどもあるスイートルームに案内される。圧倒されてバーに降りて行くと、出された飲み物はバカデカく、両手で持ち上げねばならない。「テキサスじゃ何でもデカイのさ、相棒」とバーテン。

ディナーが運ばれて来ると、皿のサイズは自宅のダイニングテーブルほど。「ヘイ、相棒、テキサスじゃ何でもデカイのさ」とウエイター。全てのものに圧倒され、遂にハイミーは彼のスーパーキングサイズベッドを試す時が来たと決意する。しかしホテルのだだっ広い廊下で道に迷ったハイミーは、明かりの消えた部屋のドアを開け、プールにドボンと落っこちる。水面に浮かび上った彼は悲鳴を上げる、「流さないで! 流さないでーーー!!」

(そういうもの)

ウクライナの小村の仕立屋モウシェ・フィンケルスタインは、キエフのロシア共産党に入党を志願する。「カール・マルクスとは誰ですか」と聞く人民委員。「聞いたことありません」とモウシェ。「ヨシフ・ビサリオノビッチ・スターリンとは誰ですか「会ったことないです」とモウシェ。「ウラジミール・イリイッチ・レーニンとは誰ですか」「思い出せません」とモウシェ。「フィンケルスタインさん、我々を愚弄するのですか」と苛立つ人民委員。

「とんでもない」とモウシェは答え、「アービン・レベンスキーはご存じで?」「聞いたことありませんな」と人民委員。「じゃ、メンデル・クラビッツは?」と、またモウシェ。「存じません」と返事。「それじゃ、ハイミー・ゴールドバーグは?」と、またまたモウシェ。「誰の事を話しておられるのかサッパリ分かりませんな」と苛立つ人民委員。「つまり」とフィンケルスタイン、「そういうものなのです----貴男には貴男のご友人がおられ、私には私の友人がいる!」

(副作用)

アーティー・フィンケルスタインは医者から忠告を受ける。彼は非常に稀な病気の持ち主で、唯一の治療法は毎日コップ一杯分の母乳を飲むことだというのである。アーティーはやっとのことでミルクを売ってくれる若い女性を見つけ出し、座って彼女のオッパイを吸う。5分ほどして、女は彼を見つめ、息を荒げて聞く、「他に何か欲しいものはないの」「じゃ、エットー」とアーティー、----「クッキー」

(流砂のごとく)

おチビちゃんのセイディーが学校から帰って言う、「今日ね、ユダヤ人のお家でお茶を飲んだのよ」「なぜユダヤ人のお家だと分かるの」と母親。「だって」とセイディー、「お砂糖入れにフォーク入ってたもん」

 ●倹約家で有名なユダヤ人ではありますが・・・。

(イエローバナナ投資論)

95才の大富豪が彼の財務アドバイザーと会っている。アドバイザーが興奮して老人に告げる、「いい投資先を見つけました。たった5年で資産が倍になります!」「5年じゃと? バカ言っちゃイカン!」と老人。「この年じゃ、青バナナも買わん!」

(速効)

ハイミー・ゴールドバーグが小さな鏡を手に持ってネクタイを整えている。と、鏡が滑り落ち、床に粉々に砕け散る。「あー、何てこった!」とベッキーにグチる彼。「これで7年の凶運だな」「ナンセンス」とベッキー。「昔、ソリーおじさんが鏡を割ったけど、7年の凶運なんてなかったわよ」「ホントかい」と気を取り直すハイミー。「ホントよ」とベッキー。「おじさん、その日に亡くなったもの」

(最悪は免れた)

タイタニック号が沈んで15分、気が付けば、裏返ったゴムボートの上にいるモリーとルイスであった。 水は凍るように冷たく、サメが辺りを泳ぎ周り、ゴムボートはゆっくりと沈みつつあった。「まっ、不幸中の幸いだ」とルイス、「幸いですって! これ以上どう悪くなるってのヨ!」と金切り声をあげるモリー。「けどな」とルイス、「もしも往復切符買っててみろ・・・」

(呪われちゃった)

一流ドレスメーカーのアービン・レベンスキーは、アフリカのサファリに行くことにする。アフリカ奥地で6週間を過ごした後、彼は7番街へと戻って来る。彼がドアを開けて入ってっ来るや、ショールームで働く誰もが息をのむ。ニューヨークを出る時180センチあったアービンの背丈が、今やたったの60センチほどになっているではないか。従業員全員が彼を見つめて問い質す、「レベンスキーさん、いったいどうしたんですか!」「ゼッタイ、ゼ~ッタイに!」とアービン、「どんなことがあろうと、祈祷師をアホ呼ばわりしちゃイカンぞ!」

(ナニしに?)

