油壁の車


油壁の車 (李賀「蘇小小の歌」 より


        涙は幽蘭の花びらに露をなす
        波は春の霞に融け ほのかな影が湖上に泛かぶ

        青い炎が車をめぐる
        幌は苔むし 茵に草敷く 油壁の車

        黒い風が髑髏をならす
        虚ろな眼窩を吹きぬけひゅるひゅると

        同心の契を恃んで十万夜
        松柏のもと置き去られ その身滅びたのちも
        人待つ女の哀哭を 忍びやかに謡う

しょうせつろご


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