勝手に最遊記

勝手に最遊記

Darling ―3―


「・・悟浄は桃花が好きなのか?」複雑な顔で呟く。

「・・・単なる条件反射だろ。」三蔵がマルボロに火を付けつつ、言い捨てた。
「条件反射??」
「女の顔が近づいたから、・・・したんだろ。」

「んなっ!?・・あんのエロ河童っ・・・!」ムキィ~ッとまた怒りを露わにする。
好きならまだしも(ソレでも許さないが)いい加減にも程があるっ!

「まぁ、悟浄だって見境無くは・・無い・・とは言い切れませんが。
桃花に恋愛感情や、まして町で遊び相手にする女性達と一緒にはしてませんよ?」
・・・だから余計に許せませんが。

言外に、たっぷりと棘を含ませた言い方をする八戒。
恋愛感情も持たず、“遊び相手”にもならない桃花にチョッカイ出すなんて。


「・・はっ・・・八戒・・。」悟空の顔に縦線が入る。

「いつまでも、グダグダ言っても仕方ねぇだろ。寝るぞ。」
煙草を吸いつつ、ゴロリと寝転がる三蔵。

「~~~~でも。」岩陰を窺う悟空。
「大丈夫ですよ?悟浄はコレ以上、バカな事しません。・・命が惜しいですからね。」
ニッコリと背筋が寒くなるような事を言う八戒。

その顔に更なる縦線を悟空は増やしたが、自分も体を横たえた。

いつもならジープで寝るのだが――――厚手のシートを購入したので、この頃はその上で寝る。


『・・・・ったく、悟浄のヤツ。』悟空には理解出来なかった。


桃花に手を出せば――――妹のように思っている八戒に、
                 姉のように慕っている自分に、
                 仲間ウチのゴタゴタを嫌う三蔵に、


ボコボコにされるのは判っているハズ――――――――――・・・・・それより、

ああ見えても、悟浄が“割り切らない女”に手を出さないのは悟空も知っている。
しかも、桃花は“仲間”で、悟浄とは気の合う“悪友”なのだ。

この前、大きな町に泊まった時も・・・悟浄に付いて宿を抜け出し、賭場に行ったんだよな。
後で八戒にバレて、エライ怒られたらしいけど・・・。

悟浄のヤツ、一体どうしたんだ?夜空を眺めながら、悟空はいつまでも考え込んでいた。


―――――――次の日の朝

桃花はいつもと変わらず・・・八戒や三蔵も普段通りで(腹の中は判らないが)
悟浄でさえ、何喰わぬ顔をしているのを見て、悟空は蒸し返すのを止めた。

『・・・納得してねーけど・・俺だけが拘(こだわ)ってたら、バカみたいジャン。』
やっぱり俺だけがガキってこと?

出発して、町に着くまでの間・・悟空は不機嫌なままだった。


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: