ロボットスーツの背で初のアルプス


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060403-00000201-yom-soci

車いす男性、ロボットスーツの背で初のアルプス登頂へ

 車いすの生活を送る長野県の男性が今年8月、足腰の力を補助するロボットスーツを着用した友人に背負われ、スイス・イタリア国境のブライトホルン(4164メートル)登頂に挑む。ロボットスーツを利用した高山の登山は、世界でも恐らく初めての試みという。

 マッターホルンとモンテローザの間に位置する山の頂を目指すのは、長野県小海町の内田清司さん(43)。1983年に交通事故で頸椎(けいつい)を損傷し、事故後3年余りに及んだ入院で精神的に追いつめられた時、ふと目にしたのが、湖面にマッターホルンが映る写真だった。「こんなきれいな所にいつか行ってみたい」。8年前にスイス行きは果たしたが、湖まではたどり着けなかった。その時、眼前にそびえていたのがブライトホルンだった。

 アルプスへの思いを強めていた内田さんはある日、山海嘉之・筑波大教授(47)の研究室で開発された「ロボットスーツHAL」を報じる映像を目にした。HALは、筋肉を動かす時に生ずる電気信号を読み取って身体機能を拡張したり、増幅したりできるため、障害者や高齢者の補助や、重いものを運ぶ作業などへの応用が期待されている。

 内田さんの求めで、山海さんは登山用のロボットスーツづくりに着手。内田さんから手紙を受け取ったアルピニストの野口健さん(32)も、登山隊長としてサポートすることになった。

 登頂は8月4~6日のいずれかに決行。3820メートル地点から山頂を目指す。友人の理学療法士、松本武志さん(28)がロボットスーツを装着して内田さんを背負う。内田さんの仲間で、進行性の難病・筋ジストロフィーと闘う同県佐久市の高校2年、井出今日我さん(16)もそりで登る予定だ。

 野口さんは「エベレストではがん患者や視覚障害者ら、いろんな登山家が仲間に支えられて山頂を目指していた。今回の挑戦が、障害者の冒険をサポートする態勢づくりの一助になれば」と話す。内田さんは「20年前には想像できなかった計画。夢の中で夢を見ているようです」と目を輝かせる。

 2人をサポートするために結成された「子どもたちへ届けwith dreams登山隊」(http://with‐dreams.org)では賛同者に資金協力を呼びかけている。
(読売新聞) - 4月3日4時36分更新


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