事実判明



…と、言っても目撃証言がないのでわかる範囲内やけど。
事実というほど核心に迫ったものでもないです。

警察と言うものは、なかなか事実を告げてくれない所。
たとえ、それが遺族であっても…。
それから、待っていても連絡くれません。
あちらから用事がない限り、捜査の進行状況なども一切
警察の方から連絡してくる事は無い。
こちらから電話してみても、教えてくれないし…。

まず、話を聞いたのは会社に車を取りに行った時だった。
主人は会社までマイカーで通勤してたから、
置きっぱなしだった車を私の父と主人の弟と一緒に引き取りに行った。
主人は夜間の配送の仕事をしてたので、
ここまで車で来てからトラックに乗り換えて仕事に出ていた。

12月の半ば頃だったと思う、その日は朝から雨。
人気のない営業所。前は通った事があるけど、車から降りて
こんなに近くに来たのは初めてだった。
建物の扉をノックしても誰も出てこない。
あらかじめ約束はしてあったので、同僚の人が来るまで待つ。
1時間ほど経って、それらしき人の車が敷地内に入って来た。
主人が最後に電話した人だった。
鍵を開けて、中に入る。机が幾つか並んでるだけの営業所。
ふと横を見るとまだ主人のタイムカードがそのまま置いてあった。
ここで仕事をしてる主人の姿が目に浮かぶようだった…。

同僚の人の話だと、昨日も警察に呼び出されたらしい。
やはり、最後に携帯で会話してる事がかなり重要視されてるようだ。
まだこれから先、何度か出頭して貰わないといけないらしい。
いろいろ話をしてるうちに、わかった事実があった。

「事故当時、外で亡くなってたらしいですよ」

初めて聞いた話だった。車内で亡くなったとばかり思っていたのに。
そんな事すら、警察は教えてくれない。
私たち3人は初めて聞く事実に驚いて、もっと詳しく話を聞く。
事故車両は二台とも警察が抑えているので、遠くからではあるが
今でも見ることができる。
大きな事故という割には、主人の運転していたトラックには
外見上ほとんどと言って良いほど損傷がない。
相手方のトラックは正面から衝突したのでかなり前面がへこんでいた。
なのに何故、主人が命を落とす事になったのか?

横転して、まず車外に出てきた主人は同僚の人に電話をしていた。
その電話の最中に後続のトラックが突っ込んできたらしい。

「そう言えば、電話が切れる前に”あっ!”って
             言う声を聞いたような気がするんです」

同僚の人はそう言った。



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