勝手に最遊記

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海賊気分でア○ア○サー!―7




――――――――鬼のような形相で突っ込んでくるバロッガを尻目に、右手にメリケンサックをはめた。

そして、バロッガの指先が桃花の喉笛に届くと思われた瞬間―――――――― ゴォォォォォンッ
紅蓮の炎が舞う―――「ファイヤーパーンチッ!」・・・拳に螺旋状の炎を纏いながら、バロッガを吹き飛ばした。


「ガアァッ?!・・・っ!!」――――――――バッシャーアァンッ!!

丸腰に見えた、桃花の思わぬ攻撃。襲いかかる火炎にまかれ、船から転がり落ちた。


「・・なっ・・なっ・・なっ・・?!」呆気に取られる海兵達。






桃花の周囲を小さな炎が静かに取り巻く――――――髪を靡(なび)かせ、服を揺らし、熱気を孕んだそれは、
まさに触れる物全てを焼き払ってしまうだろう―――――――

「きっ、貴様!バロッガ大佐に何て事を・・!」
「お前、やっぱり海賊か?!海賊の一味なんだな!!」
腰が引けながらも、桃花へとジリジリ詰め寄る海兵らに、


「・・・・・死にたいヤツだけ、殺しに来な。」絶対零度の声音。途端に、海兵達が後ずさった。


「まさか“メラメラの実"の・・?」
「馬鹿な!“火拳のエース"と同じだなんて有り得ん!!」桃花を遠巻きに見ながらざわめく。

囚われの身のチョッパー達も同様に、
「アイツも能力者なのか?」
「イヤ・・モモカさんは別の世界の人間だし・・・」


「ウッヒョー!アイツ、スッゲー!!」一人、脳天気に喜ぶルフィ。


はぁ、と一息付いて桃花は甲板をゆっくりと歩き出した。

その周囲を付かず離れずの距離を保ちながら、海兵が一緒に移動する。


『うぅ。カンベンしてよ~。』

・・・表面だけクールな雰囲気を装いながら、桃花の心中は焦りに焦っている。


その辺の男なら、一蹴してしまえる程の攻撃力は身に付けている。
紅孩児から貰ったお守り――――――バングルを身に付けている限り、命の危険はない。
ただ・・・

『そのバングルが問題なのよ・・・』

殺気を持った者が近付けば、バングルの力が発動される―――――炎で敵を焼き尽くしてくれる。
しかし、加減は出来ない。
術者が桃花自身ではないのだ。紅孩児がバングルの石・ターコイズに妖力を吹き込んでくれた物なのだから。

先程吹き飛ばしたバロッガが海中に沈み、海兵達が助けに向かった事に一番ホッとしたのは桃花である。
海軍だとか大佐だとか良くは分からないが、人間を殺してしまう事は避けたい。



『・・ってゆーかさ。殺気を持ってないと無力だし。』


向かってくる敵が、自分を殺そうと思っていない限り、バングルの力は発動されない。
取り敢えずの虚勢を張って、恐る恐る自分を取り巻く海兵達を見回した。


「・・・ルフィ君達は返して貰う。大人しく引き下がれば深追いはしない。・・・判ったら皆を自由に・・・」言葉を切って、身構えた。

「ここここ殺す!!貴様だけは俺の手でっ・・!!」
全身ずぶ濡れのバロッガが桃花の前に立ちはだかった。
どうやら意識を失ったのは一瞬で、海兵が止めるのも聞かず桃花の前に立ち塞がったのだ。

バロッガの巨体が小刻みに震えている。微かに見える湯気が、怒り心頭で有ることを示していた。
恐らく、また炎に襲われる等の危惧が・・・バロッガの頭からスッポリと抜け落ちているのだろう。

「・・、悪いけど、ハゲの相手は一人で十分だから・・―――ジープッ!!」


「キューッ!」

桃花の呼び声に呼応して、頭上を旋回していたジープが急降下してくる。
それに合わせて桃花も甲板を走り出した。そう、バロッガ目がけて。

「うぉっ?!貴様・・・」

予想を裏切って、突っ込んで来る桃花に対峙しようとバロッガが身構えた、が―――― 「ジープ!変身~~~っ!!」






一瞬で、小竜から車へと変化したジープ。


「行っっっけぇ~~~~!!」


走りながら飛び乗り、バロッガの脇を掠めた。



「な・・な、なんだ・・あの女・・・」

思わず膝を付いたバロッガを、海兵達が助け起こそうとした。

「・・要らんっ!お前ら、あの女を止めろ!どうにか・・「無理です、大佐・・」
涙目になりながら海兵の一人が指し示した方向を見やれば。





「死にたくないヤツは どけぇぇぇぇ!!




海軍がメリー号に乗り込む為に使った板を、爆走しながら逆に海軍の船へと突っ込んで行くジープの姿があった・・・




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