ハイミー・ゴールドバーグが新しく街にできた娼館のことをモウシェ・フィンケルスタインに話している。「スゴイんだぜ」とハイミー。「一晩中ヤリまくって、帰る時には朝食まで出て、オマケに20ドルくれるんだ」「ホントに行ってみたのかい」とモウシェ。「いや」とハイミー白状し、「でも、ベッキーは行った」

(逆転現象)

メンデル・クラビッツは自分の秘書を何とかモノにしようとガンバッテいる。気前良くワインを飲ませ、ディナーを奢り、アパートに送って行き、彼女の耳に甘く囁く。「もし僕らがそうなったら」とささやくメンデル、「毛皮のコートか、たぶんヨーロッパ旅行だな」秘書は彼の手を取り寝室へと誘い、ほどなく二人はベッドの中へ・・・。

コトを終え、彼女が服を着ながら約束の毛皮のコートはいつくれるのかと聞く。「何の事だ」とメンデル。「あなた、毛皮コートくれるって約束したじゃない」と言い張る女。「僕は興奮すると何でも約束してしまうんだ」とメンデル。そして片手をハートに、もう一方の手をチン◯に当てて曰く、「下がハードな時、上はソフトで、下がソフトな時、上はハードなのさ」

(パパのおメガネ)

二人のユダヤ人が列車で座っている。一人がもう一人に時間を訊ねる。返事がない。もう一度聞く。またも返事ナシ。とうとう彼は相手の膝を強く叩き、叫ばんばかりに聞く。すると、やっと相手が時間を教える。「でも、なぜこんなに時間がかかったのか、よろしければ教えて頂きたいですね」

「つまり、こういう事ですな」とユダヤ人。「ワシらが話し始める。ワシらは親しくなる。ヒックスビルに着くと、ワシがウチに来て食事するようにと貴男を誘い、貴男はワシの娘に会う。娘は美人で貴男はハンサムだ。二人は恋に落ち、結婚を望むが、率直に申し上げて、時計も持っとらんようなムコ殿はお断わりですな!」

(野辺の送り)

エイモス・サパースタインがポックリ死ぬ---ビンビンに勃起したまま。葬儀屋モウシェ・フィンケルスタインはソレを縮ませようと万策を講じる。冷水をかけ、次に氷で冷やすが、まるで効果なし。とうとう彼は残る手段は一つしかないと結論する。棺の蓋に穴を開け、それをシーツで覆うのである。墓場へ行く途中、棺はベンチに座る二人の老婆の前を進む。

「ほら、あのエイモスよ」とクラビッツお婆ちゃん。「ちゃんとしたお葬式出してあげて欲しいもんだわね・・・」とその時、一陣の風が吹き、棺に掛かったシーツを吹き飛ばす。「最低のケチンボ一家だわね!」と、お婆ちゃん。「ご覧なさいな! お粗末な花がたったの一輪!」

(しわしわ)

シェファースタイン婆さんは厄介ババア。そんな訳で、老人ホームに入居が許されるや、常にトラブル続き。ある朝、ちょいと笑わせようとスッ裸で階下に降りて来た婆さん、談話室を端から端まで大声で叫びながら駆け抜け、庭に姿をくらます。丁度その時、フィンケルスタイン爺さんとクラビッツ爺さんがテレビを観ている。フィンクがクラビッツに向き直って聞く、「メンデル、騒いどったの誰じゃ」「ハテ」とクラビッツ、「ま、誰にせよ、あの服はアイロン掛けせにゃいかん」

(お節介護)

ある晩ハイミー・ゴールドバーグがバーに座っていると、隣のカウンターに座っていた男が滑り落ちて床に倒れる。男がとても一人では家に帰れそうもないので、ハイミーは彼の財布から住所を見つけ出し、助けてやろうと決心する。男の腰に手を回し、彼等はドアへと向かうが、男の脚がすぐに萎えて崩れ落ちる。「このヨッパライめが」とハイミー、「なぜもっと早く切り上げないんだ」

男は何かブツブツ言うが、ハイミーは聞く気にもなれない。マザーテレサの如き儀心を起こし、ハイミーは男をオンブして家まで連れて行く。彼は憤然としてドアを叩き、女性がドアを開けると大股で中に入り、男をソファーにドスンと投げ下ろす。「ハイ、ご主人ですよ」とハイミー。「もしも私が貴女なら、酒の事で彼とじっくり話し合いますがね」「そういたします」と約束する女性。「でも」と、外をのぞいて彼女、「車椅子はどこですの?」

(世間は狭い)

ハイミー・ゴールドバーグは金銭問題で疲れ果て、医者に診てもらいに行く。「リラックスする事ですな」と医者、「つい2週間前メンデル・クラビッツが来ましてね、仕立屋に払う金が無いとかで、すっかり体調を壊してました。私は忘れろと言ってやったんです。今じゃピンピンしてますよ」「ええ知ってます」とハイミー、「私がその仕立屋でして・・・」

(生きるべきか死すべきか)

ハイミー・ゴールドバーグは健康状態がすこぶる悪く、専門医を訪ねる。ハイミーを診察した医者が言う、「よろしい、きっと治してご覧にいれます」「いかほどかかりますかな」と力なく聞くハイミー。「料金は」と医者、「700ドルです」「それでは」とハイミー、「ちょっとマケてもらわねば。葬儀屋の方が安い!」

(お目出たい奴)

アドルフ・ヒットラーは奇妙な夢を見続けている。そこで彼は霊能者のマダム・ソーズオール(全部お見通し)に会いに行く。「そなたの夢の意味するものは」と彼女、「そなたがユダヤの祝日に死ぬという事じゃ」「ユダヤの祝日ですと!」と叫ぶヒットラー。「どの日ですか」「どの日に死のうが・・・」と、マダム・ソーズオール、「その日がユダヤの祝日となるであろう」

(お望み通り)

ある有名なラビの二人の弟子、サミーとソリーがラビを訪問する。ラビの元へ案内されるのを待つ間、ラビの妻がレモンティーとケーキの二つのった皿を持って来る。ケーキは小と大が一コずつ。「お先にどうぞ」とサミーがソリーにケーキを勧める。「いや、お先にどうぞ」とソリー。「いえいえ」と固辞するサミー、「お先にどうぞ」「いやいや」とソリー、「あなたこそお先に」

とうとうソリーが折れて先に取る・・・大きい方を。サミーは憤慨する。「ナント!」と声をあげる彼。「先に取って、しかも大きい方とは!」「あれ?」とソリー、「では、もしあなたが先だったらどっちを取りました?」「当然小さい方です!」とサミー。「じゃ」と、一口ケーキをほおばりながらソリー、「何をムクレてるんです? 小さい方が当たったじゃないですか」

(富死貧生に勝れり)

貧しいユダヤ人が通りを歩いていると、豪勢な葬式行列に出くわす---連なる黒塗りのロールスロイス、溢れんばかりの花々、毛皮をまとった女性達、そして、金の取っ手の付いた棺。頭を振って彼曰く、「いい暮らししてやがんなー」

(ワーイ、いっぱいもらっちゃった!)

神が地上を訪れ、バビロニア人の所に行く。「一つ戒律をやろう」と神。「何でしょう」とバビロニア人。「汝、姦淫するなかれ」と神。「要りません」とバビロニア人。そこで神はエジプト人の所に行き、同じものを勧める。しかし「結構です」とエジプト人。次に神は砂漠をさまようモーゼに目をとめる。「戒律があるんじゃが」と神。「おいくらですか」とモーゼ。「金は要らん。ただじゃ」と神、「オーケー」とモーゼ、「じゃ、10個下さい」

(祝・ご栄転)

ハリーとエイブは子供時分からの仲良し。さてさて、彼らの地上での人生も終幕に近づき、エイブがハリーに聞く、「死後の世界を信じるかい」「さあなー」とハリー、「じゃ、約束しよう。先に逝った者がもう一人に合図を送るんだ」ほどなくしてエイブが天に召され、ハリーは合図を待つ。そんなある日、電話が鳴る・・・、

「モシモシ、ハリーかい」と声。「エイブか!」と叫ぶハリー。「どこにいるんだ」「えーと、ここは草が青々してて空気が澄んでてうまい。きれいな山並みが見えるな。朝起きたら少々草を食べ、軽くセックスして、それから昼寝するんだ。晩には少々草を食べ、軽くセックスして、それから眠るんだ」「つまり天国にいるんだな?」とハリー。「天国? なんだソレ」とエイブ。「俺はモンタナのバッファローだぞ!」

(ご挨拶)

チビ助のモウシェが湖にスケートしに行く。母親が近くで見守っている。 と突然、薄くなった氷の割れ目に落ち、チビのモウシェは姿を消す。 「ア゛ー、どうしよう!」と悲鳴を上げる母親。「アタシのモウシェが、目の前で溺れるなんて!!」

ようやく一人の警官がやって来て裸になって凍てつく水に飛び込む。彼は寒さに真っ青になりながら何度も何度も潜り、ついにモウシェを発見する。警官は何とかモウシェを蘇生させ、自分の服で体を包んで急ぎ病院へと連れていく。そこでモウシェはやっと回復する。後に、モウシェの母親が警察官の所に来て言う・・・、「で? 帽子どこ? あの子、帽子かぶってたのよ!」

(散弾銃)

列車の中、ソリー・サパースタインが牧師の向いに座っている。「教えてください、神父さん」とソリー、「なんでカラーを後ろ前にはめるんですかい」「私はファーザーですからね」と神父。「ワシもファーザーですが、そんな風にはしませんぜ」とソリー。「あー」と牧師、「しかし私は何千人ものファーザーですからね」「じゃ、たぶん」とソリー、「後ろ前にしなきゃならんのは、ズボンの方ですな」

 ●ファーザー=神父

(スモールワールド)

