勝手に最遊記

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Blind Date ―13―




「見たところ・・・女を拉致して来てないようだけど?どうだったのかしら?」
ゆったりとソファでくつろぎながら、玉面公主が言った。

「・・・只の人間の女だった。戦闘能力も無い。」紅孩児が噛みしめるように言う。

「へぇー?じゃあ、“欲望処理係”ていう事なんだ。只の娼婦を三蔵一行が連れ歩いてるんだ・・・
スキモノなワケね、その女。」

你博士の下卑た声に、紅孩児は吐き気を覚えた。

「そうだっ・・・只の娼婦だっ。それだけ言って、紅孩児が立ち去る。


「・・・・ですってよ、你博士。」意味深な笑顔で玉面公主が言った。
「ええ、そうですね・・。よっぽど大事な存在なんですねぇ、“桃花”と言う女は。」

「コレからどうするの?」
「調べますよ。身長・体重・・過去の洗いざらい、全て♪僕が腕によりをかけて・・ね。
行動はそれからです。」

「随分と、ご執心なのねぇ。」玉面公主が指で博士の胸を突く。
「そりゃーもうっ。・・面白いウサギになりそうです。その時には・・
玉面公主サマも、一緒に楽しみましょうねv」

「あぁ・・・楽しみだわぁ・・・。」二人がソファに倒れ込む。淫靡な笑いを上げながら・・・・・・。


「三蔵~。ハイ、コレ。」桃花が紙袋を三蔵に手渡す。
「何だコレは?」訝しげに紙袋を手に取る三蔵。

「んな、怪しいモノじゃないってば!焼き饅頭が売ってたの。
三蔵、お饅頭好きでしょ?今、お茶煎れる~。」

三蔵の返事は待たずに、テキパキとお茶の準備を始める桃花。

しょうがなく煙草を置いて、紙袋から饅頭を出す。「冷てぇぞ・・この饅頭。」
「あのねー・・時間が経ってるんだから、しょうがないでしょ?お茶は熱いの煎れたから・・・ハイ。」

桃花から湯飲みを受け取り、「熱ちぃ・・・。」憮然とした表情(かお)の三蔵。
「ぷっ・・・冷たいとか、熱いとか、煩いなぁ。子供じゃないんだからさ!」

笑いながら一緒に食べ始めた桃花の顔を見つつ、『どっちが子供なんだか・・・。』呆れる三蔵。

「・・・・三蔵。紅君って、かなりキツイみたい。」
のほほんと饅頭を食べながら、脈絡のないことを言い出す桃花。

「ワケ判んねぇ事、言ってンじゃねぇぞ。」
「うん。・・悩みって人に話すと楽になるんだよね。あたしみたいなヤツでも、
話できて良かったみたいなんだ。」
エヘヘと笑う桃花の顔を見て、三蔵はムラムラと怒りが込み上げてきた。

バッッシイイィィン!!!「・・・・っっっっ痛あぁぁいっ!!」

「アホか、貴様!!敵の悩みを聞いてやってどうするんだっ!」
「・・・いいじゃーん。あたしを助けてくれたんだしぃ・・。」「・・・フンッ!」

面白くない。・・・確かに、紅孩児は桃花を助けてくれたが、何のためにこの町に現れたのか?
俺達が居るのを判って来たとしか思えない。コイツを狙ってきたのだとしたら何故・・・?


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