勝手に最遊記

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Blind Date ―3―



もはや三蔵達を探している余裕はない。初めての町なのだ。―――――帰れなくなったらお笑いぐさだ。


「・・・?」丁度通りかかった路地で、人の言い争う声が聞こえた。


「だから!ごめんなさいって言ってるでしょう?」女の声。
「“ゴメン”ですめば、ナントカは要らないって言うだろ?」下卑た男の声。


『なんで前回に引き続き・・・トホホ。』桃花は不運だった。
悟空と八戒を必死に探していると、八戒によく似た後ろ姿を見つけたため後ろから飛びついたら・・・
八戒に似ても似つかない不細工。しかもヘベレケに酔っぱらっている。

「すみません、人違いでした・・。」そう言って立ち去ろうとする桃花に酔っぱらいが絡んできた。

「俺とつき合えよ~。」そう言いながら肩に手を回してきた男を
「結構です!」振り払ったら、酔いが回っているせいで、倒れてしまった。

しかも男の仲間が回りに数人居たため、
「このアマっ!」「なめやがって!」「落とし前つけろ!」と、路地裏に連れ込まれてしまったのだ。


「・・そんな事言われても・・。」酔っ払いだが大の男が4人。逃げ場所を塞がれている。

『大きい声で叫んだら、悟空ちゃん達助けに来てくれるかな?でもなー、いっつも助けてもらってるし・・。』
意外と呑気に桃花が構えていると、男の一人が焦れたように

「オラッ!服を引き裂かれたくなけりゃ、自分で脱ぎなっ!」そう言って、桃花に手を伸ばしてきた。

「・・触らないでよっ・・!」桃花が抵抗しようと試みたとき、



                「無粋な男だな。」力強い声がした。

「なんだ、てめぇっ!」「ケガしたくなかったら、引っ込んでな!!」酔っ払い達がいきり立つ。

「・・・女一人に寄って集って乱暴か?自我を無くした妖怪と変わらんな。」
「妖怪と一緒にすんなっ!」「コイツもやっちまえ!!」

ワアッと紅孩児に襲いかかる酔っ払い達が・・・勝てるはずもなく。たちまち紅孩児にのされてしまう。

「・・・・覚えてろよ!」月並みの台詞を言い捨てて、酔っ払い達が逃げ出す。


「・・・・・大丈夫か?」紅孩児が桃花に手を差し出した。
「・・・ありがとう!」桃花は紅孩児の手を取り、ニッコリ笑った。

「悟空!」
ソース焼きそばの屋台の前で、懸命に焼きそばを食べている悟空をやっとの思いで、八戒が見つけた。

「~~~~(ゴックン)八戒?」「桃花は?桃花は一緒じゃないんですか?」
「エッ?いや・・俺、知らねーけど?」最初から悟空は食べ物以外、目に入ってなかったらしい。

「そうですか・・。はぁ~・・僕が付いていながら・・。」ガックリ肩を落とす八戒。
「何?桃花がどうかしたのか!?」八戒の様子で、悟空の顔色が変わる。

「・・・・・迷子です。」心底落ち込みながら・・・・・八戒が言った。



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