勝手に最遊記

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Darling ―4ー


当然の事ながら・・一人部屋は桃花。三蔵×悟空 八戒×悟浄 のペアに別れる。

「んじゃ、夕食まで自由行動でイイよね?」桃花の問いかけに、皆、頷く。

「・・ですが桃花?一人で町に行かないで下さいね。」
ジープを肩に留まらせつつ、八戒が桃花に釘を差す。

「判ってるって。―――悟浄君!一緒に町に行くんだモンね?」
「お?・・ああ。今から行くか?」

ポカンと悟空達が何も言わないのを良いことに、二人でさっさと宿から出て行く。

【バタン】・・・扉の閉まる音で、悟空が我に返る。

「うあああっ!桃花とエロ河童を行かせちまったぁ!?」大声で叫ぶ悟空に
「煩いっ!!死ねっっ!!!」スパーッッンンッと三蔵のハリセンが飛ぶ。

「お・・落ち着いて下さいね?ココは宿の受付なんですから・・・。」八戒が制止する。
珍しく活気のある町で、宿には他の旅人もいる。皆、どうしたのかと此方を窺っているのだ。

「だーって八戒!ヤバイって!昨日の今日だぜ?もしもっ、ナンカあったらっ・・【ガンッ】
悟空の後頭部に、三蔵の拳骨が落とされた。

「さ・・三蔵ぅ~~~。」「煩いって言ってンだろ!?部屋行くぞ、オラッ!!」
悟空が三蔵に襟首を掴まれ、ズルズルと部屋へ連行される。

その後を、八戒がため息を付きながら付いていく。どす黒いオーラーを漂わせつつ・・・。
                     『 ・・・・・判っていますよねぇ?悟浄・・。』


―ゾクリ―

「・・・っ!?」悟浄が振り返った。

「?どしたの、悟浄君。」
「んあ?いや・・悪寒が。」なんとなく、判るから・・あえて考えるのを止めた。

桃花と悟浄は、店が建ち並ぶ商店街のような所を歩いていた。
商人が多いらしく町は賑やかで、珍しい品や貴重品も売っている。

「――で?桃花チャンはナニを買って欲しいワケ?」ハイライトを銜えつつ聞く。
「んっとねぇ~・・役に立つモノっ!!」

昨日のお詫びとして・・・桃花の欲しいモノを、悟浄が買う。それで全部チャラッ!
悪友の間柄らしく、二人の間で交わされた約束。
ソレを果たすために出て来たのだが――――『ますますヤバイんじゃないの、俺?』

今夜は八戒と同じ部屋・・・・手ぐすね引いて待っているだろう、親友の顔が目に浮かぶ。

紫煙と共に、ため息を吐き出した。

そんな悟浄の“しけた面”をよそに、嬉々として店を回る桃花。
大抵の女の子と同様、桃花もウィンドーショッピングが大好きである。
しかも“財布”が付いているのだから、楽しさ倍増!当社比5倍!であった。

故に、周囲に対して注意力散漫になりがちで・・・「きゃっ!」人にぶつかってしまう。

「・・危ねーって・・ホラ。」悟浄が桃花の背中に手を回す。自分の体の内側にいれる為に。

『・・・こーゆートコが、女慣れしているのよねん。』妙に感心する。

八戒なら、迷子にならないよう(前科が有る為)手を繋ぐし。(お子様か?)
悟空なら、自分から腕の一つでも絡めるだろう。(相手が抵抗しないし)
三蔵なら、・・・・・・一人でスタスタ行くだろう。(法衣を引っ張ってやるが)

悟浄が百戦錬磨と自慢しているだけあって、さりげなく“してしまう”事が、出来るのかも?

『スゴイんだなぁ、悟浄君。』流石にエロ河童っ!!・・心の中で褒めた(?)桃花であった。


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