三人のユダヤ婦人、ミセス・フレッチャー、ミセス・コーンフィールド、ミセス・バウムが子供達の自慢話をしながらニューヨークのレストランに座っていた。「ウチの息子は医者でしてね」とミセス・フレッチャー、「内科医にして外科医、しかも専門医ですの。収入は大変なもので、パークアベニューにアパートビルを一棟所有してますのよ」「それはそれは」とミセス・コーンフィールド。「宅の息子は弁護士ですの。離婚や事故、税金対策に保険まで手がけてますのよ。大成功してましてね、5番街にアパートビルを二棟所有してますの」

「みなさん」と告げるミセス・バウム、「お二人とも大成功された息子さんを誇りにお思いになるべきですわ。ウチの息子ときたら、正直に申しますけど、ホモなんですの」「おやおや」とミセス・コーンフィールド。「で、お仕事は何をなさってるの?」「無職なんです」とミセス・バウム。「彼には友人が二人いましてね、一人は医者で、パークアベニューにアパートビルを一つ持ってて、もう一人は弁護士で、アパートビルを二つ持ってますの」

(準備半了)

会衆のケチさ加減に憤慨したラビのナスバウムは、金持ちはもっと貧乏人に施しを与えるべきだと神に祈る。「それで、あなたの祈りは届いたの」と妻。「半分ね」とラビ。「貧乏人は貰う気満々だ」

(悪あがき)

三人のソビエト市民、ポーランド人コワルスキー、チェコ人ズロッティー、ユダヤ人モウシェ・フィンケルスタインは、スパイ容疑で死刑を宣告され、各自に最後の望みを述べる事が許される。「遺灰はカール・マルクスの墓の上に撒いて下さい」とコワルスキー。「私の遺灰はレーニンの墓の上に撒いて下さい」とズロッティー。「そして私は」とモウシェ、「遺灰を同士ゴルバチョフの墓の上に撒いて頂きたい」「しかしそれは不可能だ」と教えられるモウシェ。「ゴルバチョフはまだ死んでない」「よろしいでしょう」と肩をすぼめてモウシェ、「お待ちしましょう」

(答えて天国)

老いたユダヤ人が教会の前で車にひかれる。牧師が駆け出して来て彼の耳元で囁く。「汝、父と子と精霊を信じるや」ユダヤ人、片目を開けて曰く、「ワシが死のうってときに・・・ナゾナゾか!」

(主婦の夢・驚きの白さ)

レイチェル・サパースタイン夫人が子供達を学校へ送り出した丁度そのとき、電話が鳴る。「お宅のご主人のお名前はエイモス・サパースタインさんですか」と声。「ええ、そうですが」と彼女。「警察ですが、事故がありましてね。死体確認にお越し願えますか」サパースタイン夫人が死体保管所に到着し、係官が白いシーツに覆われた死体を見せる。シーツをめくって彼が訊く、「ご主人ですか?」サパースタイン夫人は目を見張り、「エーン、エン、エン」と大泣きする。「なんで? ええ、主人ですけど、でも、なんでこんなに・・・シーツが白いのー!」

(アバンギャルド)

ある日トイレの内装工事をしていたハイミーは、トイレの便座を塗装し直す。しかしベッキーに言うのを忘れ、トイレを使ったベッキーが便座にくっ付いてしまう。彼女は座ったまま叫ぶわ泣くわ・・・。とうとうハイミーがやって来て、ネジを外して便座を取る。彼は寝室にベッキーを連れて行き、うつ伏せに寝かせる。ハイミーはかかりつけの医者に電話するが、理由は言わず、とにかくベッキーが診療所に行けない旨を告げる。医者はしぶしぶ帰りに寄ると承諾する。

医者がやって来るとハイミーは彼を寝室に案内し、ベッキーが四つん這いになって“問題のもの”を見せる。「先生」とハイミー、「どう思います?」医者はアゴを撫でながら答える、「イイとは思いますが・・・、なぜこんなに安っぽいフレームなんです?」

(怒りのヒーロー)

金持の寡婦(やもめ)と彼の美しい娘が海でクルージングしている。と、事もあろうに娘が甲板から海に転落する。齢七十のルービン・フィンゲルバウム爺さんが後を追って海に飛び込み、彼女を救助する。二人が船に引き上げられると、金持ちは腕を差し伸べ、ルービンを抱擁する。「貴男は娘の命の恩人だ」と叫ぶ彼。「私は金持ちだ。何でも差し上げよう。何なりとおっしゃって下さい!」「じゃ、一つだけ教えてくれ」と、ルービン、「ワシ押したの、誰じゃ」

(忠馬同慶)

モウシェはツァーの厩舎で馬丁の職を得る。ある日、皇太子が厩舎へ駆け込んで来る。「モウシェ」と呼ぶ彼、「最高の馬車を用意してくれ。プリンセスが帰って来るんだ。今さっき電報を受け取った。ベルと飾り羽根の付いた一番いい馬具を着けてくれよ」準備にかかっている間、モウシェは一頭の馬が勃起している事に気付く。「オイオイ」と馬に言う彼。「どっちが電報もらったんだい。オマエか、それとも皇太子か」

