エデンの南

エデンの南

March 29, 2020
XML
テーマ: 読書(9583)
カテゴリ: 読書
【ネタバレあり】

得体の知れない巨大な海の怪物の噂から始まる、この物語。
最初は ラヴクラフト のような不気味さにワクワクしつつ、それが生き物ではなかったとゆーオチはどうなんだろう? と思いつつ、ノーチラス号&ネモ船長の登場に楽しく読み進んだのですが……

ジュール・ヴェルヌさん、物凄い、海・深海・魚オタクぶりを発揮します。
いやーもう、その知識たるや凄いとは思うのですが、タジタジでした。
魚の説明がはじまると、楽しかった読書が一気に苦痛に。(笑)
さかなクンみたいな人なら、目を輝かせて読むのだろうな~と思ったり。

そして、ラテン語で「誰でもない」という意味を持つ「ネモ」船長。

【解説】から引用しますが…



と言うことです。
しかし、どんなに孤独な人も、自分のコレクションの共有も何も出来ないというのは、実に実に虚しいのではないか、と思います。自慢とかしたいですよねー。
絵画なんて、ダヴィンチ、テッツィアーノ、ムリーリョ、ドラクロワ、アングルなどなどの名品がドッサリなのですよ! これらを深海にもぐらせているのは犯罪ではないかとまで思ってしまいますね。世界中の人に見せるべきだし…と、なんだかもやもやした気持ちになってしまいます。
朝比奈美知子さんの【解説】で、この事を的確に表現されています。以下引用。

彼がいかなる世界を駆けめぐり、いかに貴重な秘密を集め、どれほど深く広範な知を獲得しようとも、それらはけっして外に伝達されることがない。この近代のバベルは、蓄積される知の巨大な広がりと、決定的な閉鎖性、他者の不在性という矛盾を孕んでいるのである。

魚の説明にたじたじしつつ、時々何か動きがあると楽しく読み進む、という感じで読了しましたが、謎の人物ネモ船長、ラスト近くに敵が登場したり、どうやらこの敵によって家族も何もかも失ったらしいと言う事は何となく分かるものの、詳しい事は何も分からず、消息さえも不明です。
【解説】を読むと、『海底二万里』の続編としての性格をもつ『神秘の島』で、ネモ船長の消息があきらかにされるとか。うわっやっと読了したと思ったらコレも読まなきゃじゃん!
(うわっ3冊もあるのかあ)







しかしシンドイ部分もある読書でしたが、そのシンドイ部分 (魚や海の生き物の物凄く詳しい説明等) も含めて、凄い小説だと思います。

岩波文庫 朝比奈美知子・訳 で読了しました。
この本、訳注が本文の中に入っていたので、頁を行ったり来たりのわずらわしい作業がなく、実に有り難かったです。


NHKで再放送されいてた『ふしぎの海のナディア』は、この小説が元になっているという事で、それと大好きなギタリストで実に優れたメロディーメーカーでもあるマイケル・シェンカー (MSG) の曲に『キャプテン・ネモ』というのがある事から、矢も楯もたまらず読み始めたのですが、この小説に出てくるのはオッサンオンリーだし、ナディアとはほとんど共通点がありませんでした。(笑)
それにしても、登場人物がオッサンオンリーで、これだけおもしろいというのも凄いかも〜

2012-11-29
黄櫻御殿読書部屋

良かったらクリックお願いします☺️













お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  March 29, 2020 03:02:05 PM
コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

SEAL OF CAIN

SEAL OF CAIN

Calendar

Freepage List

読書のページ


小栗虫太郎


夢野久作


江戸川乱歩


ジョイス


ダンテ


バルザック


ルイ=フェルディナン・セリーヌ


ギリシャ神話


養老孟司、竹内久美子


夏目漱石


ジュネ


中井英夫 (塔晶夫)


