勝手に最遊記

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Blind Date



妖怪の被害を受けていないのか、町全体が活気に満ちあふれ、賑やかしい。


「すっげ~!露天が一杯出てるぜ~!!」今にもよだれを垂らさんばかりに悟空が言った。

「お祭りでもあるのかな?」往来の賑やかしさに圧倒されつつ、桃花が聞いた。

「・・・そうなんですか。    やっぱりお祭りです!
今日は、この辺りの地域で作物の豊穣を願う祭りが開かれるそうです。」
焼き鳥を焼いている露店のおばちゃんに、聞いた八戒が答えた。

「・・・・で、こんなに混雑してるって訳か。」
人波に揉まれて、いつも以上に不機嫌な顔の三蔵が言った。

「い~んじゃないの?たまにはさっ♪
浴衣なんか着ちゃった可愛い娘ちゃんが、沢山居るし♪♪」
すでに一人で歩き出しそうな悟浄の首根っこを掴みつつ、

「とりあえず、宿を探すぞっ。」三蔵が眉間に皺を寄せ、歩き出した。




―――――――――――――――吠登城        

「・・・紅!今から出るのか?」

「独角・・・ああ、玉面公主の言い付けでな。」自嘲気味に言う、紅孩児の肩を掴んで

「俺も行く。お前一人にさせらんねぇよ。」ニッと独角兕が笑った。

「・・・汚い仕事だ。」「なおさらだ。」
独角兕の躊躇しない態度に、紅孩児もようやく笑顔を見せる。

「李厘は?」「八百鼡が見てる。・・・呼ばない方がイイだろ?」

「あぁ、こんな事に八百鼡や李厘を巻き込みたくない。飛龍を用意しろ。出掛ける。」
「オーケイ!足取りはもう掴んでいる。行こうか。」

紅孩児と独角兕は吠登城を出立した。



「なーなー三蔵!お祭りに行こーぜ~!夜には花火が上がるんだってよ!」悟空がウズウズと言う。

「・・・面倒くせぇ。俺は行かんぞ。」三蔵が睨む。
「うっそー!花火も~!?悟空ちゃん、行こう!三蔵は、ほっといてさ♪」
「・・・・。」ピクンと三蔵の片眉が上がる。
「・・・行きたい・・・ケド・・。」悟空が三蔵を見る。

「三蔵?三蔵が嫌でも、悟空ちゃんとあたしは行きたいよ?」
「俺も~。」悟浄がハーイと手を挙げる。
「僕も行きたいですねぇ。」ニッコリと八戒が笑う。

「・・・勝手にしろ。俺は残る。」やった~!・・と。4人が盛り上がる中、三蔵が不機嫌度を増した。

「この町だな、三蔵達が居るのは。結構、賑やかな町じゃねぇか。」
紅孩児と独角兕は、小高い丘にある木へと飛龍をつないだ。

「で、なんという女なんだ?」「・・・聞いてない。」

「ハァッ!?お前、名前も顔も知らない女を捜すって言うのかよ!?」
「三蔵達と一緒に居るんだっ。・・・すぐに判る。」

そりゃまぁ・・・ポリポリと頭を掻く独角兕を尻目に、さっさと歩き出す。

『見つからなければいい・・。』そう思いながら。


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