切れた縁をそっと見送った。
さようならさえ存在を許さない。
喧騒に紛れながら、でも確かに意志を持って遠ざかったのだ。そう、もう潮時だったね。
終わりを見誤ったのかも知れないし、今だからこそ、こうして心の均衡を保ったまま生活が出来るのかもしれない。
恋にもなり切れなかった。未練、憧れ、妄想、そういった類の心地良い幻だった。
だから、これでいい。
わたしはわたしの恋を全うできる環境にはいないし、他に優先したい物がある。
わたしの1番はもう恋では有り得ない。
だから、離れてくれてよかったんだ。
数年分の感謝を、この場所に埋葬する。
貴方がわたしの知らない誰かと幸せになりますように。
そして二度と貴方に会いませんように。
なんだか自分に言い聞かせているように見えるのは、今まさに均衡を保とうとしているからなのかも知れない。
色んなものが過去になって、その輪郭を失っていく。
なんとなく幸せだったような、そんなもので脳を浸したい。
わたしはもう選んだ。大丈夫。