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“火の粉”
評価: ★★★★★
長編。
--- 梗概 -------------
梶間勲は裁判官である。彼が今回担当したのは、一家三人殺害事件。この凄惨な事件の被告人は、被害者の知人であった武内真伍。武内が犯人であるならば、死刑が妥当の残虐非道な罪。しかし、彼が真犯人だったならば腑に落ちないような点がいくつかあった。そのため、勲は武内に無罪判決を言い渡す。それから数年。裁判官を退官した勲の家の隣に引っ越して来る者がいた。それはなんと武内だった!!武内は梶間一家と親しくなっていき、勲の母の介護や、孫の面倒まで、親切すぎるほど手伝ってくれる。次第に武内と親交が深まっていく梶間家。しかし、それとともに、梶間家では不可解な事件が起こり始めて・・・。武内は本当に無実だったのか?それとも、勲は殺人鬼を野に放ってしまったのか!?
おもしろいっ!!最高におもしろいです!!武内がじわじわと梶間家を蚕食していく過程が臨場感たっぷりに描かれていて、読んでるだけなのにこちらまで心拍数アップしてしまいます!!
武内の狡猾な心理戦にハマり、仲のよかった梶間家が徐々に瓦解していくのです。
心理サスペンスであり、司法制度を扱った社会派小説のようでもあり・・・。色んな要素がぎゅっと凝縮されて旨味たっぷりの作品です(*^m^*)
冤罪ものの本はわりとみかけますが、これは逆です。罪ある者が、証拠不十分のために釈放されたとき起こる惨劇・・・。
う~ん。これ読んで改めて考えさせられたのは、心神耗弱や心神喪失の人間をどう裁くべきなのかということですね。正気と狂気、正常と異常の境目なんてスパッとライン引きできるものなのか?
私は精神病っていうのはどうも信じられない部分がありまして。鬱病などで、薬を服用すれば症状が改善されるものは理解できるんですが、実際は、ちょっと落ち込んで気分が滅入っている状態でも、医者によっては『鬱病』と診断したり、また違った病名をもらったり。
心の病というのはあってないようなものなんじゃないかと思います。医者が病名つけたらどんなことも病気にしてしまえるような気もします。だから逆に言えば誰しもが心の病を持っているもので。
それをどこからどこまでが責任能力があって、どこからどこまでが無いと判断するのか。それは現在は医者によって大きくかわってしまっているみたいです。詐病の問題もありますし・・・。難しい問題ですよね。でも、今の診断基準では、武内のような人間がでてきても不思議じゃないのかも。
いや~まじで怖かったです、武内の狂気っぷり(;^ω^A 怖ろしくてぶっ倒れそうでしたもん(笑)
=== 7冊目 読了 ===
新堂冬樹 『君が悪い』 2011年08月20日
薄田泣菫 『完本 茶話 (下)』 2011年07月03日
笹本稜平 『恋する組長』 2011年06月28日