溜まり場~暇人の里~

溜まり場~暇人の里~

第弐話~使徒、再来~



 時空を越えて一年前に、サードインパクトが起こる一年前に戻ってきたのだ

 そう、シンジの願いはかなったのだ

 「懐かしいなぁ・・・」

 目から涙が溢れてくる

 フッとシンジは思い出し、泣くのを止めて後ろを向いた

 そこにはレイの姿が、陽炎に揺らされながら立ったいた

 「レイっ!!」そう呼びかけようとした。しかしレイの姿はまばたきをしている間に消えてしまった

 「レイ・・・」

ズズ――――――ン

 「うわっ!!」

 突然の爆発音にシンジは自分の身を守るために腕で頭を隠す

 音が無くなったので、恐る恐る腕と腕の間から辺りを覗いてみた

 (…!使徒!!)

 シンジの5,600メートル先にはあの第三の使徒、サキエルがいた

 サキエルは戦闘機に囲まれながらも、気にすることなく前進している

 戦闘機は進行を必死に食い止めようとバルカンやミサイルの嵐を喰らわせるが、サキエルには傷一つ付かない





サキエルが片腕を戦闘機に向けた。その手のひらから一本の光が戦闘機のコックピットを真っ直ぐに貫く

 操縦者を失った戦闘機はバランスを崩してシンジの前に墜ちようとする

 シンジは急いで退避しようとした。しかし足が硬直してしまっていて自分の身を腕で隠すのが精一杯だった 

 (…?)

 戦闘機は確かにシンジの前に墜落した。しかし、おかしい。爆風が無いのだ

 そっと外を確認してみる。そこには見慣れた青い車が爆風の盾になっていた

 「ごめ~ん。お待たせ」

 車から顔を出している黒髪で長髪の女の人が言った

 サングラスをかけてはいるが、その声にはシンジは覚えがある

 「ミサトさん!!」

 「さ、早く乗って!」

 シンジは急いで車に乗った。シンジがドアを閉める前に、ミサトは180度ドリフトをして使徒を背に走り出した

 「ごめんねぇ~。ちょっち寝坊しちゃってさぁ~(笑)」

 「もうだめかと思いましたよ、ミサトさん」

 「あら?いきなり名前で呼ぶなんて良い度胸してるわね?」

 過去に戻ってきたのはアスカとシンジだけだ。そのことを思い出したシンジは慌てて訂正をする

 「すすすすみません(汗)、葛城さん」

 その慌て様をみてミサトはクスッと笑う

 「ミサトでいいわよ、シンちゃん♪」

 「は、はぁ(汗)…。それじゃあ改めてよろしくお願いします、ミサトさん」

 「こちらこそ!よろしくね、シンちゃん♪」

 「それはそうと…。ミサトさん、ちょっと急いだ方がいいですよ。車グシャグシャにされたくなかったら」

 「ふにゃ?なんで?」

 シンジは自分の方の窓に指を向けた。その指をミサトが追う

 「…!!まさかN2地雷を使う気なの!!?」

 「そのようですね」

 「そんな冷静でいないで!とっとと逃げるわよ!!」

 ミサトはアクセルを力の限り踏む。それに合わせて車のスピードは一気に最高値まで上がっていった

 「え?ちょっ、ミサトさん!?」

 この後はシンジの恐怖の叫びしか聞こえてこなかった




 なんとかN2地雷の爆風から逃れたミサト一行はリツコに頼み、カートレインで地下へと移動していた

 (ミ、ミサトさんの運転は相変わらずなんだな…。うぇっぷ、ぎぼぢわ゛る゛い゛…)



© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: