勝手に最遊記

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Making ―8―


鈴麗は訝しげに見る。
「そっ♪大蛇が居なくなれば、山猫族同士で子供が作れるでしょ?
そうなれば三蔵達を拘束しなくてもイイじゃない。」

「ま・・それはそうだけど。出来るの?アンタ達に。」
桃花はドンッと胸を叩いて、
「まかせなさーいっ。三蔵達は鬼のよう・・いや、鬼以上に強いから!」

「フーン。そのまま逃げ出すって事も考えられるんじゃないの?」
まだ信用出来ないと言う顔をする。
「ジープちゃんを置いて?有り得ないって、足だモン。まだ不安なら
あたしも人質って事で、この屋敷に残るし。」

「アンタが人質に?イイ訳??」

「いいよ。どーせ、戦闘に加わる訳じゃないし・・。
もしも帰って来なかったら、煮るなり焼くなり好きにしてイイから。」

自信満々の桃花をジッと見つめていたが、
「いいわ。明日の朝、出発して頂戴。大蛇の洞穴には案内を付けるわ。」

「良かった、話がまとまって。三蔵達に話してくる。おやすみ~。」

「えっ?アンタの仲間に話は未だしてないの?」
鈴麗が驚く。話し合った結果を持ってきたと思っていたのだ。

「さっき思い付いて・・まぁ皆、ヤルんじゃない?ココの人達の為にもなるし、
自分達の為でもあるんだからさ。大丈夫、駄々こねても言いくるめるから。」

桃花の言葉に厘麗が笑い出した。
「あっはっはっはっ・・・可笑しい~!アンタ、面白いヒトね~。」

「そう?・・良く言われるけど・・そうなのかな?」
大真面目に考える桃花の姿を見て、さらに笑う鈴麗。

「あのさ、そんなに笑わなくってもイイんじゃない?
それにアンタじゃなくって、桃花よ!」
少々気分を害して、鈴麗に食ってかかる。

「・・ゴメン。久々に笑ったわ。
一族を纏(まと)めるアタシには、この頃余裕が無かったのよ・・・。」

大蛇の出現で、契りどころか仲間の命まで奪われている――・・鈴麗の心痛は
相当な物だっただろう。

「大丈夫。明日には片づいちゃうから。安心して眠って?」
おやすみと、桃花が出て行った後・・鈴麗は久しぶりに心安らかに眠った・・・。





「・・・で、俺に大蛇共を始末しろって?」
当社比1・5倍の不機嫌な顔で、三蔵が言った。

「ピンポンピンポンピンポーン♪さっすが三蔵サマ。飲み込みが早ーいっ!」
人差し指を上げて、お気楽に言う桃花の顔を睨み付け、

「――却下だ。」ふて寝を決め込む三蔵。

「ちょーっと!三蔵、起きてよっ!コレしかないのっ!起きてよ~!!」
ユサユサと三蔵を揺さぶる桃花。

「桃花~。マジで大蛇を始末しなきゃなんないワケ?」
プカーッとハイライトの煙を吐きながら、悟浄が聞いた。

「そだよ。」アッサリ。
「そだよ・・ってなぁ。なんか俺、子作り労働の方が良くなってきたカモ。」

「あっ・・のねぇ!?いい男のプライドはどこ行っちゃったのよ!?」
「遠い・・・空の彼方。」
「現実逃避すんなぁ~!!」
パコーンと悟浄の頭を殴りつけ、

「さんぞさんぞさんぞさんぞさんぞさんぞさんぞぉぉ~!!」
「三蔵のバーゲン、やってんじゃねぇ~!!」
スパーンッとハリセンが桃花の頭に炸裂する。

「・・・あー起きた。ヤらなきゃ西に進めないよ?しょうがないでしょ??」

「チッ・・・。もう、寝るぞ。」
それ以上、何も言う事のない三蔵に“了承”の意を取り、
桃花も眠りにつこうとした。が、この話し合いの最中でも眠っている悟空に

『・・・また眠れなくなるかも。』
危機感を抱いた桃花は、
「悟浄く~ん、一緒に寝よっ?」甘い声で囁いた。

「エッ?マジで??」思いもかけぬ誘いで破顔する悟浄に、
「・・・相手は悟空ちゃんだけどねっ。」

エイッと悟空の両足を掴み、ズルズルと引っ張って(途中、三蔵の体を越え)
悟浄と三蔵の隣に置き、
「おやすみ~♪」満面の笑顔で、さっさと布団に入った桃花に

「・・・八戒より恐ぇ・・・。」
悟浄が呟いた。


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