(パパの心証)

4人の娘を持つヨセル・モスコビッツは、デートを許す前に、娘達のボーイフレンド一人一人に会うと言って頑として譲らない。最初の少年がやって来て言う、「ボクの名はジムです。キムをスイムに誘いに来ました。彼女いますか」彼は割と感じが良かったので、ヨセルは二人を行かせる。

二番目の若者が到着して言う、「ボクの名はジョーです。フローをショーに誘いに来ました。行ってもいいですか」彼も許しを得る。すぐに三番目の少年が玄関にやって来て言う、「ボクの名はランスで、ナンスをダンスに誘いに来ました。チャンスあります?」そして二人はさっさと出かける。最後に、四番目の少年がドアをノックして言う、「こんばんわ、ボクの名はバックです・・・」ヨセルが怒鳴る、「娘はおらん!」

 ●・・・ファック?

(粋か無粋か)

バーニー・バーンスタインが50回目の誕生日を迎えようとしていて、妻のベティーは何か本当に特別なものをプレゼントしたいと思っている。結婚して25年、結婚生活は完璧に上手くいっている。「誕生日にもらったことのないものって何かある?」と彼女。バーニーが恥ずかしそうにしてるとベティーが言う、「ホラ、いいから、何でもアナタの欲しいもの」「じゃ」とバーニー、「まだ娼婦と寝た事がないんだけど」「オーケー」とベティー、「私が最高の娼婦を見つけてあげる」そんな訳で彼女はとびきの高級娼婦を彼のために一晩予約する。

翌日バーニーが帰宅すると彼女が聞く、「楽しかった?」「うん」と恥ずかしそうにバーニー。「彼女、何か私がしない事した?」「ああ」と控えめに彼。「ネエ、何だったの」とベティー。「彼女ね、うめいた(moan)んだ」とバーニー。そういう訳で次に彼らがセックスしているとき、ベティーがひっきりなしに言う、「もうmoanしていい?」「いや、まだだ」と喘ぐバーニー。そしてとうとうクライマックスというとき彼が叫ぶ、「いいぞ、始めろ、始めろ!」するとベッキー曰く、「オー・マイ・ガー! ひどい一日だったわ、お義母さんは来るし、掃除機は壊れるし、髪はくちゃくちゃで・・・」

 ●moanの別の意味=グチをこぼす

(過機転小僧)

ハーシェル・ゴールドバーグは先のロナルド・レーガンのイランとの戦争に徴兵される。しかし彼は徴兵委員に自分は盲目同然だと何とか納得させ、家に帰される。その晩、ハーシェルは映画を観に行き、明かりが点いたその時、徴兵委員の一人が横に座っていることに気付く。一瞬のためらいもなくハーシェルは彼の肩を軽く叩いて訊ねる、「すみません、マダム、この列車はニュージャージー行きでしょうか」

(天命の待ち方)

ハイミー・ゴールドバーグがシナゴーグに行って祈り始める。「神様」とハイミー、「どうか宝くじに当たりますように」そして彼はシナゴーグを辞して家に帰る。その日は何も起こらず、翌日彼はまたシナゴーグに行く。「御願いです、神様」と手を合わせるハイミー、「後生ですから宝くじを当てて下さい」

彼は家に帰るが、依然結果が出ない。そこで翌朝またしてもシナゴーグに行く。「全能の神よ」と泣きのハイミー、「お願いです、宝くじを当てて下さい!」

突然、頭上から野太い声が響き渡る、「ハイミーよ!」と轟く神様の声。
「少なくとも自分の努力はするのじゃ------宝くじを買いなさい!」

(安眠理由)

ハイミーとベッキーがフロリダで休暇を過ごしている。そんなある夜、ハリケーンが沿岸を襲い、ベッキーは心配で一睡もできない。一方、ハイミーはぐっすり。「ハイミー!」と彼を揺り起こしてベッキーが叫ぶ、「この家、吹き飛びそうにガタピシいってるワッ!」「落ちつけよ」とハイミー、「寝ろ、どうせ借家だ!」

(散歩で会った有名人)

ユセル・ラビノビッツと妻のベッシーはナチから逃れ、ベルリンの人目につかない地下室に潜んでいる。ある日、ユセルは少々いい空気を吸おうと決意する。しかし外を歩いている間にアドルフ・ヒットラー本人とバッタリ出くわす。ドイツの指導者はピストルを抜き、通りに落ちていた馬糞の一山を指す。「よーし、ユダ公!」と叫ぶ彼、「馬糞を喰え、さもないと殺すぞ」震えつつ、ユセルは言われた通りにする。ヒットラーは大笑いし始め、ピストルを落としてしまう。

ユセルはピストルを掴み取って言う、「今度はアンタが食べてもらおうか。食べないと撃つ!」独裁者は四つん這いになって食べ始める。彼が食べている間に、ユセルはこっそりとその場を離れ、地下室に逃げ帰る。彼はバタンとドアを閉め、かんぬきを掛け、しっかりとカギをかける。「ベッシー、ベッシー!」と叫ぶ彼。「今日、誰とランチしたと思う!」

(異次元マン)

ある深夜、サミー・モスコビッツ爺さんが帰宅中、銃を持った男が立ちはだかり、押し殺した声で言う、「金出すか、それともブッ殺されてーか」サミーはただそこに立ち尽くし、長~い沈黙が流れる。じれた強盗は人が来ないか辺りを見回し、しばし待って再度押し殺した声で言う、「サア、金出すのか、それともブッ殺されてーかっ!」「オーケー、オーケー」とサミー爺さん、「ちょっと待ってくれ。今考えとるでな」

(紳士協定)

若者フェイギン・フィンケルスタインが行きつけの売春宿に入る。と、ビックリ仰天、父親が階段を降りて来るではないか。フェイギンはギョッとして仰け反る。「父さん!」と叫ぶ彼、「こんな所で何してんだよ!」親父のモウシェ・フィンケルスタインも同様にビックリするが、急いで体制を立て直す。「さてと、フェイギン」と、事もなげにスーツにブラシをかけながら彼、「お前の愛する働き者の母さんに、たった20ドルの事で嫌な思いさせるこたーなかろう?」

(ファック!)

山麓で大群衆が静かに待ち続けている。モーゼが去ってもう何時間もが経過した。突然、そよ風になびく彼の白いローブが見え、そして今、立法者は大勢の仲間の前に立った。「イスラエルの民よ!」と叫ぶモーゼ。「私は7時間ものあいだ神と供に在り、今、良き知らせと悪しき知らせを携えている・・・」

「オー、モーゼよ、語り給え!」と叫ぶ群衆。モーゼ曰く、「良き知らせとは、戒めの数を何とか10個にまで減らせた事だ」人々は歓呼する。それから彼等は叫ぶ、「モーゼよ、悪しき知らせとは何ですか」「実は」と悲しげにモーゼ、「“汝、姦淫するなかれ”が残ってしまった・・・」

(疲れる人)

ハイミー・ゴールドバーグは20年来同じレストランでランチを食べていて、毎日必ずチキンスープを注文している。しかしある日、ハイミーはスープを受け取った後にウエイターを呼ぶ。「ハイ、何でしょう、ゴールドバーグさん」とウエイター。「ウエイター」とハイミー、「このスープの味を見てくれたまえ」ウエイターはショックを受ける。「スープを味見しろってどういう事でしょう。20年来、毎日同じチキンスープを飲んでますよね。違う味だった事がありますか」

ハイミーはウエイターの言う事に取り合わない。「このスープの味を見てくれたまえ」と、またも彼。「ゴールドバーグさん」と叫ぶウエイター、「どうしたんですか。私はチキンスープがどんな味か知ってますよ」「味見してくれよ!」と言い張るハイミー。「分かりましたよ」とウエイター。「味見すりゃいいんでしょ。スプーンはどこですか」「オッとー!」と、ハイミー。

(お駄賃) 

イスラエル出身のネイサン・ナスバウムがパリに来ている。彼は売春宿に行き、グロリアという女からサービスを受けたいと要求する。グロリアは体が空いていなかったが、ネイサンが1000ドル札を見せると彼女が連れて来られ、二人は一夜を供にする。その後二晩、また1000ドル札が手から手へと渡り、ネイサンとグロリアは情熱の夜を過ごす。

とうとう、なぜこんなに気前良くしてくれるのかとグロリアが聞く。「実はね」と、ネイサン、「ボクはイスラエルから来たんだ」「あら、アタシもよ!」とグロリア。「ああ、知ってる」とネイサン。「君のお婆さんが偶然ボクの両親と同じアパートに住んでてね、ボクがパリに行くと聞いて届けてくれって頼んできたんだ。君がお婆さんに借金した3000ドル」

(忘れじの光景)

ハイミー・ゴールドバーグが休暇でのセーリングについて友人達に語っていて、船がいかに悪天候に捕まり、自分がいかに海に投げ込まれたかを話して聞かせている。「ワシは全てを諦めた」とハイミー、「それが三度目に沈んだときじゃ、ワシの眼前に、過去の記憶が次々と恐ろしくハッキリ見えてのう」聞き入っていた一同から共感のつぶやきが漏れる。しかしハイミーが話を続けようとする間もあらばこそ、友人モウシェ・フィンケルスタインが叫声を発する、「ひょっとして、ワシが1960年の末に5ドル貸しとる所は見えなんだかっ!」

(じゃ、払え!)

