エデンの南

エデンの南

February 6, 2005
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カテゴリ: 読書
ちと間があいてしまいましたが これ のつづきです。

ジュネについては、 こちら から飛んでいただいたり、 バタイユの『文学と悪』のジュネの所 も是非見ていただきたいんですが、繰り返し書いてきたように、ジュネ作品の特徴として、読者を「あなたがた」と呼び、突き放す書き方があります。
しかし、この、小説としての処女作『花のノートルダム』では、逆に読者に語りかけ、読者と繋がりを持ちたい気持ちまでも、私には感じられました。
例えば次のような記述です。

<<どんなに犠牲を払っても、私は自分の身の上に戻って、もっと直接的な方法で、打明けた話をしなければいけないのです。この小説を、私は、自分の囚人生活の、置換えを、昇華を、材料にして、作りあげようと思いたったのでしたが、いまのいままでは、私の執念をを、少しも語らずに終るのではないかと、気になります。骨の出るほど、肉を削り落した文章をとは、心がけていますが、私は読者に、自分の独房の奥深いところから、花を、雪白のパンティを、空色のリボンを、美しく添えた小説がお届けしたいのです。私にとって、これ以上に楽しい時間つぶしはないからです。>>

<<いまディヴィーヌが、三十以上の年齢になっているとう事実を、なんと作者は、ここで説明したらよろしいでしょう? とにかく彼女を、私と同年にする必要があるのです、そうすることで、私の自己を語りたいこの欲求を、鎮めると同時に、せめて読者の一人が、私を感じてくれはしないか、ためしてみたいと思うのです! >>

あらゆる悪の限りをつくしてきたジュネも、殺人だけはしていないのでした。そして、殺人を犯し処刑される男達を神聖化し、繰り返し書いています。次の記述など、ジュネの美学がよく表れてると思います。

<<私は殺人がしてみたいのです。これは先にも一度言ったことです、それも老人などではなく、亜麻色髪の美少年が殺してみたいのです。理由は、殺人犯と被害者とを結びつける、この言葉の絆のおかげで ( なにしろ一方は他方の恩恵によって、存在するわけですから )、自分が、夜となく昼となく、絶望的な悒鬱に呻吟したり、幽霊屋敷のように美貌の幽霊に見舞われたりがしたいと思うからです。>>


ジュネの実話なのかどうかわかりませんが、絵本の厚紙表紙と、箒の柄のきれはしと、四本の白い木綿糸を弦にしてつくった灰色のヴァイオリンの話です。

<<製作中に味わった、背中に吐きかけられた痰の緑色の汚辱よりも、なおいっそう激しい、あの侮辱をいままた感じるのでした。それは、ぺちゃんこな、灰色のヴァイオリンでした、長さと幅だけで、厚さのまるでないヴァイオリンでした。響板と柄の上を、四筋の白糸が、幾何学的に、むやみにきっばり走っている、ヴァイオリンの幽霊でした。弓は、彼が自分で、樹皮をとり去った、胡桃の枝でした。>>

*ゴダールカラーで引用してみました。(笑)

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Last updated  February 6, 2005 05:53:08 PM
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Re:ジュネ『花のノートルダム』つづき(02/06)  
ricecocoa  さん
五時から七時までのクレオ、私、なかなか、好きなんです。同じ監督の「歌う女、歌わない女」という作品も好きです。基本的に、女性が作り出すものは、なかなか、好きなんです。やっぱり、体で理解できるからかしら?

 久し振りに、ジュネの作品を読みました。殺人というもの、その他、窃盗、悪と称されるものはしてはいけないと、我々は当たり前のように言われていますが、そういった欲望は理由なんて必要とせず、意識の底に眠っているのだと、思います。私の場合は、ほんの少し、表面に浮いているのだけれど。
 もしかしたら、そういった欲望がタブーで、そうして、人々は自分自身の存在を恐れているにも関わらず、その恐ろしさを他人になすりつける、というか、要は、単に殺人者だけのものとして、安心しているような。特に、ニュースを見ると、そんな気がしてきます。特に恐ろしいことというのは、驚くべきことではないのだけれど、驚くことで解明をしない、殺人を扱うニュースを見ていると、何だかむらむらと・・。特に、少年犯罪の場合は、極端に驚いてみせるような。

 ジュネや、バタイユ、はそんな人間にマスクをはがしてしまう、より、本来の姿に近づけようとする。かと、いって、ただ、人間の汚さだけではなく、彼らの美学も含み、そのバランスが感動として心を振動させるのかもしれません。

 とはいえ、早く、日本かえって、いろいろ、読みたいわ。

 ちなみに、私は青空は天沢退治朗先生の訳で日本で読んだと思われるのですが。話し方が多少、眠いですが、それも、また、詩人を感じさせます。 (February 7, 2005 06:13:06 AM)

Re[1]:ジュネ『花のノートルダム』つづき(02/06)  
SEAL OF CAIN  さん
ricecocoaさん
>。同じ監督の「歌う女、歌わない女」という作品も好きです。

これは観てないです。観てみたい~。
でもこっちの方が有名かも?

>基本的に、女性が作り出すものは、なかなか、好きなんです。

女性監督と言うと、他にゴダールのパートナーのアンヌ=マリー・ミエヴィルとかいますが、他に誰がいますか?いい作品があったら教えてくださいませ。

>もしかしたら、そういった欲望がタブーで、そうして、人々は自分自身の存在を恐れているにも関わらず、その恐ろしさを他人になすりつける、というか、要は、単に殺人者だけのものとして、安心しているような。

これは私も普段からよく思う事です。
セリーヌなんかはその辺痛快に偽善者斬りしてくれてるので大好きです。

> ジュネや、バタイユ、はそんな人間にマスクをはがしてしまう、より、本来の姿に近づけようとする。かと、いって、ただ、人間の汚さだけではなく、彼らの美学も含み、そのバランスが感動として心を振動させるのかもしれません。

そうそう。ドストエフスキーにしてもカミュにしても。そういう作家が好きなんですよね~。 (February 7, 2005 11:10:56 PM)

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