よんきゅ部屋

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Aug 13, 2006
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一昨日に見たBSクラシックの休憩時間にかかっていたのがこの曲。このページではちょうど昨年の今ごろにとりあげているが、ここでもう一度その後の思いを交えつつ再びとりあげる。以下、前回に書いたこと。

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ボロディンの本職は化学者、いわゆる日曜作曲家なのだが、素晴らしい作品を残している。もちろん、すべてが演奏されているわけではないが、「ダッタン人の踊り」などは有名である。最近では交響曲第2番もぼちぼち演奏されている。作曲技法にある程度通じているファンなら、「ボロディンはどうもねえ...」と言ったりするのだが、それを補って余りある旋律の美しさがあるように思う。

弦楽四重奏曲第2番は、ボロディンの室内楽における代表曲である。スコアはきわめてシンプル、演奏自体も困難を極めると言うほどではない。しかし、シンプルだからこその難しさは絶対にあると思う。私としては第1楽章と第3楽章が大好きだ。

しかし、実はボロディンの弦楽四重奏曲第1番の第4楽章を演奏したことがあり、それがボロディンとの出会いでもあった。高校時代、部活で夏と冬に室内楽の発表会があり、そこではけっこう難しい曲やマニアックな曲にチャレンジするパターンが多かった。そこで出会ったのである。今、第2番と比べてみるとやはり第1番は小慣れていない感じがする。しかし、それでも一所懸命に練習したものだ。

その翌年の夏の室内楽大会で、第2番に出会った。演奏されたのは第3楽章。先輩たちが演奏しているのを聴いて鳥肌が立った覚えがある。今考えればそこまでうまかったかというとどうなんだろうという気がしないでもないのだが、まだ楽器を始めて2年目、3年生の先輩はまぶしく見えたものだ。この夏の室内楽は夜に行われるのだが、この楽章の別名は「ノクターン」。まさに夜の曲なのだ。夜景を見下ろしながら(学校は山の上にあった)、ちょっぴり涼しい風も心地よく、音楽もすばらしかった。ああなりたいと心に思っていたものである。この楽章が遠ざかるように消えゆく時、本当に切なくなる。

その後、何となく自分の中でテープもお蔵入りになっていたのだが、別の曲の勉強のためにCDを買ったら、そのカップリングがボロディンだった。せっかくなので聴いてみたら、第1楽章が素晴らしい。いい曲じゃないか!なぜ見逃していたのかと思った。曲自体に複雑さはなく、構造的には割と単純な方なのだが、それだけに奏者の腕が問われそうな感じがする。この曲を聴いていると、たとえ日曜作曲家だろうが、いいと思えればいいのである。二足のわらじ、とはいえ私には無理だな...。

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一昨日かかっていたのは第1楽章。いきなりチェロのちょっと高めの音の主題(おそらく第1主題?)から始まり、ヴァイオリンへと受け継いでいくのだが、その前向きな持って行き方と、その後の優しい終わり方が大好きである。その後、長調でありながら短調の要素を含む第2主題がまたとてもよい。この曲はやっぱり、夏の夜に吹くちょっとだけ涼しい風のように思える。合宿所から夜景を見ながらいろいろなこと先輩や同期、そして後輩たちと遅くまで語ったものだ。消灯になっても話は尽きなかった。いつの間にか、夜景に灯るあかりの数は減っていたが、それでも街の夜は明るく、美しかった。もう20年以上も前の話だが、今でも鮮明に覚えている。この曲を聴くと、やっぱりまたこの時期が来たのだと実感する。きっとこれからもこの曲を聴くたびにこのことを思い出すと思う。





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Last updated  Aug 13, 2006 11:16:03 PM
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