勝手に最遊記

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Jealousy



「なー八戒!次の町までどんくらい?」

「もうすぐですよ。後30分ぐらいと言ったところでしょうか。」

「脳みそまで胃袋の猿は、もう腹減ったってか?」
ニヤリと悟浄が笑う。

「あんだと、このエロ河童!誰が脳みそまで胃袋なんだよ!?」
思わず立ち上がる悟空。

「はいはいはいはいはい~!!ヤメヤメー!!
どうでもイイけど、あたしを挟んで喧嘩しないでくれる?」
二人を睨み付け、
「やりたいんなら、降りてどーぞ!あ、後から走ってきてね。
ジープは止まらないから。」

「「・・・ひでぇ。」」予期無く声を揃える二人。

「何がひどいの?三蔵がもう銃を握ってるんだよ?」

「・・・フン。」懐に入れていた手を出す三蔵。

「そうですよねぇ。発砲しても構いませんが、桃花やジープに当たると
困りますからね~。」

「八戒・・・笑顔で言うなっつーの。」
「冗談じゃないのが恐い・・。」
小さくなる悟浄と悟空。       いつもと同じ日常。   そこへ・・。

「・・・・・危なっ・・・!!」

ジープの前に飛び出してきた影。

八戒が急ハンドルを切る。間に合わない!・・・ジープが白竜の姿へ戻る。

「うわああっ!?」「きゃあぁっ!」


急ハンドルで加速がついていた。しかもジープが変化を解いたため、桃花達は
思いっきり地面へと投げ出される。

前席に座っていた三蔵と八戒は体勢を整え、着地。
後席の悟空達は、状況を理解するのに時間がなかったが、

「もっ・・・!」投げ出された桃花の体を追うように、悟浄が飛び出した。
地面に激突寸前、自らの体で庇った。

「・・・大丈夫ですかっ!?」八戒が立ち上がる。

「・・・。」三蔵は無言で立つ。

「って~!膝、擦りむいたー!」悟空も起き上がる。

「・・・悟浄君!悟浄君?」桃花は、自分の下敷きになった悟浄に呼びかけた。
しかし悟浄は動かない。

「悟浄君・・ど、どうしよう!あたしのせいで・・・。」悟浄の頭を膝に抱えた。

「ごじょ・・「あ~っ気持ちイイ~♪」悟浄が桃花の胸に頭を埋める。

「!!?」「桃花って胸、おっきいよな~♪」途端、パッと桃花が立ち上がった。

       ガンッ!!「いっっ・・・☆あ、頭打ったんですけど・・。」
フンッと桃花がそっぽを向く。


「貴女は大丈夫ですか?」
八戒が飛び出してきた影・・・少女に話し掛けた。

年は15,6歳頃だろうか。華奢な手足にフワフワとカールしている髪の毛。
色白で目は蒼く、唇はふっくらとピンク色で、白いワンピースを着ている。

『・・・まるでお人形さんみたい・・。』桃花は思わず凝視していた。

「・・・お前は何者だ?」三蔵が油断無く見つめる。

その時、「見つけたぞ~!!」大声と共に、妖怪が2人飛び出してきた。

「何ですか、貴方達は?」いかにも悪人でございます、といった風情の妖怪に
八戒が少女を庇うように前に立つ。

「何だぁお前ら!」「オレ達の邪魔する気か?」2人が凄む。

「どうやら紅孩児の刺客では無さそうですね。」
八戒が微笑む。
「コレじゃーあんまりだろ?」
悟浄が呆れる。
「だよなー。いかにも弱そうだもんなー。」
遠慮なく悟空が言う。
「・・・無視だ。」
素っ気なく三蔵が言った。

「ですね。お嬢さん、立てますか?」
妖怪を無視して、八戒が少女に向き直る。

「こ、こら!オレ達を誰だと思ってるんだ!?
畏れ多くも“百眼魔王”直属の配下・・・・・・うぶっ!」

「“百眼魔王”・・・ですか?」
八戒が恐ろしいほどの速さで、妖怪の顎を掴んだ。
笑顔はかろうじて保ってはいるが、その翡翠の目には憎悪の炎が揺れている。

「・・・貴方達は、本当に百眼魔王の配下なんですか?」
その目に射竦まれたように、妖怪は動くこともかなわない。
「ヒッッッ!ヒイィィッ!!」

八戒が、妖怪の顎を掴んだ手から気の光球を生み出し、体の内側から妖怪の肉体を
破壊する。・・・妖怪は悲鳴を上げることも出来ず、肉片になり果てた。




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