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人ハ未ダ知ラズ

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◆独りの自我と共働する生命◆

自分の感じ方に疑問を持つことがある。

「感じ方」とは、見方、聞き方の他に人間は五感あるいは六感を持ち合わせているといわれているけれども、

「私の見ている赤い色は、同じく他人にも、この赤として映っているのだろうか?」と。

人それぞれに多様な感性と感情が備わっている。ただ、外界と接するこの部分は、人間として一様なのだろうか?

また、結果として感じたことの表現や感想が多岐に富んでいるならば、これは人間それぞれのセンサーは少しずつ異なっているのではないかと思う。

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いま、私たちは私の心と対話することができるが、他人の心や感性と即座に対話することは難しい。

貴方は一人であることを知り、それが自我と呼ばれているものなのかもしれない。

人々はいにしえより言葉を使い、歌を高らかに歌い、詩を詠み音楽を奏で、岩や木に文字や絵をしたためてきた。

いずれも自我の表現方法のひとつではあるが、それは独りであることの証明としての表現よりも、他の自我と共通する人間としての確認であったのかも知れないと私は思わずにいられない。

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簡単に言うと、

「私の殻から私の自我を放ち広げないかぎり、人は孤独である。しかし、生きていく上では人は等しく同じものを持っている。貴方と私は別々の自我ではあるが、分かり合うことにより、孤独から開放されるはずである。」

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多聞はこんなことを思う。

性急な結論を掘り起こすとするならば、芸術文化の根幹にあるものは自我の開放である。そのことを口語でいうならば、

人は自我を自覚したときから孤独であるから、「繋(つな)がり」という自己の開放を志してきた。それは夢でもあり、必要な社会性でもあり、自我をより普遍的な生命に転換させる自己運動であった。その方途として芸術が生まれたのではないのか。

ここから鑑みると、芸術とは人間の根本を形成する 「欲求」 のひとつであると思う。

「この絵はどうですか?私はこの対象物をこのように感じて絵に顕してみました。貴方は共感するでしょうか?」

「はい。」といった瞬間から、あるいは思った刹那から互いの人間としての安心が生まれます。この高度な安心とは「感動態」であると感じる。ここでは互いの自己実現に接近しようとする高度な欲求の一部がかなえられているのです。


私たちの本能として、私たちの自我は共動を目指しているのです。「つながり」こそが人間の根源的欲求であるとしたならば、私たちの描く詩作には普遍性が包含されていなければなりません。

本来の生命とはなんでしょうか。逆説的に考察するならば、

自我の孤独=欲求=芸術表現=自我の部分共有=自己実現=幸福と安堵=本来的繋がりの覚醒=自我は大きな生命=人々は繋がっている。


私たちは社会に生きる人間です。その活動が人間の証明であり、つながりの実証であり、生命の探求であることを信じてください。それがいつか、必ず人々が知ることになるまで。



■詩人・「人ハ今ダ知ラズ」■

詩とは・・・と、考える。

しかし、その前に詩人と言える人間性があるからこそ詩を書ける個人がいる。

そんなことをいつも考えています。

雨を見て、これが雨だと指差すことができる。その通りなのです。雨は雨なのです。

空を見て、美しいと感嘆できるからこそ人間。その通りなのです。空は空なのです。

人を見て、その人を説明できるからこそ普通。その人は普通です。

そこから、見えない世界を想像して、聞こえない音を聴いて、現実に変換しながら自分が感動するから詩人なのです。

愛は想像の力。詩はそれを補うことの出来るマテリア。

詩人は「雨を見て」雨の真髄を自分に照らしてリンクします。そして深き説明を加えることが出来る力があります。

人は求めることをやめることがない。欲望でもあり、探求でもあり、そして、生きる意味を。

雨が降る。だから詩人が生まれる。生きているからこそ詩人なのです。いいえ、生きるからこそ皆が本当の人間性にたどりつけるのです。

私の大好きな単語は「ヒューマニズム」です。

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「人ハ未ダ知ラズ」


       人ハ雨ノミヲ見テ
       雨ト云ウ
       人ハ雨ヲ知ラズ

       人ハ苦悩スルヲ見テ
       カワイソウト云ウ
       人ハ人ノ苦悩ヲ知ラズ

       人ハ我ノミヲ愛シ
       愛ト云ウ
       人ハ愛ヲ知ラズ

       我ハ雨トナリテ注ギタシ

       苦悩ヲ求メン人トナリ

       タダ今生ニ愛ヲ知リタシ




             松尾多聞




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