勝手に最遊記

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Promise ―2―



『何?・・天国に・・動物って居るわけ??』桃花が息をひそめて居ると、

「ぶふぁ~っ!」ヌッと草むらから顔を出したのは・・
「悟空ちゃんっ!?」思わず桃花が叫んだ。

「エッ・・?」ポカンとする悟空に構わず、
「うわぁ~っ!悟空ちゃんまで死んじゃったのぉーっ!?」思い切り抱き締めた。

・・・・・?自分で抱き締めておきながら、妙な違和感を感じる。
パッと体を離すと、
「おっ・・お姉ちゃん、誰?」まん丸の金精眼で、桃花を見上げた。

「へっ・・!?」マジマジと悟空を観察する。
悟空は・・長髪だ。しかも手や足に枷をはめている。それに・・「ちっちゃい。」

「むぅ!そりゃ俺は“チビ猿”つって、ケン兄ちゃんにバカにされてるけど?」
悟空がむくれてソッポを向く。
「あ・・あはは、ゴメン!ゴメンね?悟空ちゃん。」
何だか混乱したまま、謝る。

「・・お姉ちゃん、何で俺の名前知ってんの?」
悟空が上目遣いに桃花を見る。
「えと・・君も“悟空”って言うんだ?あたしの友達も悟空って言うんだよ。
それにね、君より大きいんだけど、ソックリだから・・。」

うん!世の中には似た人が三人居るって言うじゃない!きっとそうだっ!!
・・・つーことは、あたしって死んでない?いや、この子も死んで・・・・あうう

「ね、ね、悟空ちゃん(言いやすいからチャン付けで)・・。
此処ってドコなの?おねーさんに、教えてくれるかな~?」

「ココ・・?そんなの決まってんじゃん!ココは・・。」突然、悟空が硬直した。
「――――――ご・・?」
言いかけた桃花の背中に隠れる・・途端、

「っっのバカ猿っ!!」聞き慣れた怒声がした。

「さんっ・・・!」桃花が振り返ると、ズカズカと細身の男が歩いてくる。

『三・・蔵?』目を見張った。

不機嫌を、絵に描いたような表情を見せるその男は――――三蔵そのもので。

金色の髪は長く、法衣ではなく、真っ白な服装で、近づいてくるのは・・・・・・

               『三蔵じゃない』

桃花が唖然としていると、その男は桃花の背中に隠れていた悟空を摘み上げた。

「わぁーっ!何すんだよぉ金蝉っ!」悟空が暴れる。
「やかましいっ!てめぇ何度言ったら重要書類をっ・・「あっあのっ!!」
思わず桃花が止めた。金蝉と呼ばれた男が不機嫌そうに睨む。

『なんつーそっくりな・・。』そう思いつつ、一応、初対面の相手なので
「あの・・ココは一体、ドコなんでしょうか?」気を使いつつ、聞いた。

「此処は・・って、お前?」男が桃花の姿を無遠慮に眺める。

『なんだか不躾なヤツだな~・・ジロジロ見て?』気分を害していると、

「・・・お前、此処の者じゃねぇな?」悟空を下ろしつつ、桃花に問うた。

「はぁ~そうだと思いますけど・・ココがドコか判らないんで、何とも。」

「本気で言ってるのか。」「・・本気と書いて、マジって言います。」
桃花の言葉に、男がため息をついた。

『しまった・・いつものクセで・・。』どうもこの手の顔を見ると、からかってしまいたくなる。

「・・・此処はな、“天界”だ。」

「はぁっ?」天界?天界って言った?この人?・・・・・なんだか頭が・・・・・

「下界の者だな?一体どうやって・・・「お姉ちゃんっ!!?」

頭を締め上げられるような頭痛に襲われ――――――――――桃花は意識を失った



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