ネイサン・ナスバウムは内科疾患のため世界的に高名な専門医に診てもらいに行った。「おいくらですか」とネイサン。「500ドルです」と医者。「500ドルですって! お話しになりませんな」と叫ぶネイサン。「貴男のケースでは」と専門医、「料金を300ドルに調整可能です」「一回で300ドルですか。バカバカしい!」と叫ぶネイサン。

「それでは」と聞く医者、「150ドルだったら払えますか」「誰がそんな金持ってるんですか」と不満を漏らすネイサン。「よろしい」と医者、「じゃ、50ドル払って出てって下さい」「20ドルなら払えますけど」とネイサン。「いやならいいんですよ」「貴男というお人が分かりませんな」と専門医。「なぜニューヨークで一番診療費の高い医者の所へ来たんですか」「いいですか、先生」と説明するネイサン、「コト私の健康に関する限り、金には代えられないんですよ!」

(アセっちゃった!)

偉大な宇宙飛行士ビクター・コメットがシナゴーグでのレクチャーを締めくくろうとしている。「・・・そして私の同僚の中には、この私たちの太陽が、恐らくは4、5十臆年で死滅すると信じている者もいるのです」「何年ですって!」と後ろの方からミセス・シーゲルが叫ぶ。「40から50億年です」とビクター。「ホッ」とミセス・シーゲル、「まー、ヨカッタ。4、5百万年って聞こえちゃったわ」

(何屋さん?)

偉大な科学者アルバート・アインシュタインと相対性理論について、サミー坊やがお爺ちゃんに話して聞かせている。「ホウ、そうかい」と、おじいちゃん、「で、その理論とやらはどんなもんかの」「先生は言ったよ、これが分かる人は世界中に数人しかいないんだって」と説明する坊や、「でもそれからね、どういうことか教えてくれたんだ。

相対性ってこんな感じなの----もし男が美人と一緒に1時間座ってたら1分に感じる。でもストーブの上に1分座ったら1時間に感じる。それが相対性理論さ」おじいちゃんはしばし黙り、ゆっくり頭を振る。「サミー」と、おじいちゃん優しく曰く、「おまえのアインシュタインとやら、それでおマンマ喰えとるんかい?」

(脳味噌すすれ!)

第二次世界大戦の初期、混雑した列車の客室で、一人のナチの将校がユダヤ人の家族と同室を余儀なくされる。将校はしばし彼らを無視した後、馬鹿にしたように言う、「お前らユダヤ人はたいそう賢いそうだが、そのインテリジェンスとやらはどこから来るんだ」「食事からですな」とユダヤ人、「私ら、ナマ魚の頭をたくさん食べますからな」と言って彼はバスケットを開けて言う、「お昼にしよう!」そして彼は魚の頭を妻と子供達に手渡し始める。

ナチの将校は興奮して言う、「ちょっと待て、私にもくれ!」「いいですよ」とユダヤ人、「6個25ドルでお分けしましょう」将校は同意し、魚の頭を噛み始める。彼は危うく吐きそうになるが、子供達が大声で囃し立てる、「脳味噌すすれ、脳味噌すすれ!」ナチは4個目の頭に取り掛かりつつユダヤ人に言う、「魚の頭6個で25ドルとは高すぎないか。普通はゴミとして捨てるもんだろう」「ホラ!」とユダヤ人、「もう効いてきた!」

(Shall We Talk? ・お話しましょ)

隠居したユダヤ人の老未亡人がマイアミビーチをそぞろ歩きしていると、ふと一人で日光浴しているユダヤ人の老人に目が止まる。彼女はワクワクしながら彼の元へ小走りで駆け寄り、彼の前で立ち止まって言う、「このあたりではお見かけしない方ね。お名前はなんと仰るの」「マックスです」と答える彼、「私を見かけないのは、私はどこかに居るということが殆どないからですよ」「あら、どういう意味かしら」と未亡人。「つまり、刑務所から出てきたばっかり、という訳なんです」と彼。「一年間入ってました」

「刑務所ですって!」と老未亡人は一歩後ずさりして彼をじろじろ見回す。「なんで刑務所なんかに行ったの」「あー、ただの万引きですよ」と老人は言って肩をすぼめる。「アラ、そう」と女性は一歩彼の方へ近づく。「小さい罪ね。大した事じゃないわ。でも、あなた、恥じるべきよ」「10年の刑期を喰らった時ほどには恥入りませんがね」と溜息の老人。「10年ですって!」と驚いて未亡人、またも数歩よろよろと後ずさり。「ナント、まー! 10年だなんて、一体何したの」「あー、ただの凶器強盗ですよ」と老人は肩をすぼめ、ビーチタオルの上で寝返りを打つ。「強盗ですって! 大変な事じゃないの。後悔してる事を神に祈るわ」と未亡人は彼をたしなめつつ、もっと良く見ようと少し近づく。