バタイユ


☆小・中・高校生へのお薦め本☆


ポー


今年読んだ本


ブロンテ姉妹


ミシュレ


澁澤龍彦


ウィリアム・ブレイク


ブコウスキー


ミルトン


ヘルマン・ヘッセ


コリン・ウィルソン


ドストエフスキー 関連本も


ヘンリー・ミラー


トーマス・マン


川端康成


ミラン・クンデラ


その他


フランツ・カフカ


オスカー・ワイルド


寺山修司


プーシキン


スティーヴン・キング


ロジェ・マルタン・デュ・ガール


三島由紀夫


加賀乙彦


田中一村伝


美輪明宏


モーパッサン


マルキ・ド・サド


生田耕作


マンディアルグ


阿川佐和子


アポリネール


ヘミングウェイ


ルイ・アラゴン


ラシーヌ


佐賀のがばいばあちゃん


カポーティ


藤田嗣治関連


阿部定事件


マーガレット・ミッチェル


コンスタン


トルストイ


吸血鬼関連


三国志


きもの


梁石日


井原西鶴


東電OL殺人事件関連


安倍公房


アンドレ・ブルトン


淀川長治


<映画の見方> がわかる本


グリンプス


フリッカー、あるいは映画の魔


河合隼雄


野球関係


立花隆


ポール・ギャリコ


中島義道


坂口安吾


業田良家


源氏物語


今日も映画日和、本と映画と70年を語ろう


トーキングヘッズ叢書


マルセル・プルースト


清水正


ガストン・ルルー


バルベー・ドールヴィイ


谷崎潤一郎


アルベール・カミュ


四王天延孝


泉鏡花


写本・グノーシス神話・ゾロアスター教


ジョージ・オーウェル


アイン・ランド


映画のページ


タランティーノ/キル・ビル関連


江戸川乱歩映画祭


恐怖・ホラー・サイコ系


吉本直聞


ベルトルッチ「ドリーマーズ」と1968年考


パゾリーニ


カール・ドライヤー


カサヴェテス


ウィリアム・ワイラー


ジャン=ピエール・ジュネ


ロジャー・コーマン


塚本晋也


ジャン・コクトー


ジャン・ルノワール


その他


キューブリック


ゴダール


クローネンバーグ


ケン・ラッセル


黒澤明


ヒッチコック


ロジェ・ヴァディム


エリア・カザン


フェリーニ


溝口健二


ヴィットリオ・デ・シーカ


ヴィスコンティ


男はつらいよ


ウディ・アレン


ヤン・シュヴァンクマイエル


ATG


大島渚


特別企画★日本映画監督協会70年の70本+1


トリュフォー


黒木和雄


吉田喜重


佐々木昭一郎


タルコフスキー


北野武


ジム・ジャームッシュ


勅使河原宏


悪名シリーズ


ベルイマン


市川崑


エド・ウッド関連


ロッセリーニ


マーティン・スコセッシ


フランク・キャプラ


ジャック・タチ


リドリー・スコット


特撮


アンリ=ジョルジュ・クルーゾー


新藤兼人


フリッツ・ラング


ロメール


ドラゴンボール


エヴァンゲリオン


ブルース・リー


Rozen Maiden ローゼンメイデン


マクロス


1997年スペイン旅行記


日本に対する嫌悪とスペインへの思い


マラガ到着


退屈な寮生活


セビリヤの旅


快適だったホームステイ


モロッコの旅


初めての一人旅 ~コルドバへ~


忘れられないグラナダ


忘れられないグラナダ (つづき)


グラナダに別れを告げ、バルセロナへ。


プラハ→ウィーン→ブダペスト旅行日記


旅前


旅中


旅後/関連話


棒いろいろ



映画


グルメ


ラーメン日記


ベルギー・オランダ旅行日記


Archives

November , 2025
October , 2025
September , 2025
August , 2025
July , 2025
June , 2025
May , 2025
April , 2025
March , 2025
February , 2025

Favorite Blog

日本がアングロ・サ… New! Condor3333さん

京都二日目 アラネアさん

【重要なお知らせ】… 楽天ブログスタッフさん

ユダヤが解ると真実… ごろにゃん2706さん
真秀 まほろばへ サム1648さん

Comments

SEAL OF CAIN @ Re[1]:破壊と再生の2024(01/01) アラネアさんへ いつもコメントありがとう…
アラネア@ Re:破壊と再生の2024(01/01) コメントが超遅くなってしまい、すみませ…
SEAL OF CAIN @ Re[1]:破壊と再生の2024(01/01) まろ0301さんへ お久しぶりです! コメン…
まろ0301 @ Re:破壊と再生の2024(01/01)  大変な年でしたね。ワタクシも交通事故…
SEAL OF CAIN @ Re[1]:あけましておめでとうございます。(02/04) アラネアさんへ あけましておめでとうござ…

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: