勝手に最遊記

勝手に最遊記

キリ作―ACCIDENT 2


「やっぱぁvおっにゅーの下着でしょ!!」
真新しい下着を握り締め、ぬふふふふふvと一人思い出し笑いする姿はちょっと恐い。

潤は(危ないまでに)上機嫌だった。

あらかた荷物を詰めた潤は、チラリとカレンダーを眺める。
『明日・・・だよ。』

明日――――――11月2日。自分の二十歳の誕生日。大・大・イベントである。

もちろん、彼・・・智嗣君と過ごすのだ。

『“贅沢”は出来ないけどね。』お金をかけてドコかに旅行だとか、物を貰うって言うことは出来ない。
ってゆーか、したくない。

『でもっ。』彼は何か(どうしてもv)買ってやりたい・・・って言ってくれて。二人で悩んだ挙げ句、

“写真”を撮りに行くことに決めたのだ。“結婚式の写真”を。

結婚を約束しているとは言え・・二人とも若く、お金はない。結婚する時には式を挙げないつもりだった。

「ウェイディングドレスってイイよねー。」テレビで垣間見たウェディングショー。
モデル達が素敵なドレスを身に纏い、軽やかに舞台を闊歩する様を見て、漏らした潤の言葉。
智嗣君は、カナリ気にしていたらしい。

「やっぱさ。じゅんものドレス姿、見てみたいよ。」・・・・ヤラレタ。この言葉に。

無論、本当に結婚するのも未だ先だ。
でも、二十歳の記念に(振り袖以外)“特別な写真”を残しておきたい。

写真館ではドレスやらメイクやら、一通りレンタルさせてくれて結婚式の写真を撮ってくれる
格安!(←重要ポイント)のサービスがある。

明日の潤の誕生日には、二人で写真を撮りに行き・・・そのまま、お泊まりする予定になっている。

「うふふふふふ・・・・v」ドラ○もん風味な笑い声を漏らしつつ、パソコンを立ち上げる潤。

膝の上でボストンバックを開き、最終チェックをしながらパソコン画面を眺める。
「ヤバイわ・・キリリクどころかレスまで堪りまくっている!でも、許して~んv明日も書けないの~。」

・・・・・・幸せに顔が緩みっぱなしと言う顔では、説得力もヘッタクレもないのだが・・・・。

取りあえず日記を書き、掲示板のチェックをする・・・・『そう、言えば・・・・。』

不思議な体験をした。 『三蔵達や・・・桃花ちゃん・・・。』

智嗣君とケンカして、パソコンの前で眠っちゃったら“勝手に最遊記”の中に入っちゃって・・。
今でも夢かどうか良く分からないんだけど・・・。

ぽふっとボストンバックに頭を埋めてみる。

『・・・このまま眠ったら・・・また、行けたりして・・・。』 本当に目が、トロトロしてくる。

逢いたい・・・な。
三蔵は予想通り(?)恐かったし(でも。優しいトコも!)
八戒は(ヤッパリ)策士系(?)なトコロが面白かったし。
悟浄は案の定!!・・・女好きで、でも、カッコ良くて!
悟空は・・・可愛かったvvしかも(意外と)男らしい!
桃花ちゃんは・・・・思ったより優しくて、強かったっv

・・・・みんなに・・・・また・・・・逢えたらな・・・・潤は、静かに眠りの世界へと墜ちていった。


―――――――――――――――――「・・・・う・・・・ん??」ナゼカ、土の匂いを強く感じる。


「・・・へ?」ムクッと起き上がった。

鬱蒼とした木々の木洩れ日の下―――――――――バックを抱えたまま、座り込んでいる自分。

周りには木立が並び、聞いた事もないような鳥の鳴き声が聞こえ、
流れている空気は緑の匂いが濃い。
『・・・・ココは・・・森?ってゆーか・・・・。』

フルフルと頭を振りながら立ち上がる。そう、二度目ともなれば慌てるまい。

私・・・また、来たんだ・・・・。“勝手に最遊記”の世界へ!!

「うっわーいv悟浄や桃花ちゃん達に逢えるぞ~っ!!」・・・そう、一人で叫んでみて・・はぅっ!!

グルグルと周りを伺ってみる。「・・・ってドコ??みんな、ドコにいるのっ!?!」
潤は顔面蒼白だ。
「こんな富士の樹海(行ったこと無いけど)みたいなトコに、一人で居たくないよぅ!!」


・・・・・・・・潤は、(またもや)悶絶した。


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