「後悔してますとも。その懲役を喰らった時、丁度20年の刑を終えてブタ箱から出たばかりだったんですからね。お天道さまを拝む暇さえ無かったなあ」老人は思い出して深い溜息を漏らす。「20年ですって! あなた一体どういう人なの」とパニックの未亡人は彼から数メートル飛び退き、今にも逃げ出さんばかり。「20年も刑務所に入るなんて、一体何をしたというの!」「女房を殺しましてね」と老人。「ホント?」と、隣にビーチタオルを敷きながら彼女、「じゃ、お独り?」

(延命策)

検診の結果が出て、医者は沈痛な面もちで患者をオフィスに呼ぶ。「知らせるのは実に辛い事だが、フレッド」と彼、「君には6カ月の余命しか残されていないよ」「何てこった!」と真っ青になって息をのむフレッド。やっと落ちつきを取り戻した彼が言う、「あのー、先生。もう長いこと私の事はご存じですよね。残された時間を最大限有効に使うにはどうしたらいいか、何かアドバイス頂けますか」

「結婚したことはあるかね」と聞く医者。フレッドは自分は生涯独身だったと告げる。「嫁をもらう事を考えたらどうだ」と勧める医者。「どうせ病気の最後には誰かに看病してもらわなくちゃいけないんだし」「言えてますね、先生」とフレッド、「それに6カ月しか生きられないんだから、存分に楽しまなくちゃいけませんね」「もう一つアドバイスしていいかな」と医者。フレッドが頷くと、彼はこう言う、「ユダヤ人の女性と結婚したまえ」「ユダヤ人女性ですか。なぜです?」と不思議がるフレッド。医者は答える、「そうすれば、六カ月が六生にも感じることだろうよ」

(よくぞ言った!)

ある夜、KGBがユセル・フィンケルスタインのドアを叩く。ユセルがドアを開ける。KGBの男が吠える、「ここにユセル・フィンケルスタインは住んでるか」「住んでません」とヨレヨレのパジャマ姿で突っ立ってユセル。「住んでないだと」と怒鳴る男。「じゃ、オマエの名前は何だ」「ユセル・フィンケルスタインです」とユセル。KGBは彼を殴り倒して言う、「オマエ、さっきここに住んでないと言っただろ!」ユセル応えて曰く、「これが住むって言えます?」

(予告先発)

ハイミー・ゴールドバーグが死にゆく友、ソリー・サパースタインを見舞っている。「一つ頼みがあるんだ」とハイミー、「天国に行ったら、上で野球をやってるかどうかオレに何とか知らせてくれないか」ソリーは出来ることならきっと連絡すると旧友に答える。それから数日もしない内にソリーは天に召され、本当にハイミーに電話がかかってくる。

「もしもし、ハイミー」とソリー。「オレだよ~ん」「ソリーか? ホントにオマエか!」とハイミー。「ああオレだ」とソリー。「いい知らせと悪い知らせがあるんだ。まず、確かに天国では野球をやってる」「スゲー!」とハイミー。「でも、悪い知らせって何だ」「悪い知らせは」とソリー、「次の日曜のピッチャーな、・・・オマエだ」

(知らぬが家族)

目に見えない補聴器を作ってくれた医者に喜びを伝えようと、ハイミー・ゴールドバーグ爺さんが戻ってくる。「きっとご家族もお喜びでしょう」と医者。「いいえ」とハイミー爺さん、「まだこのことは誰も知らんのです。そりゃ楽しませてもろうてます。この2日の内に、遺言を2回書き換えました!」

(無駄めかし)

フィンケルスタイン葬儀社にて、メンデル・クラビッツの遺体が開いた棺に横たわっている。会葬者が列を成して最後の別れをしていると、ハイミー・ゴールドバーグが舌打ちして頭を振る。「ヤツは無神論者でな、天国や地獄は決して信じなんだがのう」と、棺の傍に立つフィンケルスタイン爺さんに言うハイミー。「本当かい」と、仏さんの完璧なスーツとタイを眺めながらフィンク曰く、「それじゃ、どこにも行かんのに一張羅着とる訳じゃな」

(ヒー・イズ・ソリー)

ハイミー・ゴールドバーグはもう長くないと医者から言い渡されている。ベッキーがベッド脇に座っている。「聞いてくれ、ベッキー」とハイミー。「私はもうすぐ死ぬ。お前に一人暮らしはして欲しくない。再婚して欲しいんだ」「ダーリン」と泣くベッキー、「そんなこと言わないで。アナタのような男性にはもう二度と会えないわ」彼女の手を握って続けるハイミー、「いいかい、お前、数週間で気も変わる。全部お前のために残してある---家も車も銀行預金も。次の結婚に何の心配もないんだよ」

「イヤよ、ハイミー」と泣きじゃくるベッキー、「他の男の人なんか目に入らないわ」「それでね」とハイミー、「あの高かった誂え物のスーツだけど、お前の未来の旦那さんに着てもらいたいんだよ」「エッ?」とベッキー。「スーツ? でも・・・ソリーはアナタより5センチは背が高いわヨ!」


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