エデンの南

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March 30, 2007
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カテゴリ: 読書


ティファニーで朝食を改版

あとがきに カポーティのそれまでに出した本はたいてい読んでいたが、あまりに幻想的であり、倒錯的であったためか、私にはついていけないものがあった。しかし『ティファニーで朝食を』は、これまでの作品とだいぶ趣を異にしていたので、とてもおもしろいと思った。夢の世界に逃げるのではなく、現実の世界に夢をもちこもうとしているように見えたからである。 とあるのですが、全く同じ感想を持ちました。
『遠い声 遠い部屋』 が読みにくかっただけに (感想 こちら )、こちらは実におもしろく読めました。
しかも、この文庫本 (古い新潮文庫です。他『わが家は花ざかり』『ダイヤのギター』『クリスマスの思い出』) に入っている四編、全てすごく良かったです。
ホリー・ゴライトリーのキャラがとってもイイ!!おもしろいです。名刺が良いではないですかっっ!住所が「旅行中」って!
プレーガール的であるけど好感が持てちゃったのは、例えば、酔ったふりしてしなだれかかったりするような、胸くそ悪くなるような所がない点だと思います。
彼女のこんなセリフがあるのですが、

善良っていうより、正直ってことがあたしはもっと大事だと思うのよ。ただし、安っぽい正直じゃないわ―――もしそれが今日の日を愉しむために役立つなら、あたし、墓場荒しをすることだって、死人の眼玉を盗むことだって、やりかねないと思うの―――だけど、あたしのいうのはそうじゃなくって、なんじ自身の胸に問うて式の正直のことなのよ。卑怯者や猫かぶりやメソメソした性悪女やパンパンにだけはなりさがりたくないもんね。不正直な女になるくらいなら、癌にでもかかったほうがましだわ。といって、それはなにも信心があるからじゃないの。ただ、そのほうが実際の役に立つからなのよ。癌ならまだ助かる道もあるけど、不正直な人間はきっと救われっこないからさ。


「自分に」と言っても「生き方」と言ってもいいかと思うのですが、<<自由でありたい>>とか、そういうのではなく、そうでなくてはいられない、というのがホリー・ゴライトリーではないでしょうか。
「あとがき」の以下の文は参考になります。

彼女が捨て猫をかわいがりながらも、あえて猫に名をつけないのは、それが所有関係をつくり、猫の自由を奪う結果になることを知っているからである。「私」がほしがっていた豪華な鳥籠を「私」に贈りながら、その中に鳥を入れないように頼んだのは、鳥の自由を束縛したくなかったからである。鳥籠はどんなに豪華なものであっても、いや、豪華であればあるほど、それだけよけい自由を拘束する檻にすぎないからだ。イタリア人の密輸入団のボス、サリー・トマトのところにメッセンジャーの役をつとめるのは、百ドルの報酬が欲しかったからばかりでなく、鉄格子の中に身の自由を奪われたものにたいする同情のためでもあったと考えられる。

次の文は、カポーティ自身の事ではないかと思いました。

彼女たちが変化しないというのは、両者共にあまりにも早い頃、その性格をあたえられてしまったからである。それは急激に富を獲得するのに似て、釣合いを欠くような状態を生みだすものだ。

カポーティの作品には常に「孤独」がつきまとうように感じるのですが、<<自由>>というのはまず孤独に打ち勝たなければ得られないものであり、もしかしたら、それを獲得した人こそが、ホリーなのかもしれません。

それにしても、このタイトルは見事です!

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Last updated  March 30, 2007 01:25:33 AM
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SEAL OF CAIN @ Re[1]:あけましておめでとうございます。(02/04) アラネアさんへ あけましておめでとうござ…
アラネア @ Re:あけましておめでとうございます。(02/04) えっと~、あけましておめでとうございま…
aki@ Re:#私を構成する42枚(06/28) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
SEAL OF CAIN @ Re[1]:スマホケース(05/06) アラネアさんへ ビックリですよね! 好き…
アラネア @ Re:スマホケース(05/06) スマホケース、こんなにたくさんあるなん…

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